学校と子どものことがよくわかる! 授業参観のチェックポイント【前編】

授業参観は、家庭では見られない子どもの学校での様子を知ることができるチャンスです。そこで、今回は、私立の小中一貫校に長年勤務され、現在は作家、教育評論家として活躍されている中井俊已先生に、授業参観で保護者が見ておくべきポイントについてうかがいました。

授業参観は、学校と先生を知る場でもある

授業参観には、3つの役割があると考えています。
まずひとつ目は、保護者に子どもたちの成長を感じてもらい、学校教育について関心をもってもらうということです。

ふたつ目は、担任の教員と保護者の信頼関係を深めるということです。子どもは学校だけ、家庭だけで育てるものではなく、学校と家庭、双方が力を合わせて育てるものです。多くの保護者が、「どんな先生が、どんなふうに自分の子どもに指導をしているのか」に注目していると思いますが、教員も「授業を通して自分という人間を保護者に知ってもらいたい」と考えています。

そして3つ目は、保護者どうしの親睦を深めるということです。多くの学校で、授業参観のあとに、保護者会や親睦会、レクリエーション大会などが行われ、保護者どうしの交流を図っています。

子どもたちの様子を見るときのポイント…友だちのキャラクターも把握しよう

授業参観では、子どものよいところをできるだけたくさん見つけてあげましょう。「挙手して、発言できているかどうか」はもちろんのこと、手を挙げていなくても、先生の問いかけに対して、うなずくなどして理解している様子があれば、それもOKです。そのほか、しっかり板書をノートに写せている、正しい姿勢で座れている、集中して先生の話を聞けているといった点を見ておくとよいですね。

また、友だちの様子も見ておくとよいでしょう。45分の授業でも、よく発表する子、元気な子、静かな子…さまざまなタイプがいることがわかります。子どもの話だけでは、はっきりとイメージできなかった、友だちのキャラクターがより具体的に見えてくるはずです。

例えば、わが子が「Aちゃんがいやなことを言った」と言ったとき、Aちゃんの様子を知らないと、「うちの子はいじめられている」と早合点してしまう可能性があります。しかし、授業参観でAちゃんの様子を知っていれば、悪意のあるいやがらせではなく、むしろ好意をもっていて、ちょっかいを出していた可能性があるのかもしれないから、少し様子をみようと保護者も冷静になれるはずです。

先生を見るためのポイント…批判的に見ないでよいところをたくさん探す

保護者の年齢より若い先生だと、批判的に見てしまうかたがいるかもしれませんが、ぜひその先生のよいところに注目してみてください。詳しい理由は後編で述べますが、子どもの学力や学びへの意欲を伸ばすためには、担任の先生をほめることがとても有効だからです。例えば、字が上手、声が聞こえやすい、笑顔がすてきといったことでOKです。

授業参観当日は、多くの先生が準備に時間をかけ、どの子どもも輝けるように意識して授業をしているはずです。先生が授業を進めるうえでどんな工夫をしているかなどを観察してみましょう。例えば、下記のようなポイントを見ておくと、先生の工夫が感じられ、授業を見るのがおもしろくなるはずです。

◆中井先生が教える! 授業のこんなところを見てほしい
・どの子どもにも万遍なく視線を注いでいるか
・どの子どもにもわかるような発問、ちょっと難しい発問など、発問を工夫しているか
・子どもたちの発表を、どのような態度で聞いているか
・わかりやすい授業のためにカード、図表、絵などを使って工夫しているか
・指名するときはできるだけ多くの子をあてているか
・机のまわりを回って、一人ひとりのノートやプリントを見てくれているか

教室内の掲示物を見るためのポイント…会話のきっかけになるのでよく見ておく

余裕があれば、教室内の掲示物にも注目しましょう。1学期の目標など、学級経営に関するものも掲示してあることがありますので、これらを見ておくと、どのようなクラスにしたいのか、先生の方針がわかります。また、子どもたちのよいところをできるだけたくさん見てほしいという思いから、授業参観中はたくさんの掲示物を貼ってあることが多いです。例えば、絵画は、同じテーマでも子どもによって切り口や構図が違うので、見比べてみるとよいでしょう。そして、「子どもの作品のよいところはどこかな」という観点で見ておくと、授業参観後のコミュニケーションのよいきっかけになります。

後編は、授業参観後のフォローについて中井先生にうかがいます。

プロフィール


中井俊已

私立小・中学校に23年間勤務後、作家・教育評論家として独立し、執筆・講演などで活躍中。『男の子って、どうしたら勉強するの?』『女の子って、勉強で人生が変わるんだ!』(学研)など著書多数。

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