高校入試や定期テストが大きく変わった!保護者も知っておきたい!新課程1年目・中学校英語の3つのポイント

  • 新課程の英語特集

中学校3年間で到達を目指す英語力は?

2021年度、中学校の新しい学習指導要領が全面実施されました。
中学校3年間の英語学習の到達目標の例として、「英文の短い新聞記事を読んだり、テレビで英語のニュースを聞いたりして、その概要をまとめて他者に伝えることができるようにする」といったことが示されています。
レベルが高いと感じられるかもしれませんが、このような実際の場面で英語を使える力を育むためにさまざまな指導改革が進められています。

出典:文部科学省「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめのポイント」(平成28年8月)
https://www.mext.go.jp/content/1377021_3.pdf

中学校英語が変わる! 3つの注目ポイントとは?

中学校の英語の授業時数は、これまでと同じで週4時間程度ですが、学習内容は次の3つのポイントを中心に大きく変わります。

  • 新しい中学校英語のポイント①
  • ・4技能5領域の力の育成を目指す。
    4技能5領域とは……「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」「書くこと」

1つ目のポイントは、「聞く・読む・話す・書く」の4技能を使った言語活動がこれまで以上に多く取り入れられることです。
このうち「話す」には、英語で即興的な会話をする「やり取り」と、準備したことを話す「発表」の2領域があります。

  • 新しい中学校英語のポイント②
  • ・学習する単語数が増える。
  • ・高校の文法事項の一部(仮定法や現在完了進行形など)が中学校の学習内容となる。

2つ目のポイントは、学習内容の増加です。具体的には、学習する単語の数が以前の1200語程度から1600~1800語程度へと大幅に増えました。さらに、これまで高校で学習していた文法事項の一部が中学校で学習されることになりました。

  • 新しい中学校英語のポイント③
  • ・英語の授業は英語で行うことを基本とする。

3つ目のポイントは、基本的に授業が英語で行われることです。
先生による説明の時間を減らし、先生が積極的に英語を使うことで、生徒が授業中に英語にたくさん触れ、英語を使う量を増やしていくことを目指します。

定期テストはどう変わるの?

授業の変化に合わせて、定期テストでも4技能5領域の力を測る問題が徐々に増えていくでしょう。文部科学省が示した学習評価のガイドラインでは、次のような出題例が示されています。

  • 聞く:外国人の先生が授業に招いた別の外国人と話している英語の会話を聞いて、何の話をしているのか「概要」が書かれているものを選ぶ。
  • 読む:外国人から来たメールを読んで、何の頼みごとが書かれているのか「要点」が書かれているものを選ぶ。
  • 話す(やり取り):英語の記事を読んでクラスメートと英語で意見交換する様子や内容について、英語の先生が評価をつける。

*話す(やり取り)の記述をベネッセ教育総合研究所がイメージしやすいようにイラストにしました。

参考:文部科学省 国立教育政策研究所「『指導の評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料 中学校 外国語」(令和2年3月)
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/hyouka/r020326_mid_gaikokg.pdf

定期テストの問題は、学校や担当の先生によって異なります。お子さまの定期テストの問題を確認し、4技能5領域を測る問題がどの程度出題されているかなどを踏まえて必要な学習を強化されるとよいでしょう。

高校入試はどう変わるの?

2021年4月入学生の公立高校の入試問題を見ると、全国的に英語では、実際の場面で英語を使う力を測るような問題が出題されており、変化の兆しを感じさせます。今後、そうした問題は増えていくと考えられます。

  • 実際の場面で英語を使う力を測る出題例
  • ・何かを読んだり聞いたりした内容について、要約や意見を書く。
  • ・リスニング問題で、課題の音声が流れるのは1回のみ。
  • ・図やグラフを読み解きながら、英文を読んで理解する。

具体的な出題傾向は都道府県によって異なります。地方新聞に掲載される公立高校入試問題分析や、さまざまな校外学習サービスが発表している傾向分析を必要な学習の強化や入試準備にお役立てください。

*こちらのサイトもぜひご覧ください。
https://czemi.benesse.ne.jp/open/nyushi/

英語教育の専門家 太田洋先生にお聞きしました!
大きく変化した中学校英語に対応するために家庭でできること

新課程で中学校英語は大きく変わりました。
中でも、4技能の1つである「話すこと」に「やり取り」と「発表」の2領域が設けられたことは、大切なポイントです。

授業で生徒がペアで行う即興的なやり取りが増やされ、外国人の先生と1対1でやり取りをするパフォーマンステストが導入されることも考えられますので、家庭でも練習できるといいでしょう。
教科書に出てきた話題について、自分の体験や考えたことを独り言のように話して練習すると、やり取りの力を伸ばす効果があります。お子さまが1人で学習する時に、やってみるようアドバイスしてみてください。可能であれば、保護者が相手役となってお子さまとやり取りをしてみてください。
教科書に出てきた話題について、お子さまに“How about you?”などと問いかけ、お子さまが自分の考えを話す練習ができるといいですね。

公立高校の入試問題は確実に変わりつつあります。
たとえば、長文を読んで話の概要や書き手の伝えたい要点を答える、英語で話された会話を聞いて自分の考えを書くような問題などがあります。
複雑な文では訳すことは意味がありますが、それだけでは対応しづらくなります。お子さまの学習をサポートする際に、長文の概要や話の要点を考えること、聞いたもの、読んだものについて自分の考えを持つことが重要であることも意識していただければと思います。

やり取りも長い英文を読んだり、聞いたりすることも、ふだんから慣れておくことがポイントです。気長に続けられるように励ましていってください。

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プロフィール

太田 洋

太田 洋

東京家政大学教授。東京都公立中学校と東京学芸大学附属世田谷中学校で21年間教鞭をとり、駒沢女子大学を経て現職。東京学芸大学大学院修了。英語授業研究学会理事。2006,2007年度NHKラジオレベルアップ英文法講師。小学校検定教科書・中学校検定教科書『Here We Go!』(光村図書出版)の著者を務める。
主な著書:『英語力はどのように伸びていくか』(大修館書店)共著、『英語を教える50のポイント』(光村図書出版)単著、『“英語で会話”を楽しむ中学生』(明治図書)共著

プロフィール

加藤由美子

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