説明文が苦手。内容がよく理解できないので、問題に取り組む意欲が低下してしまう[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小6女子(性格:大ざっぱなタイプ)のお母さま
質問
物語文は得意ですが、説明文が苦手です。接続詞などから答えは類推できると思うのですが、指摘するまで気付きません。内容がよく理解できず、問題に取り組む意欲が低下してしまうようです。
小泉先生のアドバイス
想像力を付けて、説明文を読む力を伸ばす。
文章を読んで理解するには、「想像力」が大切です。「考える力」と言い換えてもよいかもしれません。たとえば物語文では、登場人物の動作や言葉からその気持ちを想像します。また、次にどのような展開になるかということも想像すると思います。このように、想像する力は文章を正しく、しかも速く読むために必要な力なのです。そしてこの力は、説明文を読む時にも大切です。ただし、使うべき想像力が物語文とは少し違います。たとえば、説明文では心情表現から登場人物の気持ちを想像することはまずありません。その代わりに、文と文や段落と段落の関係を想像すること、あるいは考えることで内容理解を深める必要があります。また、難しい文章であればあるほど、「筆者のイイタイコトはこんなことだろう」という想像が、最後まで読みきるための羅針盤になると思います。
さて、お子さまの説明文の苦手ですが、この想像力の使い方が少しわかっていないのかもしれません。たとえば、お母さんがおっしゃられたように、「接続語」は文章の方向を想像するうえで大いなる武器になります。例示の接続語「たとえば」がくれば、次は具体例が出てくるでしょう。また、添加の接続語「さらに」がくれば、次は何かが付け加えられると想像できます。この、何かを“待ち受ける”、あるいは“期待する”という読み方が読解力を大きく伸ばします。単に読まされているのではなく、「次はこんなものが出てくるのではないか」という想像できる力こそが、読解力の源のひとつなのだと思います。
想像する力を付ける方法としては、いくつかあると思います。たとえば、「接続語」を意識させるのも有効でしょう。文章の中に接続語が出てきたら印を付けさせ、次に何が書かれているかを想像させるのです。あるいは逆に、いくつかの接続語を与えておいて、その間に文を埋めて文章を作らせるのもよい方法だと思います。たとえば、だから(順接)、しかし(逆接)、たとえば(例示)などの接続語を挙げておき、それらを使って文章を作るのです。最初の話題は保護者のかたが提供しても、お子さまが考えてもよいでしょう。
たとえば、こんな感じです。
今日はあまり食欲がない。
だから、今夜のごはんはカレーにしよう。
しかし、豚肉も牛肉もない。
つまり、材料不足ということだ。
たとえば、エビ、
あるいは、イカがあればシーフードカレーにしてもよいけど、それもない。
ところで、お米は十分にあったかな? ない!
しかたがないから買い物に行こう。
同じ接続語の配列で、もうひとつ例を挙げておきます。
宿題も全部終わった。
だから、久しぶりにゲームをしよう。
しかし、少し気になることがある。
つまり、何かやり残したことがあるような気がするんだ。
たとえば、何か先生に提出するものがあったとか……。
あるいは、友達に何か借りていたとか……。
ところで、明日の算数はどこを勉強するんだっけ?
まずい、明日は算数のテストがあった!
よい文章を作る必要はありませんし、文章の流れが多少不自然でも問題はありません。ここで重要なことは、接続語によって文章の方向性が決まるということを気付かせることです。ですから、自由に接続語を選ばせるのではなく、決まったセット(今回であれば、「だから」→「しかし」→「つまり」→「たとえば」→「あるいは」→「ところで」のセット)に沿って文章を作る練習をするのがよいでしょう。何回か繰り返していくうちに、接続語の役割や想像することの意味をお子さまは体感できると思います。