入試から高校入学まで 第2回 勉強のリズムは維持[高校合格言コラム]

勉強のリズムは維持

 前回は、この時期の勉強のしかたについてお話ししました。今回は家庭での生活についてお伝えします。

入試から高校入学まで 第2回 勉強のリズムは維持[高校合格言コラム]


●家での勉強時間:これまでの2分の1は守る
 合格して安堵(ど)していると、これまでのように1日3時間、4時間集中して勉強するということは、本人のモチベーションの点からも現実的には無理でしょう。が、家でも2時間程度は必ず勉強するクセはなくさないようにしたいものです。
 勉強は、中学の教科書の復習でも、塾、通信教育で使った教材でも何でもいいのです。中学時代の学習内容をしっかり身に付けておくことが大切です。また、頭と体に勉強のクセを染み込ませることが肝心です。机に向かう習慣に1か月でもブランクがあると、高校入学後いざやろうとしてもけっこうキツくなります。

 高校によっては、推薦入試の合格者に課題を出すのも、勉強の習慣を喪失してほしくないからなのです。
 今、全国的にほとんどの中学生が、中学校3年間で集中して必死に勉強するのは中3の12月から入試本番までの3か月間くらいです。ですからこの間に、一般入試に向けて3月中旬までがんばり続けた生徒と、早くに勉強の気が抜けた生徒とでは、高校入学後に大きな学力差が生まれてしまいます。そして高校の勉強のスタート時に自信を失うと、それが高校の3年間ずっと尾を引きます。

 お子さまは、高校入学まで思いっきり遊んで楽しく過ごそうと考えているかもしれませんが、こうした現実があることもちょっとお話ししてください。遊んではいけないと言っているのでは決してありません。ダラダラ遊ぶのではなく、遊ぶ時は思いっきり遊ぶ。その分、気持ちを切り替えて勉強する時は集中して勉強する、この姿勢が大切です。
 高校入学までに、もう一度中学校の勉強の総復習、苦手教科を克服する計画を立てさせ、それらを実行させましょう。家庭の雰囲気にも影響されますので、保護者のかたご自身も、家でも勉強し続ける環境づくりに協力してあげてください。

●日常生活では家の用事をさせる
 今は、多くのご家庭で、お子さまに家の用事をさせていないのではないでしょうか。先日、長野県の菅平(ラグビーなど、運動系の部活が合宿する場所として有名です)で旅館を営む家のお嬢さんからお話を聞く機会がありました。夏場は人手が足りないため、よく配膳などの家業を手伝っているそうです。そこには、全国からいろいろな学校(高校も大学も)が合宿に来るそうです。食事時は宿泊客にも手伝ってもらうそうですが、大半の学校の生徒や学生が、茶わん・みそ汁わん・箸などを正しく並べられないといいます。箸を「1膳」「2膳」と数えることも知らない、と驚いていました。
 学校の先生からも、こんな話を聞きます。「力点・支点・作用点を知識としては知っていても、実際の物でそれぞれがどこなのかはわからない子が多い」。「知識が本当には身に付いていない」という指摘です。

 ですから、生活の場面で何でも保護者のかたがやってしまうのではなく、お子さまに、はさみ・缶切り・釘抜き(お宅にはないでしょうか?)などを使わせ、その時に「どこが力点・支点・作用点だと思う?」と尋ねてみてください。
 そんな機会をつくるためにも、時間がある今こそ、家のことをどんどんお子さまにやらせてください。

 次回は、「学力のイメージ」についてお話しします。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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