海外からの帰国・来日での不安は進学や受験と生活習慣!

「日本→海外」より「海外→日本」のほうが不安は少ない?

続いて、保護者から見た、来日・帰国にあたってのお子さまの反応を伺いました。

【図7 帰国・来日について、お子さまの感じ方・意思はどのようでしたか?】

図7 帰国・来日について、お子さまの感じ方・意思はどのようでしたか?


【図8 一番最近の海外→日本への帰国・来日の際、一番上のお子さまの学年は以下のどれにあてはまりましたか?】

図8 一番最近の海外→日本への帰国・来日の際、一番上のお子さまの学年は以下のどれにあてはまりましたか?

日本から海外への赴任のときのお子さまの反応を伺ったアンケート結果の図5では、「子どもは前向きだった」は3割強に過ぎませんでした。ところが、海外からの帰国・来日に対するお子さまの反応では、「前向きだった」という保護者が最も多く、約5割を占めています(図7参照)。海外から日本に帰ってくるほうが、日本から海外に行くよりも、お子さまとしては不安が少ないのかもしれません。
そして、日本から海外への赴任を経験されたかたへのアンケート結果の図5で4割を超えていた「幼すぎて事態がわからない」は、図7では2割強とほぼ半減。また、海外赴任時と違って帰国・来日時では、お子さまの年齢は「小学生以上」が約半数を占めています(図8参照)。「日本に帰る(行く)」意味をある程度理解したうえで、意思表示をするお子さまが多いのではないでしょうか。


約半数の子どもは、帰国してスムーズに学校に慣れた!

では、海外から日本に帰国・来日したお子さまは、スムーズに日本の学校に慣れることができたでしょうか。保護者から見た印象を伺いました。

【図9 お子さまにとって、日本の学校に慣れるのはどの程度困難でしたでしょうか? 近いものをお選びください】

図9 お子さまにとって、日本の学校に慣れるのはどの程度困難でしたでしょうか? 近いものをお選びください

今回の調査では、「子どもが日本の学校に慣れるのは難しくなかったと感じる」という保護者が約5割を占めて、トップ。「海外赴任中も日本人学校に通っていたため、言葉の問題はまったくありませんでした」(小6の保護者)、「漢字の読み書きが少し課題だったものの、すぐに慣れたようです。初めは海外を懐かしむ素振りも見られましたが、やがて新しいクラスにも溶け込んで友達もでき、今では『日本は楽しい。帰ってきてよかった』と言っています」(小3の保護者)といった保護者の声が多く聞かれました。
一方、「日本の学校に慣れるのは難しかったと感じる」という保護者は、2割強でした。10人中2人以上の割合であり、必ずしも少なくありません。では難しかったのは、具体的にどのようなところでしょうか。 ※()内のお子さまの年齢は、日本への帰国・赴任時現在です。

●赴任先が英語圏の地域だったため、英語はお手の物。数学と理科も、向こうでの勉強が日本の学校でも生きました。ところが日本の歴史は、海外でほとんど勉強していなかったため、日本の学校の授業について行くのが大変でした。また、子どもは日本語を日常会話に不自由しないくらい話せるものの、漢字の書き取りや文章の読解問題など、国語という教科の勉強に慣れるのにはけっこう骨を折ったようです(中3の保護者)

●海外赴任中に住んでいた地域の学校と違って日本の学校では、自分の意見を全面に出すことが常に好まれるとは限りません。周囲の雰囲気に合わせることを覚えるのが大変だったようです(小4の保護者)

●海外赴任中わたしたちが住んでいた地域の小学校は、自動車での送迎が一般的。だから帰国して日本の小学校に入ったとき、子どもは歩いて通学することにとまどったようです。また、海外で通っていた小学校より1クラスの児童数が多いため、先生との距離を感じたのか、「先生が僕をあまりかまってくれない」と言うこともありました(小3の保護者)


受験の情報収集と準備不足で後悔する保護者も!

次に、帰国・来日後、お子さまが受験を経験したかどうかを伺いました。

【図10 お子さまは、帰国・来日後、受験を経験されましたか?】

図10 お子さまは、帰国・来日後、受験を経験されましたか?

今回のアンケートでは、「子どもは中学受験を経験した」という保護者が約19%、「高校受験を経験した」という保護者が約12%、「大学受験を経験した」という保護者が0.7%という結果になりました。
いずれの受験についても、「情報収集が足りなかった」という声が目立ちました。また、「海外赴任中に学力が落ちてしまって取り戻せなかった」「受験の準備が間に合わなかった」という声も少なくありません。お子さまの受験に対して、保護者の困った点、苦労した点などを次にご紹介します。 ※()内のお子さまの年齢は、日本への帰国・赴任時現在です。

☆高校受験に関して
●高校受験を機に帰国したんですが、うちの子と同じ高校を受験する友達が周りにいませんでした。子どもは寂しそうでしたし、わたしも、受験について相談するママ友達がおらず、不安でした(中3の保護者)

●帰国当初は高校を帰国子女枠で受験するつもりで、そういう枠を設けている高校をいろいろ探しました。でもよく考えてみると、海外でうちの子が通っていたのは日本人学校だし、おまけに英語圏でない地域に住んでいる時期が長かったため、うちの子はさほど英語が得意なわけではないんです。だったら帰国子女枠で受験するメリットはあまりないし、たとえ合格したとしても、高校に入ってから苦労することになると思いました。子どもと話し合って、結局一般受験の道を選びました(中2の保護者)

☆中学受験に関して
●帰国が遅れたこともあり、とにかく準備が間に合いませんでした。学校説明会も、気がついたときにはすべて終了というありさま。試験会場を下見しておくなんて思いも寄らず、ほとんどの学校は試験当日に初めて足を運びました。子どもと二人、道に迷って焦ったことも……。また受験校を絞るのに必要な情報も思うように集められず、学力や所在地、受験日だけで決めたと言っても過言ではありません。結果的に合格したものの、親としてもう少しできることがあったのではないかと反省しています(小6の保護者)

●中学受験をするつもりで、子どもが小5の秋、日本に戻ってきました。ところが塾の先生に、「一般受験は今からでは間に合わない」と言われて大ショック! 帰国子女枠で受験できる中学校を探しましたが、子どもの希望に合うところが見つからず、結局公立中学校に進学することに。中学受験についてもう少し知識と情報があれば、もっと早く帰国するという選択肢もあったのに!(小5の保護者)


海外赴任や帰国・来日を控える保護者へのメッセージをご紹介!

最後に、これからお子さまと一緒に海外に赴任する保護者や帰国・来日を控えている保護者に対して、先輩保護者に自身の体験を踏まえたメッセージやアドバイスを伺いました。

☆日本から海外への赴任について
●赴任してからも、現地の生活や教育などについて情報収集を続けましょう。ただ、現地で長く生活している人は、その地域に来て日が浅い者の気持ちを十分にはわかってくれないこともあります。インターネットやメールなどを利用して自分たちと同じくらいの滞在歴の人を見つけ、相談したり、アドバイスをもらったりすると良いと思います

●英語圏に赴任される場合、お子さまに英語力を育もうと、現地の子どもと同じ学校に通わせることをお考えのかたもいらっしゃると思います。わたしもそうでしたが、書類も面談もすべて英語であるため、入学手続きをするだけでけっこう大変でした。また、その学校で知り合った日本人保護者からは、子どもが日本語を忘れてしまったという声もよく聞きました。日本語を使う機会を意識してつくる必要もあると思います

☆海外から日本への帰国・赴任について
●編入制度や受験での帰国子女枠の有無など、学校によって仕組みはさまざま。またわたしが住んでいる地域では、中学校は高校に比べて、帰国子女を受け入れる学校が少ないんです。そのため、帰国して住む地域の学校の情報をしっかり集め、お子さまが何歳のときに帰国するか、何月に帰国するかといった帰国のタイミングを、お子さまとじっくり検討する必要があると思います

●帰国後に通う学校選びは、帰国する前から準備しておきましょう。学校ごとに、優先枠の有無や試験制度が違うためです。希望する学校に編入制度がない場合、帰国した時期によっては1年間入学を待たなければならないという事態も。海外赴任時に仲良くしていたご家族には、奥さんとお子さんだけ、ご主人より一足先に帰国するケースも見られました


海外から日本への帰国・赴任の場合も、「言葉の問題」や「文化・習慣の違い」「学校選び」は大きな課題です。日本人のお子さまであっても、幼いころから海外で生活していたり、海外生活が長く続いたりすると、日本語を忘れてしまうケースや日本の生活習慣に違和感を覚えるケースが見られるようです。
ちょうど受験の学年の場合は、情報収集、手続き、試験やその後の手続きなどたくさんこなすべきことがありますので、保護者の負担はかなり大きいものであることが体験談からもわかります。急に帰国が決まったり、逆に帰国が延びたり……とさまざまなケースが考えられますので、日頃から我が家はどうしたいか、何を大切にしたいかということをお子さまを含めて家族でよく話し合うことが必要ですね。


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