中高の英語の授業で最も行われていることとは? 文法や単語ではない意外なもの

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2021年4月開始の中学、22年4月開始の高校の新課程・英語では、「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能の力、特に「やりとり」や話す・書くという発信力の強化がポイントとなっています。

*参考
大学入学共通テスト・英語ではどんな力が求められる?いよいよ高校でも新学習指導要領実施
高校入試や定期テストが大きく変わった!保護者も知っておきたい!新課程1年目・中学校英語の3つのポイント

実際の場面で使える英語力(4技能の力)の育成は、学習指導要領の改訂ごとに強化されてきましたが、旧課程・新課程を問わず、英語の授業の中で頻繁に行われてきたこと、そしてこれからも行われると予測されることがあります。それは英語の「音読」です。

この記事のポイント

中学・高校で共通して最も多く行われてきた英語の活動は「音読」

ベネッセ教育総合研究所(以下、ベネッセ総研)が中高の英語の先生を対象に行った調査では、中高の英語の授業で最も行われているのは、「音読」だとわかりました。2番目に多かった「発音練習」も、音読の中で頻繁に行われていると考えられます。

「英語の授業で行っていること」

「英語の授業で行っていること」

*出典:ベネッセ教育総合研究所「中高の英語指導に関する実態調査2015」
*24項目中の上位5項目。(  )内数値は「よく行う」+「ときどき行う」の%。

ベネッセ総研では、中3生・高1生に対しても英語学習に関する調査を行いましたが、その結果でも「英語の音読」が頻繁に行われていることがわかっています。

英語の音読って何? どんなことをするの?

音読の指導内容や手順にはさまざまなものがありますが、たとえば、次のようなステップが考えられます。大切なことは、英文の意味を十分理解して、内容を考えながら音読することです。

  • 1 音声メディアや先生のモデルの音を聞いて英文を見ながら繰り返す
  • 2 英文を読んだあと、文字を見ないで声に出す
  • 3 文字を見ないで、聞こえてくる英語の音のあとを追うように繰り返す
  • 4 生徒各自が自分のペースで、モデルの音なしで英文を見ながら声に出して読む
  • 5 内容を考えながら、感情をこめたり、ジェスチャーをつけたりして声に出す

英語の音読にはどんな効果があるの?

音読には次のような効果があるといわれています。

  • 1 英語の適切な発音、リズム、アクセント、抑揚などが身に付けられ、聞く・話す力の基礎を養う
  • 2 学習した単語や基本文の作り(文法ルール)を頭の中にしっかり定着させ、必要な時に使えるようになり、聞く・読む・話す・書く時に活用できる

文法問題を解いたり単語を覚えたりすることと音読を並行して行うことで、相乗効果が期待できます。また、音読は、実際の場面で使える英語力の基礎も養います。ですから、これまでも英語の授業の中で音読がよく行われてきたと考えられます。また、英語力を高めた実績のある先生方が音読を取り入れた授業実践は、現在も学会などでたくさん発表されており、今後も音読は英語の授業の中で大切な役割を担い続けることが予測されます。

音読の学習効果を上げるために家庭でできることは?

学校の宿題などに音読が出されることはよくあります。保護者のかたはお子さまに、次のようなことを励ましたり、伝えたりしてみてください。繰り返しになりますが、ただ、何も考えずに声に出すのではなく、意味を考えながら音読することがとても大切です。

  • 1 英語の音をたくさん聞いてから音読する
    音読する英語の音を何度も聞いてから音読するようにアドバイスしてください。お子さまが音読をうまくできない場合、まず聞く量が不足していることが考えられます。
  • 2 大きな声で音読する
    中学初期には、宿題で保護者のかたに音読を聞いてもらい、回数をチェックしてもらうこともあります。お子さまも保護者のかたも恥ずかしがらずに、お子さまが大きな声で音読するよう励ましてください。自分が声に出す英語を聞くことも学習になります。年齢が上がるほど難しいと思いますが、早い段階から大きな声で音読する習慣をつけることも大切です。
  • 3 音読の効果を知る
    お子さまが音読の宿題を嫌がっているような場合は、音読の効果を話してみてください。
    英語らしい発音やリズムが身に付き、話す力だけでなく聞く力の基礎にもなること、単語や文法が頭の中にしっかり入り、いざという時に使えるということです。

音読は、スポーツで言えば基礎練習のようなものにあたります。そこで培った力が、いざという実践の場で発揮されるようになりますので、継続して行えるようにお子さまを応援していってください。

出典
ベネッセ教育総合研究所「中3生の英語学習に関する調査」<2015-2018継続調査>
ベネッセ教育総合研究所「高1生の英語学習に関する調査」<2015-2019継続調査>

プロフィール

加藤由美子

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