小学校の個人面談で何を話すべき?必要な準備やうまく進めるためのポイントも

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  • 育児・子育て

小学校の個人面談は、保護者にとっても緊張することが多いもの。
「どのように臨めばいいの?」「何を質問すればいいの?」と迷うこともあるのではないでしょうか。

個人面談の目的から内容、必要な準備、先生と円滑に情報交換するためのポイントについて、公立小学校の教員を20年近く務めた経験を持つ、ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター・庄子寛之主任研究員に聞きました。

この記事のポイント

小学校の個人面談の目的や内容は?

小学校の個人面談の目的は、保護者と先生が情報を交換し合い、お子さまの成長をよりよく支えることです。主に生活面や行動面について、学校での様子、家庭での様子を共有し、いいところを確認したり、困っている点を相談したりする機会となります。
面談時間は 一般的に15分程度。限られた時間を有効に使うことが大切です。

面談の内容

面談の内容は、主に次の4点となります。

1:学校での生活面・行動面の様子

学校生活の中で見られるお子さまのよい点や、がんばっている点について担任から共有します。休み時間の過ごし方や、友達関係についても情報共有があるでしょう。

2:学習の様子

小学校では点数や成績、苦手分野といった話よりも、授業中の様子や、学習への取り組み方といった話が中心となります。

3:家庭の状況の確認

家庭での様子は、担任も気になるところです。「ご家庭ではどのような様子ですか?」と質問されることも多いので、事前に準備しておけるといいですね。何か困っていることがあれば、遠慮せず相談してください。

4:学校の指導方針の説明

面談の最後には、面談の内容を踏まえて今後の指導方針や、先生が留意する点について説明することもあります。保護者からも、今後の家庭でのサポート方針について話せるとよいですね。

個人面談は、先生と保護者が協力しながら、お子さまが安心して学校生活を送れるようにするための場です。受け身にならず、積極的に情報を共有する姿勢を持つことで、有意義な時間にできるといいですね。

個人面談に必要な事前準備は?

限られた時間での個人面談をスムーズに進めるためには、事前準備が欠かせません。
準備不足で臨んで「世間話で終わってしまった」「聞きたいことが聞けなかった」なんてことになってはもったいないですからね。

先ほどお伝えした「面談の内容」の1〜3の項目に合わせて「聞きたいこと」「伝えたいこと」を整理しておけるといいでしょう。

よいところ、がんばっていることも伝える

一つ大切なポイントもお伝えします。
保護者としては、つい「問題はないか」「課題点はどこか」が気になってしまい、「うちの子はこれが苦手です」というマイナス面を相談しがちであるかと思います。しかし、それだけではなく、保護者から見たお子さまのよいところや、がんばっていることも積極的に伝えるようにしてください。

教師は、子どもたちのよいところを伸ばしたい、得意を生かしたいと思っているものです。とはいえ、人数が多いと一人ひとりについて詳しく把握できないこともあります。保護者からの情報提供が気付きとなり、気にかけてもらえたり、「ピアノをがんばっているなら、今度、演奏を頼んでみようかな」といった機会を得たりすることもあるでしょう。

「自分の子どもを先生の前でほめるなんて……」「アピールしているみたいで気が引ける」と抵抗を覚えるかたもいらっしゃるかと思いますが、最近の教育は保護者世代のころとは変わってきています。子どものよい点を伸ばすことが重視されているので、先生にとってもうれしい情報提供となるはずですよ。

質問・相談リストを作っておくのもおすすめ

面談当日にうまく相談できるか不安、聞き漏らしてしまいそう、というかたは、質問・相談リストを作って、持参できると便利でしょう。次のような形で聞きたいこと、伝えたいことと優先順位を整理しておけるといいですね。

質問・相談リスト例

・家では集中力が見られないことも。授業中はどうですか?

・最近、ピアノをがんばっています。学校でもピアノを弾いてみたいと言っていましたが、何か機会はありますか?

(時間があれば)

・マイペースで時間がかかるタイプなので、周りの子に迷惑をかけていないか心配ですが大丈夫でしょうか。

準備して個人面談に臨むことで、「こんなことができるようになったんだ」「学校では、こういうふうに過ごしているんだ」といった新しい気付きや、「家ではこうしよう」といったヒントをより多く得られるでしょう。

個人面談をよりよい時間にするための心構え

個人面談は、情報の共有と相談が基本です。よりよい時間にするためには、心構えも大切。服装や時間といったマナーを守ることはもちろん、建設的な場となるよう、次の点に注意していきましょう。

苦情・要求ではなく、相談の形で話す

個人面談は、要望を伝える場ではありません。「こういう点に困っているから、改善してほしいな」と思うことがあっても、背景や事実も確認せずに一方的に伝えるだけでは、こじれてしまう危険性もあるでしょう。

「これはやらないで」「これをやって」など、感情的になって苦情や要求の形で伝えるのではなく、「こういうことに困っているのですが、何かお気付きの点はありますか?」と事実を確認したり、「どうすればいいでしょうか?」と相談したりするようにしたいですね。

また、NGワードも一つお伝えしておきます。それは「みんな言っています」と主語を大きくあいまいにすること。他の人がどうかではなく、あくまでお子さまや保護者のかたがどう感じているかを伝えるようにしてください。たとえば、宿題が多くてやりきれないという場合も「みんな、多くて大変と言っています」ではなく、「うちの子には多いようで、◯時間ほどかかってしまっているようです」といった伝え方ができるといいですね。

面談で聞いたお子さまのよい点は自宅でも伝える

面談の効果を高めるには、家に帰ってからがポイントです。先生がお子さまをほめていた点は、ぜひお子さまに伝えてあげてください。子どもは、面談で何を言われたか気になるもの。先生がほめてくれたこと、自分を気にかけて見てくれていることを知ることで、子どもは安心や喜びを覚えるはず。学校生活をより積極的に楽しめるようになるでしょう。また、先生への信頼感も高まるはずです。

まとめ & 実践 TIPS

小学校の個人面談は、お子さまの成長を支える保護者と先生の情報交換・相談の場。限られた時間を有意義なものとするためには、事前準備はもちろん、先生を知ろうとする姿勢や、自分からも積極的に情報共有しようとする姿勢も大切ですね。

プロフィール


庄子寛之

元公立小学校指導教諭。大学院にて臨床心理学について学び、道徳教育や人を動かす心理を専門とする。「先生の先生」として、ベネッセの最新データを使いながら教育委員会や学校向けに研修を行ったり、保護者や一般向けに子育て講演を行ったりしている。研修・講演は500回以上。講師として直接指導した教育関係者は1万5000人に及ぶ。全国の学校が休校していた2020年のコロナ禍に、これからの教育について考えるオンラインイベントを企画し、世界中の教育関係者を2000名以上集め、話題を呼ぶ。子ども教育のプロとして、NHK「おはよう日本」や朝日新聞、毎日新聞などのメディアなどにも取り上げられ、一躍有名になる。また、ラクロスの指導者としての顔も持ち、東京学芸大学女子ラクロス部監督、U-21女子日本代表監督、U-19女子日本代表監督を歴任。「教師」×「指導者」として、一貫して「自分で行動できる子ども・選手」の育成を実践している。著書に『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』(ダイヤモンド社)など多数。

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