「過去問」にどう取り組むか 後半戦のメインテーマ「過去問」の取り組み方[高校受験]

3年生は、そろそろ受験校の目安がついてきた頃でしょうか。3年1学期までの学習の総復習が済んでいれば、次は実戦的な勉強です。それは、公立高校の過去の都道府県共通問題、私立高校の「過去問」に取りかかることです。「過去問」に、どのように取り組めばいいのかを考えます。



「過去問」にどう取り組むか 後半戦のメインテーマ「過去問」の取り組み方[高校受験]


■なぜ「過去問」を解くのか

受験生本人は、何となく苦手な教科、不得意な分野があることはわかっています。ですが、「どこがどう」というと、案外これが明確ではないのです。そこで、過去問を解いてみると、そのような復習するべき分野・単元を客観的に確認することができるのです。解けないところが見つかり、その問題を解くための学習をすることが、秋からの受験勉強には一番有効です。

伝統のある私学には「こういう生徒を育てたい」といった“教育理念”や“建学の精神”があります。そのため「こういう生徒に入ってきてほしい」、だから「こういう入試をしたい」という考えがあります。学校によっては、入学してきた生徒が当校の授業で積極的に学び、理解して成長できるように、入学後の授業レベルを意識した入試問題を作成しているところもあります。いずれにしても、入試問題は教育理念を色濃く反映していますから、学校ごとの個性が表れて「出題傾向」となるのです。このような点からも「過去問」をやる意味があるのです。

また、私立高校の受験を終えた保護者からは、「『偏差値の高低』より『過去問との相性』のほうが、合否に比例していた」という感想を聞くことがよくあります。確かに、一般的な問題が出題される模試で高い偏差値が出たとしても、受験校で高得点が取れるという保証はありません。そのため、早めに「過去問」を解くことで、出題される問題の面から、我が子の受験校としてふさわしいかどうかを判断する必要があるのです。その一方、是が非でも入りたい学校がある場合は、その学校の問題レベル、傾向、配列をつかみ、少しでも点が取れるよう、トレーニングすることが大事です。



■「過去問」に取りかかる時期

「うちの子は、公立の共通問題はもう○回やった」など、他の保護者の話を耳にすると、「うちも早く取りかからなくては……」と焦るでしょう。ですが、「過去問」に取り組む時期は、お子さまの状況次第、それぞれなのです。

中1から中3の1学期までの範囲をひととおり勉強し終え、総復習も済んでいるなら、すぐに「過去問」に取りかかってもいいでしょう。
しかし、もう少し学力をきちんと伸ばしたい、不得意分野を少しでも克服したい、基礎をきちんと押さえたい、などの考えがあるのなら、焦ることなく、その勉強を地道にコツコツ積み重ねたほうがいいでしょう。
そのような積み重ねをせずに「過去問」に挑戦すると、できない問題が多く、自信を失って志望校を変えたくなったりすることもあるからです。
あくまで、お子さまの勉強の進み具合で判断してください。場合によっては、たとえば難関私立などの「過去問」は、実力がついてから、と割り切ってもいいでしょう。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

子育て・教育Q&A