全国の子どもたちが自宅から参加!瀬戸内のアートと自然を学ぶ『大島オンラインサマーキャンプ』とは?【直島アート便り】

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2017年大島子どもサマーキャンプの様子

瀬戸内国際芸術祭の舞台の一つである大島では、高松市主催、NPO法人瀬戸内こえびネットワークが企画する小中学生向けのサマーキャンプを夏休みに開催しています。新型コロナウイルスの影響により昨年は実施できませんでしたが、今年はオンラインを活用し、自宅から参加できるプログラムを開催しました。全国の子ども達が大島について学び、ワークショップに参加した様子をお伝えします。

この記事のポイント

大島ってどんな島?

大島は、高松港の北東約8kmに浮かぶ、面積が0.62平方km、周囲7.2kmの小さな島です。1909年にハンセン病の療養所が設立され、長らくハンセン病に対する社会的偏見と差別から、国の誤った政策により入所者が強制隔離されてきました。1946年に国立療養所大島青松園と改称され、1996年に「らい予防法」が廃止、2008年には「ハンセン病問題基本法」が成立し、現在は園内で、入所者の日常生活の介助・療養生活の支援と、ハンセン病を正しく理解するための啓発活動が行われています。

大島の風景

大島子どもサマーキャンプとは?

大島子どもサマーキャンプは、2015年に始まりました。夏休みに国内・海外の小中学生を大島に招き、2泊3日の滞在を通じて島の歴史・自然に触れたり、アート作品を鑑賞したり、音楽を使ったワークショップに参加したり、様々な角度から大島について学び体験することができます。
今回のオンラインのプログラムでは、現地に足を運ぶことはできませんが、映像やオリジナルのワークブック、家の中にある身近な音の出るものを使って、子どもたちが積極的に参加できるよう工夫し実施しました。

参加者に事前に届けられた六法焼と甘夏ジャム。いずれも大島で作られており、入所者の方々に親しまれている。

大島について知ろう。

プログラムの前半は、こえび隊の笹川さんによるオンラインガイドツアーと、国立療養所大島青松園の入所者の方のお話を聞き、ハンセン病や昔の暮らしについて学びます。

こえび隊 笹川さん(上段左)、国立療養所大島青松園の入所者 野村さん・森さん(上段中左)から大島について学ぶ子ども達

現在の入所者数は43名ですが(2021年7月現在)、多いときは約700人が生活していました。大島で約70年暮らしている野村さんは、かつては軽症者が重症者の看病をし、園内の維持管理や作業をしていたと言います。野村さんの実体験は、瀬戸内国際芸術祭の作品にもなっており、実際に当時ハンセン病の人々が生活していた建物に展示されています。

「Nさんの人生・大島七十年」-木製便器の部屋-(作家:田島征三)

今回お話をしてくださった入所者の方からは、イベントに参加している子ども達に向けて、「ハンセン病も新型コロナウイルスのような感染症でしたが、私たちは家に帰ることもできなかったし、将来の夢や希望も持てなかった。皆さんが大人になるころにはハンセン病を経験した人は居なくなっているかもしれないけれど、大人になっても思い出して、何かの役に立てばと思う。」とメッセージが送られました。

身近にあるものを楽器にして音楽を作ろう。

イベントの後半は、「ロバの音楽座」の松本雅隆氏による音楽のワークショップが行われました。子どもたちは事前にワークノートに書いたオリジナルの川柳と、身近にあるもので音が出る即席の楽器を用意し、川柳にメロディーや伴奏を加えていきます。即席の楽器は、お菓子作りの道具やスタンドライトのバネなどアイディアに富んでおり、川柳は上の句と下の句をシャッフルすることで、斬新で新しい音楽を皆で作り出すことができました。

「ロバの音楽座」松本雅隆氏(上段中左)によるワークショップ

五感で楽しむ大島サマーキャンプ

イベントに参加した子どもたちからは、「今はコロナの世の中だけれど、希望を持ちたいと思えた。」、「ハンセン病を風化させないこと、そして思いをつなぐ優しい行動を行います。」等のメッセージが寄せられました。
オンラインのプログラムでも、大島についての学びから将来について考えたり、アートを鑑賞したり、島の生活にちなんだお菓子を食べたり、音楽を奏で歌ったり、ワークブックに絵を描いたり、家にいながら大島の空気に触れ、五感を使った体験ができたのではないでしょうか。

現在は新型コロナウイルスの感染防止のため、島民以外は大島に渡ることはできませんが、来年には5度目の瀬戸内国際芸術祭が開催される予定です。夏休みには大島子どもサマーキャンプに参加し、瀬戸内の島々の豊かな自然を体験してみてはいかがでしょうか。

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「ベネッセアートサイト直島」は、直島、豊島、犬島などを舞台に、株式会社ベネッセホールディングスと公益財団法人 福武財団が展開しているアート活動の総称です。訪れてくださる方が、各島でのアート作品との出合い、日本の原風景ともいえる瀬戸内の風景や地域の人々との触れ合いを通して、ベネッセグループの企業理念である「ベネッセ=よく生きる」とは何かについて考えてくださることを願っています。
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