作文の書き方のコツは?原稿用紙の使い方のルールや構成の作り方を解説
- 学習
「何を書いたらいいかわからない」
「書くのに時間がかかる」
「文章がまとまらない」など
なかには、作文を苦手に感じているお子さまもいるでしょう。しかし、文章の書き方のコツと、保護者のかたの上手な関わり方を知っていれば筆がぐんと進みやすくなり、作文が好きになるかもしれません。そこで今回は、教育評論家である親野智可等先生に、原稿用紙の使い方から、テーマ設定・構成・文章の書き方などの作文のコツを詳しく伺いました。
物事を理解し、考える力が身に付く作文
作文とは文字どおり文章を作る(書く)ことです。文章を書こうとする時、人は頭の中で書く内容についてより深く考えるとともに、考えを整理します。頭の中で考えがまとまらない時に、「文章にするとよい」といわれているのはこのためです。
さらに、作文を書いていると(アウトプット)、わからないことが出てくるかもしれません。図鑑を見たり、検索したりして調べていくうちに新しい情報がインプットされます。
つまり、作文は、インプットとアウトプットの要素があり、物事を理解し、考える力を身に付けるための、ぴったりなトレーニングといえるでしょう。
原稿用紙と記号の使い方
まず、基本的な原稿用紙の使い方をご紹介します。迷った時に見返してみてください。
※原稿用紙と記号の使い方は教科書により異なる場合があります。迷った場合は、お子さまの学校の指導に沿って学習いただけますと幸いです。
書き方の一般的なルール
原稿用紙の一般的な書き方のルールには、以下のものなどが挙げられます。
・原稿用紙は1マスに1文字書く
・小文字の「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」なども同じく1マス使う
・句読点(、)(。)や、かぎかっこ(「 」)を使う時も原則は1マスに1つ
・句読点は行の始めには書かない
初めて原稿用紙に作文を書く人は、書き方のルールをおさえておきましょう。
題名と名前の書き方
縦書きの原稿用紙では、右端から作文の題名と名前を書きます。一般的な書き方は以下のとおりです。
・題名は、原稿用紙の上は3マスあけることが多い
・題名の次の行に名前を書く
・組と名前の間は1マスあける
題名は3マスあけて書くことが多いですが、厳密に「3マス」と決まっているわけではありません。また、名前の姓と名の間の1マスはあけても大丈夫です。
段落の書き始め
話が変わる時は、段落を変えます。段落の書き始めは、上に1マスあけてから文章を書きましょう。
数字の書き方
縦書きの原稿用紙を使う時には、数字は基本的に漢数字(一・二・三)を使います。
かぎかっこ(「 」)の使い方
かぎかっこは、
・会話文
・心の中で思ったこと
・目立たせたい部分
・本からの文章の引用
・本のタイトルや物語の題名
などで使用します。
会話文を書く時は、行を変えてかぎかっこを使うことが多く、思ったことを書く時には、行は変えずに書くことが多いです。
その他、いろいろな記号の使い方
・二重かぎかっこ(『 』)
かぎかっこの中でもう一度かぎかっこを使う時は、二重かぎかっこ(『 』)を使うことが多いです。
・三点リーダー(…)
途中で言葉を止めたり、黙ったりした時に使います。「…」で2マス使うことが多いでしょう。
・中黒(・)
黒ぽちや中ぽつなどと呼ばれることもある中黒。箇条書きや外来語、外国人名の区切りで使われます。
原稿用紙の書き方や基本的なルールをご紹介しましたが、「必ずこの書き方でなければならない」というわけではありません。作文に慣れていないお子さまに、ルールを厳しく指摘してしまうと、作文に苦手意識が芽生えてしまうこともあります。
作文で一番大切なのは中身だということをぜひ覚えておいてください。
作文を書く手順と書き方のコツ
ステップ1 テーマを設定しよう
お子さまが楽しんで作文を書くためには、テーマ設定が一番重要といえます。
学校からの宿題では、テーマが決まっていることが多いかもしれませんが、テーマを自由に決めていい場合は、お子さまが楽しく書けるようなテーマ設定をしましょう。
作文に慣れていないお子さまの場合は、保護者のかたとお子さまとで会話を楽しみながら、「子どもが一番興味のある話題」をテーマにするのがおすすめです。「最近楽しんでいることは何か」「熱中していることは何か」など、保護者のかたが日頃からお子さまを観察しておくと、テーマを見つけやすいでしょう。
ステップ2 作文の内容について考えよう
作文の内容がすぐに思いつかない時や、内容が膨らまない時は、保護者のかたとお子さまとで会話をしながらより具体的にしていきます。テーマの中で、一番心に残っているシーンや心が動いたシーンを会話の中から探り、内容を膨らませていきましょう。
ここで大切になってくるのが、保護者のかたからの質問力です。
たとえば、「初めてのサッカーの試合」がテーマの場合、
「初めてのサッカーの試合はどんなことにドキドキした?」
「一番何が印象に残っている?」
「監督にほめられてどんな気持ちになった?」
など、サッカーの試合での出来事やその時の気持ちなどを深掘りし、作文に落とし込めるようにアシストしてあげましょう。
よい作文を作る鍵は、保護者のかたとお子さまとの会話の中にあります。お子さまからはなかなか出てこない言葉の表現も、会話をとおして言語の幅を広げてあげられるといいですね。
ステップ3 実際に作文を書こう
興味のあるテーマで、保護者のかたとお子さまとの会話から書きたい内容を膨らませることができれば、スラスラと作文が進んでいくでしょう。
実際に作文を書くタイミングでは、保護者のかたは黙って見守ることが大切です。「ここの文字間違っているよ」「書き方が違うよ」など、指摘したくなることもあるかもしれませんが、グッと我慢をして静観しましょう。
もしお子さまの筆が途中で止まってしまったら、保護者のかたの出番です。既に書いている部分をほめて、そのあとはまたお子さまと会話をすることで、新たに内容を膨らませてあげるとよいでしょう。
ステップ4 保護者のかたが読んでみて共感する&ほめる
最後は、お子さまの作文を読んでみて、「文章の中身に共感すること」と「表現をほめること」をおすすめします。「この時ドキドキしたんだね」「自分の気持ちがわかりやすく書けているね」など、共感してほめることで、「作文って楽しい!」「また作文を書きたい!」と思えるでしょう。
「誤字脱字や文章表現の見直しを……」と思う保護者のかたもいらっしゃると思いますが、見直しを苦痛に感じるお子さまは多いものです。楽しく作文を書くためには、書いたあとに指摘をするのは控えるほうがよいでしょう。
読者をひき付ける作文にする3つのコツ
最後に、読者をひき付ける作文のコツを3つご紹介します。
読者をひき付ける題名を考える
作文でまず読まれるところは「題名」です。オリジナリティーのある題名にすることで、「この作文読んでみようかな」「他の作文とはひと味違うのかな」と思ってもらえるかもしれません。
【例】
例:初めてのサッカーの試合を終えて → ゴールへの一歩! 初めてのサッカーの試合
書き出しを工夫する
題名で読者を引き付けたあとは、原稿の1行目の書き出しも工夫してみましょう。1行目でさらに引き付けることができれば、「この作文、もっと読んでみたいな」と思ってもらえる可能性が高まります。
【おすすめの書き出し例】
・一番書きたいことを初めに書く
例:ぼくは、このサッカーの試合で人生が変わった。なぜなら、……
・会話から入る
例:「まこと、パス!」僕は大きな声で叫んだ。まことは、……
・音から入る
例:カーン! ボールがゴールポストに当たった。ぼくは、……
・ことわざから始める
例:「石の上にも三年」一年生からサッカーをがんばってきたぼくにぴったりの言葉だ。
上の例を参考に、どんどん先を読みたくなる書き出しを考えてみてください。
作文に合った文体を選ぶ
作文の内容に合う文体を選ぶと、表現のバリエーションが広がります。
【文体の種類】
・独り言(例:ドキドキしてきた。初めてのサッカーの試合はやっぱり緊張するな。)
・日記文体(例:今日は楽しみにしていたサッカーの試合でした。)
・物語文体(例:雲一つない晴れた日。ピッという笛とともに試合が始まった。)
など
保護者のかたは、「こんな文体もあるよ」と、お子さまに教えてあげてみてください。
まとめ & 実践 TIPS
インプットとアウトプットにより、物事への理解と考える力が身に付く「作文」。作文が苦手なお子さまには、保護者のかたとの会話の中で、作文が書きたくなる興味のあるテーマを見つけ、内容を深掘りしながら構成を考え、自由に文章を書くという方法がおすすめです。
そして、書きあげた作文を共感しほめることで、お子さまの「また作文を書いてみようかな」という気持ちを引き出すことができるかもしれません。
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