伝統校の価値とは? 中高一貫校で得られる人脈や価値観 学力的に厳しい場合の志望校選びは【中学受験】

  • 中学受験

中学受験においてはお子さんよりも保護者のほうが伝統のある難関校に魅力を感じて受験をすすめるケースも多いかと思います。しかし、お子さんの学力的に伝統校をめざすのは厳しい場合、どのように家族で納得して志望校選びを行えばよいのか、森上教育研究所がお伝えします。

伝統中高一貫校で得られる価値とは?

学校の文化に触れながら感情豊かな思春期を過ごせる

伝統ある中高一貫校にお子さんを進学させたいと親御さんがお考えになる理由はさまざまかと思いますが、確かに伝統校には多くの魅力があります。まず挙げられるのは、長い歴史の中で培われてきた学校の文化の存在です。

例えば正岡子規を出した開成では昔から俳句が盛んで、毎年俳句甲子園にも出ています。こうした独特の文化がある学校で、感情豊かな思春期を過ごすことができれば、大きな財産となります。

また、伝統校では、伝統的な価値観が文化として蓄積しています。一例を挙げると、反骨精神に富んだ早稲田、福沢諭吉の理念に沿う慶應などです。親御さんがそうした価値観に共鳴する場合は、そうした伝統校を選べば親に代わってお子さんに価値観を伝えてもらうこともできます。

学校の縁が大人になってからも支えとなる

また、学校縁が培われることも大きな魅力です。伝統中高一貫校、特に女子校・男子校の場合はある程度の難関入試を乗り越えてきたこともあり、大学卒業後は高度専門職など専門的スキルで社会を渡っていくタイプの方が多い傾向があります。そうした人たちとの学校縁で結ばれた関係は、大人になり社会に出てからも自分を支えてくれたというお話はよくお聞きします。

中高の6年間を共にすると損得を抜きにした人間関係を結ぶことができ、何でも相談できるような生涯の友だちを作りやすくなります。伝統校で培われるこうした人脈に大きな価値を感じてお子さんに進学を勧める親御さんも多くなっています。

学校は変わる部分もあるので伝統校にこだわりすぎずに

行事や文化に着目して新設校も選択肢に

一方で伝統校を受けさせたいけれど、お子さんの学力的に厳しいという場合もあるかと思います。そうした場合は、あまり伝統校にこだわりすぎず広く学校を検討することも大切です。

私立の学校であれば多かれ少なかれその学校の理念がありますから、新しい学校であってもその学校なりの新しい文化があるはずです。新設校も選択しに入れて行事などに足を運ぶなどして、お子さんの個性に合う文化を持つ学校を広く検討するとよいでしょう。

高校から伝統校へ進学するという選択も

また、付属の伝統校の中には、高校入試からであれば中学入試で入学するよりも入りやすいという場合もあります。中学入試では学力的に厳しい場合は、比較的外部進学がしやすい中学を選んでおいて、高校入試で伝統校にチャレンジするという方法もあります。

お子さんの学力の伸びが中学入試のタイミングに合えばよいのですが、後伸びするタイプのお子さんなど中学入試のタイミングで学力を十分伸ばせない方もたくさんいらっしゃいます。個々人の学力の伸びと受験の暦はいつも一緒とは限らないのは当然ですので、そこはあまり深刻にとらえずお子さんに合うタイミングで伝統校に挑戦してもよいと思います。

祖父母の意見は程々に聞く

祖父母世代から「ぜひ伝統校に進学を」という強い意見があって親御さんと意見が違って困ってしまうというお話も聞いたことがあります。ただ、学校というものは時代によって変わる部分もありますので、祖父母世代の「あの学校はいまひとつだ」という見方は、現在では全く異なっていることも多々あります。

おじいさまおばあさまにはお子さんの進学で経済的に援助していただく場合も多いでしょうが、「お金は出すけど口は出さない」というのが受験での祖父母世代の関わり方の原則です。どうしてもという場合は、おじいさまおばあさまの勧める学校を第3志望で受ける程度で、基本は親御さんとお子さんとで決めましょう。

まとめ & 実践 TIPS

伝統中高一貫校の歴史によって培われた学校の文化や、学校縁で結ばれた人脈は大きな財産になります。
しかし、学力的に厳しい場合は、新設校も選択肢に行事や文化に着目してお子さんに合う学校を選ぶことが大切です。また、後伸びするお子さんの場合は高校入試で伝統校入学を狙うのもよいでしょう。
祖父母世代と意見が合わない場合も、最終的に決めるのは親御さんとお子さんです。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

  • 中学受験

子育て・教育Q&A