デマ拡散や著作権侵害、起きやすい子どものスマホトラブル注意点【メディアリテラシー編】
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スマホを持つ年齢は少しずつ早まっていますが、子どものスマホデビューにあたって、気を付けるポイントは何でしょうか? 『しくじりから学ぶ 13歳からのスマホルール』の著者であり、スマートフォンアドバイザーのモバイルプリンスこと島袋コウさんに、子どものトラブル例と対策を伺いました。今回は、主にメディアリテラシー・情報リテラシー不足から起こるトラブルを解説していただきます。
不確かな情報(フェイクニュース・デマ)によるトラブル
【実例①】「コロナウィルスには○○が効く」というメッセージが知人から来たので、他の人にも知らせた。
【実例②】「このアカウントをフォロー&リツイートしたらプレゼントが当たる!」につられて、保険証の番号や写真を送った。
【実例③】生活の裏ワザ動画で見た、レンジを使ったテクニックをまねして火事になりかけた。
実例①は、フェイクニュースやデマの典型的な例です。2016年のアメリカ大統領選で問題になり「フェイクニュース」という言葉が世界中で知られるようになりましたが、デマや根拠の不確かな情報は、子どもの身近なところにもあふれています。
実例①のように一見よさそうな情報だったり、こういう犯罪が起こっているから気を付けて、といった注意喚起だったり、ニュースになっている事件の被害者って実はこういう人だったらしいよ、という根拠不明な情報だったり。大小とにかくたくさんあります。
実例②のように、無料で参加できる懸賞などにつられる例も多いです。応募すると「補欠だからすぐに保険証の番号や写真を送るように」と言われ、送ると脅迫された、あるいは「落選したが、この情報を買えば大もうけできる」と情報商材の宣伝がたくさん届いた、という事例もあります。
実例③のような裏ワザ動画も、最近はやっています。たとえば、コンセントの配線はこうすると便利! と紹介されている生活テクニックも実は火災のリスクがあるなど、無害に見えて実は問題があるものも多くあります。
対策:「情報を見る目」をどう養う?
「ソースの確認」を習慣付けよう
ネット上の情報は玉石混交で、有益なものもあれば、事実に基づかないものもたくさんあります。信ぴょう性を見極めるには、ソース、つまり情報の出所の確認をすることが欠かせません。発信源が信じていいところかどうか、いったん落ち着いて検証するクセをつけることが必要です。
検索して出てきた情報なら、URLを確認すれば出所がわかることがあります。公的な機関や、報道各社のニュースであれば、ある程度の信頼性は担保されていますが、個人運営のブログや、具体的な証拠や根拠のないSNSでの情報は、他の情報源なども探してじっくり判断するように心がけましょう。
情報を見る時には、「事実」と「意見」の違いを意識することも大切です。ネットでは、簡単に情報が拡散されていきますが、その過程で、まるで伝言ゲームのように内容が少しずつすり替わり、新たな「事実であるかのようなもの」が生まれやすいことも、覚えておきたい点です。
「フィルターバブル」というネットの特徴
ネットの特徴として、アルゴリズムで自分に都合のいい情報だけが出てくる「フィルターバブル」という構造があります。都合の悪い情報は遮断し、バブル(泡)の中のように、自分にとって心地いい情報だけに囲まれてしまうのです。
情報が偏らないようにするためには、いろいろな情報を意識して取りにいくことが大事です。食事のバランスを心がけるように、情報もバランスを心がけましょう。
ネットは速報性が高く、多くの情報が出てきますが、一晩おいて新聞記事、もうしばらくたって雑誌・テレビ・ラジオなどでも確認する、といったように、時間をかけて判断することも大切です。
どれが絶対に正しいというものではなく、メディアごとに特徴があるので、さまざまな角度から多角的に見るように心がけましょう。
著作権・肖像権の侵害によるトラブル
【実例④】レポート作成の時に、ネット情報をそのまま使ったら、ばれて怒られた。
【実例⑤】友人との写真をSNSに載せたら、友人から文句を言われた。
実例④は、先ほどの情報の信頼性の話にもなりますが、ネット上の情報は間違っているものも多くあります。
また、ネットの情報をコピペ(コピー&ペースト)しただけでレポートをまとめると、著作権の侵害になります。「人のコンテンツを盗む」のはいけない、ということですね。
実例⑤も、うっかりやりがちな例ですが、他の人の写真を撮影してアップロードすると肖像権の侵害になります。たとえば芸能人を見かけた時なども、本人に撮影と投稿の許可を取ったのであればいいのですが、無許可だとNGです。写真でなくても、この場所で誰々を見た、といった目撃情報をネットで見かけることがありますが、あれもプライバシー権の侵害となる可能性が高く、迷惑をかける可能性があります。
対策:著作権や肖像権、正しい知識を得る
引用のルールを知って、著作権を守る
ネット上の情報をコピペしてレポートや論文を書くと著作権侵害になりますが、「引用」という形で利用することは可能です。引用にはいくつかの条件・ルールがあって、出典を明示し、どこからが自分が書いた文章で、どこが引用なのか、明確にわかるように書きます。大事なことは、自分の伝えたいことがメインになっていること。それを補うために引用する分には構いませんが、あくまでも調味料であり、自分の料理として出してはいけません。
引用のルールを知っておくと、いろいろな記事を見た時、情報の信頼性を判断することができます。これは引用の条件を満たしていない雑な記事だから怪しいな、といった感じですね。一朝一夕には身に付きませんが、今の時代、覚えておくべき内容です。
肖像権やプライバシー権は誰もが持っている
肖像権は誰もが持っている権利です。友人と写った写真を勝手に公開すると肖像権の侵害ですし、そもそも載せたくない人もいるので、友人関係にも影響します。また、子どもの写真を親が勝手に投稿するのもNGです。人の写真を載せるなら許可を取る、モザイクを入れたり消したりするアプリを利用する、と覚えておきましょう。
まとめ & 実践 TIPS
日頃から情報の信頼性を確認するなど、親の情報への接し方を見せることも、子どものメディアリテラシー教育につながるのではないでしょうか。
次回は、スマホによるコミュニケーションのトラブル例について解説していただきます。
(取材・文/荻原幸恵)
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