お金の話は親子で気軽に話し合ってみよう
これから冬に向けて、受験生はやる気モードで冬期講習、その他の子どもたちにとってもクリスマスやお正月…と、子どもをもつ親からすると、お金がまるで羽の生えたように飛んでいく季節がやってきます。
飛んでいくのは仕方がないと割り切ることもできますが、できれば、飛んでいく時にちゃんと親子で話をするという習慣を今年の冬から始めてみるのはいかがでしょうか。
調査からわかる子どもの意識
今回は、子どものお金事情を探るために、金融応報中央委員会というところが運営しているサイト「知るポルト」で調査された2015年「子どもの暮らしとお金の調査」のデータを見ていきます。
このデータの興味深いところは、小学校低学年、小学校中学年、小学校高学年と学年別に分けて調査している点でしょう。
その中で私が着目したのは、「家の人と、次のこと(次のこと=お金)について話をしたことがありますか」という質問です。低学年で32.9%、中学年で39.4%、高学年で16.2%がお金について「話す」もしくは「よく話す」と回答しています。
このデータを見る限り、家庭でお金の話をするという状況はなかなか少ないようです。
特に、高学年では他学年よりも大幅ダウンの16.2%ですから、まずは、反抗期が来る前の素直な時期に、少しでも親子で話し合うことも大事だとわかるでしょう。
小学校高学年はここに注目
小学校高学年の回答で、一点注目したいデータがあります。
それは、「自分の貯金が銀行や郵便局にありますか」という問いに「ある」と答えたのは41.5%と、ある程度把握しているという数字と言えるでしょうが、さらに踏み込んだ「あるようだが、家の人がしているのでよくわからない」という回答が28.9%というのは少ない気がしています。これから、12月のクリスマス時期、1月のお正月と、親からもしくは叔父叔母など、たくさんの財布から子どもにお金が集まる時期です。親からすると、子どもにお金の話をしてもわかるわけないという思いもあるでしょう。ただ、小学校高学年くらいであれば、話をすればわかります。できれば、どれだけお金が集まって、これはどんな時のために貯めておくのか、「銀行の貯金も今年はこれくらい貯まったから、大学に行きたいなら、あとどれくらい貯められるといいね」などと親子で話し合うということもできるのではないでしょうか。もらったお金の中でも、「これはすぐ使いたいお金」「貯めておいてもよいお金」と色分けすることもそろそろできるはずです。
子どものお金の使い方は子どもに把握させる
そして、これは低学年特有ですが、子どもにお金を与えてはいるものの、低学年ではお小遣いを与えるのは「ときどき」「お祭りの時」などと、定期的に子どもに与えていないことが見受けられるのです。低学年の意識でも「500円は大きい金額だと思っている」という回答が多いことを考えれば、ちょっとした買い物、おやつやジュースなどはお小遣いを受け取ってその都度買っているという現状がうかがえます。ただ、ファイナンシャルプランナーとしておすすめしたいのは、子どものお金はもっと大きい枠として子どもに把握させるということです。そこで、金銭教育と気を張らず、少しずつ大きな金額を使う方法に慣れるように、低学年のころから練習し、どう使えばお金がなくなるのか、どんな使い方はお得なのか、少しでも学ぶ機会を多くしていただきたいのです。
将来きっと役に立つお金の知識
ご存知のかたもいらっしゃるとは思いますが、小学6年生の時に、自分で考えたカードゲームを販売する会社を設立したお子さんがいらっしゃいます。今は、現役高校生で、「代表取締役」という肩書になっているそうですが、このお子さんのように、これからは、子どもたちのキャリアの希望は、雇われるのでなく、「自分で会社を設立する」夢を抱くことが選択肢のひとつに挙がるかもしれません。アメリカでトランプ氏が大統領選挙を勝ち抜いたように、思ってもいないことが起こる時代です。そして、会社を設立する時に役立つのは、お金の知識です。これまでに「0円で株式会社が設立できる」などという言葉を聞いたかたもいらっしゃるでしょうが、会社を設立する時の資本金は運営資金となり、毎年事業計画を立て、法人として確定申告することが求められるのです。お金の流れがわからない人に会社を運営することはできません。
子どもにとって、勉強も大事ですが、ちゃんと生きていくためにはお金の知識は欠かせません。右肩上がりの給与で一生同じ会社で働き続けられるかたばかりではありません。どんな時でも、資金計画を立て、運営していくことは、家計のやりくりにも通じるだけでなく、どんな職業でも求められる知識です。この冬は、まず子どもにこれまでより少し多めのお小遣いとお小遣い帳を与えることから始めてみてはいかがでしょうか。
(筆者:當舎緑)