問題文の意味が理解できていない[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


質問者
小3男子のお母さま

質問
(国語は)読解力がありません。自分の目で字を追って文章を理解することが苦手のようです。人に読んでもらうと余裕ができるのでしょうか、おおよそ理解ができています。読み聞かせは大好き。音読は大嫌い(苦手)です。(算数は)読解力がないことから、応用問題が苦手。問題文の意味が理解できていないようです。出てくる数字を組み合わせて+-×÷の符号をくっつけて、当たる確率25%といったような……。とりあえず白紙で出すのは嫌なようです。

小泉先生のアドバイス
基礎的な問題をしっかり絵図で学ぶ・実物を使って学ぶ

算数についてアドバイスします。四則計算はできるが、算数の応用問題は苦手という子どもは少なくありません。問題文の文字を読んで、その内容をイメージすることができないのでしょう。そんな子どもは、問題文をイメージ化する練習をすると良いでしょう。
練習方法としては、問題文を読み、絵図をかいて考えるという方法が一般的です。たとえば次のような問題があったとしたら、以下のような絵図をかいて考えます。

例題:キャラメルが30こあります。このキャラメルを5人で同じ数ずつ分けます。何こずつになるでしょうか。 また、1人に5こずつあげると、何人にあげることができるでしょうか。

一つの□をキャラメル1個と考えて絵図をかくので、図1のようにかなり長くなります。かくのも少々面倒ですが、慣れないうちは図2のような省略はしないほうが良いでしょう。

さて、「この程度の問題ならわざわざ絵図をかかなくてもできる」という子どももいると思います。しかし、図をかく練習ではこのレベルの問題から始めるべきだと思います。それは、基礎的な問題であれば、その単元の原理・原則がわかりやすく学べるからです。
たとえばこの問題では、割り算を習う時に学んでおきたい、二つの割り算の意味が視覚的に理解できます。すなわち、「等分除」(5人で同じ数ずつ分けた場合・図3)と「包含除」(一人に5こずつあげた場合・図4)です。小学生ではこれらの名称を教える必要はないでしょうが、30÷5=6という式には二つの意味があることを学び、しかも視覚的に理解することが大切です。
このように基礎的な問題をしっかり絵図で学ぶことで、+-×÷という符号を使って自分がやっていることがイメージできるようになり、さらにはより高度な応用問題も考えられるようになるのです。

ところで、絵図でも具体的なイメージがなかなかわかない子どももいます。そんな場合は、より具体的に考えさせると良いでしょう。たとえば上記の問題では、実際にキャラメルを30粒買ってきます(12粒入りなら3箱でOK!)。そしてキャラメル30個を前に、「5人で同じ数ずつ分ける場合」や「一人に5こずつあげる場合」を考えさせると良いでしょう。さらには30個を「7人で同じ数ずつ分ける場合」「一人に7こずつあげる場合」など、≪あまりのある場合≫を勉強しても良いでしょう。
実物を使って学ぶので、お子さまも興味がわき、数字や式との関係も具体的にわかると思います。「絵図」とは違い、なんと言っても「本物のキャラメル」はあとで食べることができます。とても印象的で、かつ魅力的な学習になるとは思いませんか。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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