横山光昭さんが実践!「小学生がおこづかい投資」のお金教育。リスクはあるの?
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子どもの「お金教育」、できていますか?
子どもには正しいお金の知識を身に付けてほしいものですが、「お金の話は苦手……」という保護者のかたも多いですよね。夫婦ともにファイナンシャルプランナーの横山光昭さんのお宅では、お子さんたちが「投資」を実践。投資経験は子どもの金融リテラシーに効果があるそうです。でも、保護者が投資未経験でも大丈夫でしょうか?
投資教育で、お金のスキルが身に付けられる
──横山さんの著書に『子どもが10歳になったら投資をさせなさい』がありますね。子どもが投資を経験するメリットは何でしょうか。
横山光昭(以下横山):まず、子どもにはお金についての理解を深めてほしいと思っています。子どもたちがお金を理解するようになると、将来「クレジットカードを使い過ぎてしまった」「借金をつくってしまった」といったトラブルに見舞われる危険性を減らすことができます。
お金の理解を深めるには、投資の実践が適しています。「お金が働いてくれる」投資を早くから学ぶことで、しっかりとお金のスキルを身に付けられるメリットがあります。
──大人になってからではなく、子どものうちから投資を経験したほうがいいですか?
横山:子どもは素直なので、「投資でお金増えるの?」と驚いて、お金の知識を吸収しやすいですね。会社も成長すると価値が増えますし、お金も価値が変わります。現金で置いておく以外に投資という方法があることを実感できますし、多くの人が会社に投資することで株価が上がるといった経済の流れを身近に感じることもできます。
自分の子育てと多くの家計相談の経験から、私は10歳前後での投資スタートをおすすめしています。おこづかいについても、計画的に使い道を考えられるようになる年齢です。
リスクについてどう教える? 注意点は
──10歳というと小学4年生か5年生ですね。リスクはありませんか?
横山:もちろん、投資にリスクはあります。リスクは「危険性」と思われていることが多いですが、「不確実性」と考えてください。ハイリスクとは、儲かる可能性も高く、損する危険性も高いということです。
子どもに限らず、私がおすすめしているのはローリスク・ローリターンの長期投資です。短期間で変化は見られませんが、その分、長期間でのお金の働きぶりが見えやすいんですね。
──横山家では、お子さんたちの投資で問題になったことはありますか?
横山:問題というほどではないですが、「長期で少しずつ育てる」投資は短期的な面白さには欠けるので、少し山っ気がある投資に手を出してしまうことがあります。結果として、購入した時の金額より価格が減少しているものも。とはいえ大きな失敗にはなっておらず、小さな失敗経験として無駄ではないと思っています。
親も投資未経験。子どもが「おこづかい投資」を始めるには
──小さな失敗が経験できるほど、お子さんが自分で投資判断できているんですね。保護者に投資経験がなく金融リテラシーにも自信がない場合、どんな意識を持ったらいいでしょう。
横山:親世代も子ども世代も、将来年金だけに頼って暮らしていくのは難しいと認識したほうがいいですね。でも、それほど不安になる必要はありません。苦手意識があるなら、親子で一緒にお金の知識を増やしていきましょう。
──子どもが投資をする場合、まずは何から始めたらいいですか?
横山:投資取引をするためには、銀行口座とは別に証券口座が必要です。未成年口座を開設してもいいですし、親の口座を使って、親子で話し合いながら一緒にやってみてもいいと思います。
──子どものおこづかいでもできますか?
横山:株式を買うにはまとまった金額が必要ですが、「投資信託」なら100円から購入が可能な証券会社もあります。1,000円分購入した投資信託が値下がりしたとしても、損害は最大1,000円です。投資信託とは専門家が運用する詰め合わせのような金融商品。株式に比べ上がり下がりも穏やかなので、落ち着いて見守ることができますよ。
お金の知識を持つことで、お金に振り回されない人生を
──投資には「怖い」イメージを持っていましたが、それなら気軽に始められますね。ファイナンシャルプランナーのお仕事でも、投資の相談をするご家庭は増えていますか?
横山:ここ2年ほどで非常に増えました。iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(ニーサ)が話題になっていることもありますし、投資が特別なものではなくなってきているなと感じます。子どもが成長したら自分で運用するようにと、0歳の赤ちゃんの証券口座を開設するかたもいらっしゃいますね。
──お金の意識が変わってきたということでしょうか。お金のスキルを持つと、子どもは将来お金に困らずに済みますか?
横山:「老後2,000万円問題」のニュースを聞いた時、投資をしている娘は不安を感じなかったようです。投資の年数が長ければ運用利益が大きくなることも期待でき、将来に対する不安を減らすことができます。
「お金に困らない」だけでなく、「お金に振り回されない」効果もあります。お金にはいくらあれば十分といった目安がありません。大切なのはお金に対する自分軸を持つこと。お金の大事さを知りお金の知識を持つことで、逆に「お金がすべてではない」と考えられるようになります。投資思考は、生きていくための大きな力になってくれると思います。
まとめ & 実践 TIPS
金融リテラシーが低いと言われる日本では、投資経験のある小学生はまだ少数派です。「お金を増やす」「損するのでは?」といったことばかり気になってしまいますが、投資教育には、お金が働く仕組みを理解できるメリットもあります。苦手意識があるかたは、まずは親子でお金の話をするところから始めてみてもいいですね。
編集/磯本美穂 執筆/樋口かおる
『子どもが10歳になったら投資をさせなさい』(横山光昭著、青春出版社刊)
家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナーの横山光昭氏が教える、学歴より大切な《お金のスキル》。6人の子育て経験と2万3,000人を超えるお金の相談から導き出された、親が子どもに与えるべき投資思考を紹介。
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