娘は責任感が強く、掃除をさぼる子などが許せないようです[教えて!親野先生]

今週の相談

 

小学2年生の娘のことです。娘は責任感が強く、係りの仕事や決められたことをキッチリ守るタイプです。そのせいでしょうか、学校で規則を破ったり、先生の目を盗んで掃除をサボったり、係りの仕事をしなかったりする子が許せないようです。注意して嫌がられることもたびたびあるようです。自分が注意しても聞き入れられないと、先生に言いつけに行くこともあるようです。高学年になってクラスから浮いた存在になるのではないかと今から心配です。正義感が強いのでしょうが、世の中には「グレーゾーン」もあるということをそのうちわかってもらえるのでしょうか? 本人は間違ったことを言っているわけではないので、私もどのように導くべきかときどき悩んでしまいます。(正義のママさん)

 

【親野先生のアドバイス】

正義のママさん、拝読いたしました。

1、2年生にこういう子はけっこういます。比較的女の子に多いようですが、男の子にもいます。ではなぜ1、2年生に多いのかを考えてみましょう。

どの子も育つ過程において、いろいろな集団のなかに所属します。そして、その集団のなかで、さまざまな常識や価値観、倫理観などを身に付けます。まず家庭であり、続いて保育園や幼稚園であり、次に小学校へと進むわけですが、そのときどきでいろいろなものを身に付けていきます。

そのなかで、子どもにとって保育園や幼稚園への入園と小学校への入学は、ともに大きなカルチャーショックを伴うものなのです。特に小学校は、それまでのどの集団よりも大きな集団です。そして、ただ人数が多いだけでなく、子どもたちの多様性も増します。一概には言えませんが、保育園や幼稚園は、小学校に比べれば比較的均質な集団であることが多いと思います。

つまり、子どもにとってはそれまで見たこともないような子もいるということなのです。それは、いろいろな意味でそうなのです。

なかには、自分のそれまでの常識や価値観、倫理観では、とうてい許されないことを平気でする子もいます。自分が今までお父さんやお母さんに言われてきて、自分が一生懸命守ってきたことを、平気で踏みにじる子もいるのです。

まじめで、正義感が強い子のなかには、それが許せない子も当然いるわけです。自分でもどんどん注意しますが、それが受け入れられないとなれば、先生にもどんどん言います。その子にとっては、それが当然の行動です。ですから、告げ口などという概念はもっていないのです。

私は、以前教えた女の子「Aさん」のことを思い出します。
Aさんは、私に言いに来るとき、「信じられない!」をよく連発していました。「まったく○○君たら、信じられない! 水道の水を口に入れてみんなにかけてるんだよ。みんな大迷惑だよ」というような感じです。

Aさんは、まじめで、正義感が強くて、何でも一生懸命な子でした。毎日、何回も、いろいろなことで私のところに言いつけに来たものです。

私は、そのときどきでいろいろに対応していました。「そうなの? う〜ん、困ったね。では、あと2、3人仲間を増やして○○君をやっつけちゃいな」と言ったこともあります。それを聞いてAさんは喜んですっ飛んで行きました。

「う〜ん、困ったね。後で先生も言っておいてやるよ」と言ったこともあります。Aさんは納得してまた遊びに行きました。その後、○○君には必要に応じて注意したりしなかったりでした。

「なぜそんなことをするのかね〜?」と一緒に考えたこともあります。「困るよね。う〜ん、でも、まあ、それくらいなら許してあげな」と言ったこともあります。そうしたら、Aさんが「許せないよ〜!」と言ったこともありますし、「しょうがない、許してやるか」と言ったこともあります。大切なことは、その子の気持ちをまず受け入れてやることだと思います。「そういうのは告げ口だよ」などとは、言わない方がいいと思います。聞いてやるだけですっきりすることも多いからです。それに、その子の言っていることは確かに正しいのですから。正しいことを言っているその子の主張を肯定してやらないと、その子は何が正しいのかわからなくなってしまいます。

私が1年生を受け持ったとき、Aさんはずっとこんな感じでした。でも、私は、まったく心配していませんでした。なぜかというと、Aさんは友達との人間関係を普通に作れる子だったからです。

告げ口こそ多かったですが、男の子とも女の子ともよく遊べて、友達もたくさんいました。そして、よく気が利いて親切で優しい子でもあったのです。

私の経験ですと、そういう子は、友達関係のなかでいろいろな経験をしながらだんだん変わってくるのです。だいたい3、4年生くらいになると変わってきます。つまり、だんだん告げ口をしなくなるのです。

なぜそうなるかというと、友達関係のなかでいろいろなことがわかってくるからです。まず、世の中にはいろいろな子がいるのだということがわかってきます。自分とは少し違う常識、価値観、倫理観をもっている子がいるということがわかってくるのです。

そして、そういう子にもいいところやおもしろいところがある、ということもわかってきます。また、言ってもしょうがないことが多いということもわかってきます。

そして、Aさんもまったくそのとおりになりました。4年生になるころには、告げ口はぐんと減り、普通の女の子並みになりました。

ですから、ご相談のお子さまが、友達関係の面でどうなのかということがポイントだと思います。普通に友達関係を作れる子なら心配はいりません。少し下手でも、ある程度作れる子ならそれも大丈夫です。でも、友達関係を自分で作れない場合は少し心配です。そういう場合は、その子が友達関係を作れるように、大人が支援してやることが一番大切です。

私ができる範囲で、せいいっぱい提案させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。正義のママさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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