不登校の子の学習の遅れが気になる?! 保護者がまずすべきこととは[不登校との付き合い方(7)]

もし、子どもが不登校になった場合、保護者は子どもをどう見守ったらよいでしょうか。親としては学習面のサポートがいちばん気になるところですが、少しでも学習させたいと思ったら、子どもにはどういう環境を用意したらよいでしょうか。「不登校新聞」編集長の石井志昂さんにお話を伺いました。

この記事のポイント

不登校になったら、まずしてあげたいのは心のケア

もし、子どもが学校に行けなくなった時には、まず子どもを甘やかしてください。学校に行かないというのは、子どもにとってはよほどのことなんです。保護者よりも子ども自身が、学校に行かないことに不安を感じています。将来どうなるんだろうという不安は、並大抵のことではありません。そこには必ず、親にも言い出せないほどつらい何かがあったはずなんです。学校を休むというのは、とても傷ついているからです。

だから、勉強よりも何よりも、まずは傷を癒やす時間が必要です。傷を癒やさないことには、先に進むことができません。親が甘やかしてあげることがどんなことよりも、子どもの心の傷を癒やす近道なんです。

小学生の場合は、保護者に話したがるはずなので、近くにいて話を聞いてあげましょう。その中でケアされていきます。

思春期の子どもには、ふだん禁止していることを解禁してみる

中学生以上の思春期の場合は、なかなか話したがらないものですが、話せるとしたら食後。まず一緒にごはんを食べて、そのままなんとなくテレビの話や世間話を続けるうちに、気持ちに余裕が出てくるでしょう。たわいのない話をする時間があるほど、気持ちは楽になっていくと思います。一点、気をつけてほしいのはムリに将来や勉強の話をしようとはしないでください。本人が自分からその話を触れてきたら不安な気持ちを聞いてください。

それから、ふだんその子に禁止しているものを解禁してあげてください。たとえば、ゲームやテレビのこと、毎日の宿題をするかどうか、夜寝る時間・朝起きる時間。それを、「今は、お休みの時間だから、好きにしたらいいよ」ということにしてあげてほしいです。

小学校高学年以上だったら、試してみてほしいのは家の留守番です。思春期になると、親の期待に応えられていない自分をさらしていることが、つらいものなのです。親が留守番を頼んだとき、とても嫌がるようなことがなければ、試してみてください。

留守番の時間は子どもにとって、親の目がないことで重圧から解放されて、休憩になります。保護者にとっても、ずっと家を空けておくわけにはいかないものの、不登校だからといってずっと子どもを見張っていなくてはいけないわけではありません。かえってそれが子どもにはプレッシャーだった、ということもあります。

そして、甘やかしているうちに、子どもは親を試す行動をしてきます。お風呂に入りたがらないとか、一日中パジャマでいるといった、ちょっと叱られそうなことです。そこで何か言いたくなるのをぐっと飲み込んで、そのままほうっておくと、子どもは「なんだ、親が優しくなったな」と思うんです。そして、自分なりのルールを見つけて、ちゃんとしようとするものです。

勉強はやる気が起きた時にやれば大丈夫。追いつくから

子どもの体調さえ悪くなければ、保護者が心配なのは勉強の遅れですよね。でも、勉強は1年ほどあれば取り戻せる、ということを覚えておいてほしいです。これは逆に言うと、小学校時代の勉強を6年間、中学校の勉強を3年間かけて行うのは、やる気のない子たちに合わせてじっくり取り組むためです。やる気のある健康な子どもなら、もっと短期間で習得できるはずなんです。

だから、不登校の場合でも、保護者は学習のサポートをするための時間をムリに割かなくてもかまいません。親と先生、両方の役割は担えません。学習面は、本当にやる気が出たときに、外部委託すればよいのです。塾やAI教材、ドリルなどを活用するほうが早いです。

学校との連携も親子にとって有意義であれば大切にしてください。その際は、学校の担任の先生よりも、スクールカウンセラーやフリースクールに相談してみるのもよいでしょう。なぜなら、学校の先生は、学校に来る生徒に対応するプロであって、不登校の子どものプロではないため、対応を間違ってしまうこともあるからです。学校の担任の先生には、今どうしているのかの報告をするだけでもよいと思います。

フリースクールなどのオルタナティブ教育については、ひとつの選択と考えてよいと思います。共働して、一緒に考えてくれる人に出会うことは、とても大事です。家庭だけですべてを引き受けるのは、大変なことだから。

ただ、それも本人がそうした場に「行きたい」と思うことが優先です。本人の意志を一番大事にしてほしいです。

そのためにも、気持ちをマイナスからゼロ地点に持っていくことに時間を割いてください。そこをしないで、あせって学校に戻らせようとしても、一歩も前に進みません。思春期は特に、「親はわかってくれない」と思うばかりになり、溝が深まってしまいます。

保護者の役割は、まずは傷ついている子どもを甘やかすこと。傷を癒して自分の目指したい夢に向かっていく力は、どの子も持っています。

まとめ & 実践 TIPS

学校に行かないとなると、つい大人は早く学校に戻そうとしたがりますが、まずは不登校の原因となっている心の傷を癒やすのが大切。小学生なら話をとにかく聞いてあげ、思春期ならふだん禁止していることを解禁して、「親の目を離す」ことで、癒やされていくようです。いずれにしても子どもが立ち直る力を信じてあげたいものです。

プロフィール

石井志昂

石井志昂

『不登校新聞』編集長。1982年生まれ。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として活動。不登校新聞のスタッフとして創刊号からかかわり、2006年に編集長に就任。現在までに不登校や引きこもりの当事者、親、識者など、400名以上の取材を行っている。

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