進学先は国内?海外? 就職率はどう変わる?
国内の大学と海外の大学。お子さまの進学先の違いは、将来の進路選択にどう影響するのでしょうか。株式会社ベネッセコーポレーション 高校事業部 グローバルサービス開発課の矢竹秀行さんにお話をうかがいました。
答えは「本人次第」。でもその背景に違いがある
海外進学に関するカウンセリングを行っていると、中高生のお子さまを持つ保護者のかたから「海外進学した人たちの就職率ってどうなんですか?」という質問を、よくいただきます。その際、私どもは「日本でも海外でも、あまり変わりません。ご本人次第です」と説明させていただいております。身も蓋もない答えだと思われるかもしれませんが、就職先が学歴で決まる時代ではありません。
そして「ただ2つだけ、確実に言えることがありまして」と、毎回付け加えております。
18歳の時点で、自己を徹底的に見つめ直す
1つは、海外進学者は大学受験の時点で徹底的に自己を見つめ直す作業を体験するということです。海外の大学受験はテストの点数だけで合否を判断されるわけではありません。
「あなたという人間は18年間何をしてきましたか」
「あなたはウチの大学で自分をどう活かしてくれるんですか」
「ウチの大学で学んだことを社会でどう活かしたいんですか」
と面接でしっかり問われます。
日本にいると22歳の就職活動の時点で、自分を見つめたり社会との関わりを考えたりしますが、海外進学者はそれを18歳の時点で徹底的にやるんです。22歳までそれをやらずに大学4年間を過ごした人と、18歳でやった人と、どっちのほうが大学4年間成長するかといったら、それは後者だろうと想像がつくと思います。つまり、企業がほしいと思う魅力的な人材というのは、英語ができるかどうかではなく、自分を徹底的に見つめ直して4年間の学びに活かしてどれだけ成長してきたのかどうかだ、という話なのです。
海外進学者は、一流企業という概念をも超越する
もう1つは、海外の大学に進学した学生は、大企業、一流企業という概念も変わる場合が多いということです。海外進学者は、受験の過程で自分のやるべき課題意識を強く持ちます。就職先を選ぶ際にも、その課題意識を自分の中に強く持っています。ですから「何をもって大企業なのか」という価値観が、一般的な国内進学者とは違ってきます。
最たる例は、ベネッセの海外トップ大進学塾である「Route H」を経験した、ある学生のエピソードです。ハーバード大学に進学したその学生は、2011年の大震災をきっかけにハーバードを休学し、外国人の同級生とともに約1年間仙台に住み込み、被災された方たちに音楽療法で心のケアをしたのだそうです。その学生のように、自分の持つアンテナや課題意識をもとに、自分にできること、自分がやるべきことを見つけて将来を選択していけば、一流企業の定義も変わると思います。
場合によっては、就職なんかしないで自分で会社を作っちゃったほうがいいと思うかもしれません。あるいは留学先の国で「こっちで会社を作ってくれ」と頼まれるかもしれません。どこであっても自分の価値を出せるだろうという感覚、自信を培う学生は、若いうちに自ら一歩踏み出した海外進学者に、多く見受けられます。