直島の子ども達が見た世界「わたしの暮らしとアート」写真展【直島アート便り】
- 教育動向
直島小学校では、総合学習の一環で直島の写真を撮影し、その写真に合った言葉を付ける活動を実施しました。児童が撮影した日常生活や身近にあるアートの写真と、その写真に込めた想いや物語を表現した言葉の展示を直島の玄関口である宮浦港のギャラリーで行いました(2023年5月12日~14日)。この記事では、児童たちの作品制作プロセスや展示の模様についてレポートします。
この写真展の企画は四天王寺大学原田准教授の監修のもと実施しました。
暮らしの写真とアートの写真を選ぶ
まず児童たちは、生活の中で自分なりの視点を切り取った写真を撮影し、その中から2枚を選びました。1枚は暮らしの場面、もう1枚は直島のアートの写真です。
暮らしの場面からは、家の窓から見える風景や海の景色、おばあちゃん家へ向かう道の写真など、見慣れているけれど気に入っている風景や、思い出のある場面を切り取っている写真も多く見られました。
アートの写真も同様に、日頃作品と慣れ親しんでいる様子が見受けられます。
写真に言葉をつける
次に、その写真に込められた思いやエピソードが伝わるように、児童たちは自分の言葉でキャプションを作ります。
説明的にならないよう、セリフや物語をつくるイメージで、その写真から温度感や人とのつながりが感じられるように工夫して作成しました。
中には絵を描いた児童や、言葉を書く紙の形やサイズを加工した児童もいました。
教室で各児童が選んだ写真とメッセージを発表している様子
展示作業とガイドでお客さまをおもてなしする
写真や言葉を配したパネルの展示作業は児童も参加しました。お客さまが見やすい高さに調整しながら展示していきます。
展示会場は直島の玄関口、宮浦港の中にあるギャラリーだったこともあり、多くの人々が行き交います。
児童たちは授業の活動時間を使って、写真展へのお客さまの誘導や写真の説明を行いました。海外からの観光客にも自然に英語でガイドをする姿は、普段から外国人観光客をお迎えしている直島の児童ならではの光景です。
児童に寄せられた言葉
写真展に訪れた方々から下記のようなメッセージが児童に寄せられました。
「とてもあたたかくて優しい気持ちになれました。改めて直島ってすてきな場所だなって気付かされました。すてきな写真と言葉をありがとう」(直島町民)
「せっかくの観光旅行は雨。傘をさしての見学でしたが、皆さんの写真とほっこりするコメントに心癒されました。ありがとう!」(広島県在住)
「とても素晴らしいと思いました。自分たちの住む町を大切に大好きに感じることができる心を大切にしてください。素晴らしいところを見つける心の目を育ててほしいと思います。友達、家族、日本、世界の素晴らしいところをたくさん見つけてください!」(大阪府在住)
「直島に住んでいるからこそ気付くことができるのであろう景色が切り取られていてすてきでした。私は今日初めて直島に来て数時間しか滞在していませんがそれだけでもとっても魅力ある島だとわかりました。これからも直島を誇りに思い続けてくださいね。すてきな作品をありがとう!」(埼玉県在住)
まとめ & 実践 TIPS
今回の写真展では、直島に暮らす子どもたちの視点から、アートの鑑賞体験だけでは気付けない直島の景色や特徴を知ったり、アートが身近な環境で育つ子ども達の豊かな発想力に触れたりすることで、訪れたお客さまにも新しい発見をしていただくことができました。
ベネッセアートサイト直島の作品やアートプロジェクトは置かれている場所の自然景観や人々の営みと密接に関わりあっているものが多く、それゆえ作品鑑賞を通じて気付き、考えることのできる要素が多いのが特徴です。
瀬戸内の島々へ訪れる際には、ぜひアートや建築の周辺にも目を向け、自分にとっての「Benesse=よく生きる」について考えてみてはいかがでしょうか。
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