前後の文がどういう意味で、どうつながっているのかが理解できていない[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小4男子(性格:大ざっぱ)のお母さま


質問

読解問題ができません。あらすじは話せるのですが、接続語を選ぶようなとき、前後の文がどういう意味で、どうつながっているのかが理解できていないようです。普段から読書をしなさいというと、低学年向きの本を選んだりしており、どう勉強させてよいか悩んでいます。


小泉先生のアドバイス

接続語の分類とその働きをしっかり暗記する

文章を大きくとらえるのは得意だが、精密に読むことは苦手という「大ざっぱなタイプ」の特徴が顕著に出ているのかもしれません。本人としては読み飛ばしている意識はあまりないと思います。しかし、「丁寧に読みなさい」と言われても、「丁寧さ」の基準が粗いので結果として読み飛ばしてしまうのです。
まだ4年生ですから、問題文を音読させることから始めるのもひとつの方法です。音読することで、読み飛ばしを防ぐとともに、本人にも「丁寧さ」の程度をはっきりと認識させることができると思います。

さらに、それぞれの接続語の役割があまり整理されていない可能性も考えられます。その場合は、接続語についてもう一度学習し直すことが必要です。接続語の分類とその働きを、しっかり暗記し直してください。
接続語にはいろいろな分類方法があると思いますが、ここでは四谷大塚の分類で考えてみます。すなわち、
(1)順接
(2)逆接
(3)説明
(4)添加
(5)並列
(6)転換
(7)選択
と7分類あり、さらに(3)説明が1)要約、2)例示、3)補足、4)理由に分類されますので、全部で10種類となります。これらの分類をスラスラと言えるように覚えさせます。
暗記法としてわたしが生徒に教える時は、「ギジヘは2セテ」と覚えさせています。≪擬似餌(ぎじえ)≫とは、マスを釣る時に使う毛ばりなど、本来は魚が食べない物を餌としたものです。つまり「擬似餌は(本物の餌を)似せて(作った)」、という文章を連想させて覚えやすくしています。ここでそれぞれの文字は、ギ(逆接)、ジ(順接)、へ(並列)、2セテ(セとテが2つずつ。すなわち、「セ(選択)・セ(説明)」と「テ(転換)・テ(添加)」)を意味します。さらに説明は要約・例示・補足・理由に分かれます。「疑似餌」が「ギジヘ」など、なかなか苦しい言い回しではありますが、生徒たちは案外重宝している暗記法です。

さて、分類を覚えたら、次はそれぞれひとつずつ接続語を挙げられるようにして、具体的な例文とともに用法も言えるようにします。
たとえば逆接なら、「しかし」であり、例文は「雨が降ってきた、しかし傘はささなかった」。そして、用法は「反対のことがらがあとにくる」になります。つまり、雨が降ってきたので本来は傘をさすのが普通だが、ささなかったので「しかし」で接続されるということです。こうして接続語の「分類(逆接)」「例(しかし)」「例文」「用法」が一体化します。「用法」と「例文」が一体化するのも効果的ですが、なによりも「分類」をしっかり覚え、さらに例として一つか二つくらいは具体的な接続語を言えるようにしておくと良いでしょう。

わたしの教室は短期間に国語を学ぶ専門塾であり、ほとんどの生徒が他にもメーンの塾に通っています。当然、接続語についても学んでいるはずですが、分類をスラスラ言える生徒は非常に少ないのが現状です。分類を言える、つまり分類名を言えるということは、接続語を体系的に概念化するために必要なことです。この方法で覚えさせると接続語の穴あき問題はもちろん、説明的文章を読む時も接続語をしっかり意識するようになり、読解力も向上すると思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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