【3・4歳児】うんちをオムツでしてしまう理由は?トイレでできるようになるにはどんなサポートが必要?

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3・4歳児 うんちをオムツでしてしまう理由は? トイレでできるようになるにはどんなサポートが必要?

おしっこはトイレでできても、うんちはオムツでしてしまう子どもは少なくありません。「どうやったら、うんちもトイレでできるようになるのかな」とお悩みのこともあるでしょう。おしっこはトイレでできても、うんちはオムツでしてしまうのはなぜなのでしょうか。そして、トイレでできるようになるにはどのようなことが必要なのでしょうか。

保育士経験も持つ大阪教育大学の小崎恭弘教授に伺いました。

うんちをトイレでできずにオムツでしてしまう理由

うんちをトイレでできずにオムツでしてしまう理由

うんちをトイレでできないのには、大きく4つの理由が考えられます。

理由1:おしっこよりも、体のコントロールが難しいから

実は、うんちを出すのは、おしっこを出すよりも難しいものです。おしっこは、ある程度タイミングがわかりやすく「出す」だけのシンプルな動作ですが、うんちは「いきむ」「踏ん張る」といった力加減の調整が必要になりますよね。体のコントロールが難しく、子どもにとってはかなりハードルが高くなります。

理由2:トイレという場所が怖くて苦手だから

トイレが怖いと感じる子どもも少なくありません。トイレは、狭くて暗く、静かな空間ですよね。流れる水の音や、換気扇の音が不気味ということもあるでしょう。そんな怖さを感じる場所で、パンツをおろしていきむというのは、大きな不安と抵抗感を覚えるはずです。

理由3:失敗したら恥ずかしいとプレッシャーを感じるから

子どもは3歳ごろになると、恥ずかしいという感情が芽生えるようになります。だからこそ、トイレでうんちをすることにも「もし失敗したら恥ずかしい」と抵抗を覚えることもあるものです。うんちは目に見えやすく、においもするため、成功・失敗がわかりやすいですからね。

また、この時期は周りの友達との違いを意識しだすころです。「友達はトイレでできているのに」とプレッシャーを感じることもあるでしょう。だからこそ、恥ずかしさやプレッシャーを乗り越えて排泄(はいせつ)がうまくいくようになると、自立心が育ち、心の成長につながるのです。

理由4:子どもの持つこだわりと異なるから

子どもは、うんちをすることへの自分なりのこだわりやルールがあることも多いものです。たとえば「このおまるじゃなきゃイヤ」「左から2番目のトイレじゃないとダメ」といったこだわりです。保育士として何千人という子どもたちを見てきた経験でも、さまざまなケースに接しました。

うんちをするというのは「快・不快」を伴うものです。だからこそ、こだわりが生まれやすく、ルール化・儀式化されやすいのです。それを無視して、無理にトイレでさせようとすると「イヤだ」と強い抵抗感を示すこともあるでしょう。

うんちをトイレでするために、保護者にできるサポートは?

うんちをトイレでするために、保護者にできるサポートは?

保護者ができるサポートについてご紹介する前に、まず最初に一つお伝えしたいのは、子育ては早ければ早いほどいいというものではないということです。「なかなか進まない……」と思い詰めると、苦しくなってしまいます。

保護者としては「うんちをトイレでできるようにさせなきゃ」「幼稚園の入園までにできるようにしなきゃ」と焦ることもあるかもしれませんが、排泄ってすごく高度なことです。「うまくいかなくて当たり前」くらいの心の余裕も必要ですよ。

保護者に必要なのは躍起になりすぎないおおらかさ

「何でトイレでうんちしないの?」と、明確な理由を求めてしまっていることはありませんか? 子どもに聞いてみても、うまく説明できないことや、「何となくイヤ」と言うばかりではっきりした答えが返ってこないことも多いでしょう。保護者としてはストレスもたまってしまうかもしれません。

とはいえ、理由がわからないと対応できないとなると、保護者もしんどくなってしまいます。大切なのは、イマジネーションを働かせることです。「こういう理由でイヤなのかな?」とあれこれ想像して対応してみてください。うまくいけばラッキーですし、うまくいかなくても当たり前。「まあ、いいか」「今は何かイヤな時期なのかな」と、おおらかに構えるくらいがちょうどいいです。

排泄って保護者が一番手こずるものです。子どもにとっては、生きる練習なのですから、そんなに簡単にできるようにはなりません。オムツはそのうちとれるんですから、躍起にならないことも大切です。悩んでいるということは、それだけ一生懸命向き合っている証拠です。

トイレでうんちするのがイヤな理由別サポートアイデア

うんちをトイレでしたくない理由は、お子さまによってさまざまです。お子さまの言葉や様子を手がかりに「これが理由かな?」と想像して、対応していきましょう。

体のコントロールが複雑で難しいと感じていそうな場合

ステップや簡易便座でいきみやすい環境を整えてあげてください。足が付かずにブラブラしていると、うんちを出すために踏ん張ることも難しいものです。

トイレという場所が怖くて苦手と思われる場合

トイレを明るく楽しい場所に変える工夫を凝らしてみてください。清潔に整えておくことはもちろん、お気に入りのシールを貼れるようにしたり、好きなぬいぐるみを置いたりするのもいいですね。

失敗したら恥ずかしいとプレッシャーを感じていると思われる場合

保護者の言動を意識しましょう。「そろそろ、トイレでうんちできるようにならなきゃね」と言葉にしたり、言葉にはしなくとも態度に出したりしていませんか? 子どもは態度や空気も敏感に読み取るものです。うんちを失敗した時の保護者の小さなため息や、がっかりした表情も意外と見ています。下着や床を汚しても気にしないくらいの余裕のある態度を見せてあげてください。

うんちに抵抗があると思われる場合

汚い、くさいなど、うんちそのものに抵抗がある場合もあるものです。そんな時は、うんちへのネガティブなイメージを減らしてあげるのが大切です。うんちをテーマにした絵本やアニメを見せたり、一緒に楽しんだりしてみましょう。

また、うんちが出たあとに「気持ちいいね」と声をかけるのも効果的です。うんちを出すとスッキリして気持ちいいものという、ポジティブなイメージを持たせることができます。

また、理由にかかわらず、トイレでうんちすることに取り組む季節も大切です。冬場はあまり向きません。ただでさえ、狭くて暗いトイレがさらに寒く冷たくなりますからね。春や夏など、暖かい時期がおすすめです。

なかなかうまくいかなくて心が折れそうになったら

なかなかうまくいかなくて心が折れそうになったら

トイレでうんちができるようにするためのサポート方法について説明してきましたが、実際はなかなかうまくいかないこともあるでしょう。「言われたとおりにしても、全然できるようにならない……」と追い詰められたように感じることもあるかもしれません。

私自身、保育士時代に何千人ものトイレのサポートをしてきましたが、自分の子どものサポートには手こずりました。そのくらい、子どもの成長は人それぞれですし、どの子どもにも当てはまるコツがあるわけではありません。1回トイレでうんちすることに成功したからといって、必ずしも次からもできるとは限りません。右肩上がりの一直線ではなく、上がったり下がったりしながら、少しずつ進んでいくのが子どもの成長です。

だからこそ、どっしり長期戦の構えで長いスパンで見守るということが大切です。長いスパンというのは、1週間や1か月ではありません。もっと長い期間です。点で見たらその場で足踏みが続いているように見えても、線で見たら成長してきたことがわかるはずです。

そして、保護者はお子さまに一生懸命向き合っているからこそ、真面目にとらえすぎな面もあるものです。保護者がしんどい思いを抱えていると、子どももしんどくなってしまいます。完璧を目指すのではなく、保護者にはどこか楽天的であってほしいですね。関西弁でいうとええかげん(いい加減)が大切ということです。「まあ、何とかなるでしょ」と肩の力をちょっと抜きましょう。親が少しでも気持ちを軽く持つことが、子どもにとってもプラスになりますよ。

それでも、心理的につらくなったら、パートナーや園、ママ友・パパ友などに相談してください。一人で抱え込まないのが大切です。

小学校に入ってもオムツがとれない子は、ほとんどいません。「まあ、この子のペースで、いつかはできるようになるでしょ」と長い目で見守っていきましょう。

まとめ&実践TIPS

早くトイレでできるようになればいいというものではない、理由探しに躍起にならないといったメッセージにハッとしたかたもいらっしゃるのではないでしょうか。「うまくいかなくて当たり前」とのおおらかさを持って、親子で焦らず急がず楽しく取り組んでいけるといいですね。

プロフィール


小崎 恭弘

大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育コース(保育学)教授

兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年間勤務。3人の息子が生まれるたびに育児休暇を取得。市役所退職後、神戸常盤大学を経て現職。元大阪教育大学附属天王寺小学校長。専門は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」。NPOファザーリング・ジャパン顧問、東京大学発達保育実践政策学センター研究員。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等にて積極的に発信を行う。2014年に出版した『男の子の本当に響く叱り方・ほめ方』(すばる舎)が子育て関連本で大ヒット。そのほかにも『育児父さんの成長日誌』(朝日新聞社)、『パパルール』(合同出版)など、著書多数。新聞等で連載を執筆。

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