国語の物語文の問題で、何が書かれているのかがよくわかりません[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
【質問】
国語の物語文の問題が苦手です。何が書かれているのか、内容を理解できません。問題を解く時は何度も読み直さねばならないようです。
相談者:小5女子(神経質・論理的なタイプ)のお母さま
【回答】
アニメーションや入試問題でイイタイコトをとらえる練習をする
■何を言おうとしているのかがよくわからない
物語を読んで、あらすじを言えない子どもは少ないと思います。難しいのは、筆者のイイタイコト(テーマ)を、ズバリと短い文でまとめることです。物語を読んで、さっとその文章のテーマを言えるような子どもは、なかなかの国語力の持ち主といえるでしょう。今回のご質問にあった「何が書かれているのかがよくわかりません」というのも、筆者のイイタイコトをとらえるのが苦手という意味だと思います。
物語文の問題は、文脈に沿ってその時点での心情などを問う問題が多いのですが、物語のイイタイコトをとらえておかないとできない問題も少なくありません。あらすじだけでなく、イイタイコトをとらえられるようになることは、非常に大切なことだと思います。
■アニメーションを見て練習
イイタイコトをとらえる練習としては、文字からではなく映像から入る方法もあります。手軽なのは、メッセージ性が強く、1話で完結するアニメーションでの練習です。こうした話を親子で見て、作者の伝えたかったメッセージを語ることで、イイタイコトのとらえ方やそれを表す言葉を学ぶことができます。
文字からではなく映像で入ってきますから、どこでつまずいているかがより明確にわかります。つまり、テーマのとらえ方に問題があるのか、あるいは単にそれを言葉で表現できないのかということです。原因がわかれば、対処もしやすくなると思いますので、まずはアニメで練習するのがよいかもしれません。
■テーマのとらえ方
物語のテーマをとらえる時に注目すべきことは、「変化」とそのきっかけとなる「出来事」です。変化には、「気持ちの変化」や「人間関係の変化」などがあります。そして、筆者の「イイタイコト」はこうした変化や出来事をとおして読者に伝える場合が多いのです。たとえば、「友達って大切だね」とか、「あきらめなければ道は開けるよ」というようなものなどがそれに当たります。
さて、イイタイコトはなんとなくわかるが、それを言葉にできないお子さんも多いと思います。どう言ったらいいのかわからない、言葉が見つからないという具合です。このような苦手は、保護者のかたの手助けで克服できます。一緒に考える、必要に応じてヒントをあげるなどのフォローをしてあげましょう。こうした練習を通して、上手に表現できるようになっていくと思います。
■最後は入試問題で確認
映像でのテーマのとらえ方やその表現に慣れてきたら、いよいよ物語文の文章を読んでいきます。ただし、ここでいう物語文とは本ではなく入試問題文のことです。なぜ入試問題文を使うかというと、文章が短くまとまっている、テーマがはっきりしている場合が多いからです。映像でしっかり練習してきましたから、文章でもテーマをとらえてそれを表現することができるようになっているはずです。
しかし、まだボンヤリしているようなら、大切なところを読み飛ばしている可能性があります。もう一度文章を読み返して、物語の内容を深く味わってみましょう。最初のうちは、読み飛ばし防止のために「音読」から入る必要があるかもしれません。さらに、ここでも保護者のかたのフォローが必要かもしれません。また、読む物語文は、テーマがはっきりしているものを選ぶようにしましょう。
なお、こうした練習をする時は、問題文を読むだけで問い(設問)を解く必要はありません。問いまで解くと時間がかかりすぎて、長く続けることができなくなるので注意してください。一つの物語文を読んで、イイタイコトについて考えるという練習はせいぜい15分もあればできるでしょう。そうした練習を繰り返していけば、徐々にイイタイコトがわかるようになっていくと思います。