作文力はどうすれば身につく?鍛える方法や差がつくコツ、保護者ができるサポートも

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作文や読書感想文が苦手というお子さまもいらっしゃるのではないでしょうか。夏休みの宿題として出されたものの、どう書けばいいかわからないと困り果てていることもあるかもしれません。そこで、作文力を鍛えるための方法や、読み手の気持ちを動かすコツ、保護者ができるサポートをご紹介します。

この記事のポイント

子どもの作文力を上げるうえで大切なこと

国語の勉強は嫌いじゃないけど「作文は苦手」「書き方や勉強法がわからない」という子どもは多いものです。お子さまが苦手意識を口にしても、否定しすぎないようにしましょう。どう書けばいいのかもわからないのに「もっとちゃんと書きなさい」「文章がワンパターンになってる」と注意されてばかりいては、ますます苦手意識を強めていってしまいます。まずは、次の2点を理解しておきましょう。

作文力のベースになるのは「読む力」

「書く力」の土台となるのは「読む力」です。よい文章を読んでいないと、よい文章を書くことはできません。なぜなら、よい文章を読むことで文章の型や表現を学んでいくことができるためです。やみくもに書かせる前に、まずは良い文章、上手な作文に触れるようにしましょう。

少しずつ上達していくものと理解する

作文力は、一朝一夕であがるものではありません。水泳の正しいフォームを理解したからといって、すぐにできるようになるわけではないのと同じで、上達には時間がかかるものです。小学生のうちからトレーニングを始めましょう。なかなか上達しなくても急かすことのないように注意が必要です。
また、漠然と書くだけではうまくはならないものです。「今回はたとえや比喩を使ってみよう」「会話を効果的に使ってみよう」「擬音語をうまく使おう」など目標を決めて書いて、添削を受けることで徐々に力をつけていけるようにしましょう。

作文力をつけるメリット

作文力を身につけることは、上手な作文を書けるようになるだけではなく、4つものメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。

1:筋道立てて考える力がつく

作文を書くときには、何をテーマにするか、最も伝えたい内容は何か、それを伝えるためにどんな構成にするか、主張と理由はどう示すか・・・など、筋道を立てて考えることが必要です。この繰り返しで、筋道立てて考える論理的思考力が強化されていきます。

2:コミュニケーション力を高められる

作文力を磨くことで、自分の伝えたいことを、正しく効果的に伝えられるようになります。伝える力は、コミュニケーション力の基本。普段の会話ももちろん、学校の発表、入試の記述問題などにも生きてくる力となるでしょう。

3:自分への理解が深まる

作文や読書感想文では「自分はどう感じたか」「どんな意見を持ったか」「それはなぜか」などを徹底的に掘り下げていきます。その繰り返しで、自分の価値観や考え方を客観的に理解できるようになるでしょう。これはメタ認知と呼ばれ、今注目されている非認知能力を鍛えるためにも欠かせないものだと言われています。

4:入試の記述問題や小論文にも役立つ

昨今の入試では、一問一答のような知識問題は減り、記述や作文・小論文の割合が増えてきています。これらは、伝えたいことや解答要素を与えられた条件で抜け漏れなくまとめることが必要なもので、作文力を磨くことで強化されていきます。作文力は長期的に磨いていくもの。小学校のうちから、意識して養成していきましょう。

子どもの作文力を鍛える方法5つ

ただやみくもに文章を書かせても、効率的に作文力を鍛えていくことはできません。次の5つの方法を参考にトレーニングしていきましょう。

1:お手本となる作文の良い点を真似る

作文が苦手な子どもは、表現がいつもワンパターンになってしまいがちなもの。この課題を解決するには、良い文章や良い作文の表現を真似て使ってみる練習がおすすめです。表現の引き出しを増やすことで、ワンパターンになってしまうのを回避していけるはずです。

お手本の文章や作文の気に入った表現を書き出して自分で使ってみてもいいですし、文章構成や展開を真似るのでもOK。真似をして型や表現を理解することで、徐々にオリジナルティが出せるようになっていくでしょう。

2:ワークシートやテンプレートを使う

考え方や表現の型を学ぶには、作文の構成を考えていくワークシートや、文章を作るテンプレートを利用するのもおすすめです。「テーマはどうするか」「一番心に残ったことは何か」「それはどんな様子だったか」「なぜ心に残ったのか」などワークシートに従って、整理していくことで、作文を書くプロセスを体感し、書くべきことが見えてくるはずです。ワークシート型の作文教材を活用するのもよいでしょう。

3:音読で良い文章とはどのようなものかをつかむ

「書けない」ことのボトルネックになっているのは、よい文章・よい作文とはどんなものかが理解できていないということもあります。とはいえ、よい文章やよい作文を見せても、黙読するだけでは字面を追って終わりとなってしまいがちなもの。音読をすることで、よい文章のリズムや表現を実感することができるようにしましょう。

4:親子や友達同士でインタビューする

「動物園にいきました。楽しかったです」など単純な表現だけで終わってしまうケースは、掘り下げ方をわかっていないことが多いものです。そのような場合は、インタビューごっこをすることで、掘り下げる視点をつかんでいくことができるでしょう。

「動物園で何が一番楽しかったですか?」「象のどんなところが心に残ったんですか?」「どんな目だったんですか?」といった質問に答えていくトレーニングをすることで、自分で自分自身を深掘りしていくことができるようになるはずです。

5:作文プランシートを作る

作文の構成を考える力を身につけるには「作文プランシート」を作ってみるのがおすすめです。いきなり原稿用紙に向かっては、伝わりやすい構成の作文は書けません。「テーマ・書く対象」「一番伝えたいこと」「伝えるための材料・情報(心に残った出来事や発言など)」「書く順番・構成」をまとめた作文プランシートを作成してみましょう。これは、いわば作文の設計図とも呼べるものです。 

差がつく!作文の工夫・コツ3つ

オリジナリティのある作文で差をつけるには、自分なりの表現の工夫をすることがポイントです。次の3点を意識してみましょう。

1:書き出しを工夫する

作文冒頭のツカミを工夫すると、読者をグッと引き込めます。あえて会話文や心の中の言葉で始めるのも効果的。動物園で象が印象に残ったことを伝える作文を書くケースを例に見てみましょう。

普通の冒頭
夏休みに家族で動物園にいきました。一番心に残ったのは、象です。

工夫した冒頭
「なんて優しい目をしているんだろう。」
私は象のおりの前で思わず声をあげました。

工夫した冒頭のほうが、読者に与える印象が強いと実感されたのではないでしょうか。

2:慣用句やことわざを使ってみる

「楽しい」「おもしろい」「驚いた」など単調な表現ばかりだと、読み手の印象に残りづらいものです。そうならないためには、慣用句やことわざを使ってみるのがおすすめです。「お化け屋敷でおどろきました」よりも、慣用句を使って「お化け屋敷で腰を抜かしました」と書くほうが、驚き慌てる様子が生き生きと伝わるでしょう。

3:比喩表現を使ってみる

決まった言い回しの慣用句やことわざでなく、比喩表現でオリジナリティを出すのもおすすめです。「お母さんが急に怒りだしました」ではなく「お母さんの顔がみるみる鬼のような赤い色と鋭い目になりました」と表現するなど、自分なりの比喩表現で読み手の心に印象を与えましょう。

子どもの作文力を鍛えるうえで親ができること

子ども1人で作文力を鍛えていくことは、ハードルが高いものです。次の3つのサポートで、お子さまの作文力を磨いていきましょう。

文章を一緒に読み返す

上手な作文にするポイントは、何度か読み返して推敲していくこと。自分の文章を客観的な目でチェックしていくことが大切です。

とはいえ、子どもは書き上げたことに満足して推敲を忘れてしまうことも多いものです。そのため、親子で一緒に読み返してみるようにしましょう。よく書けている部分をほめたり、わかりづらいところについて「ここはどういうこと?」と聞いてみたりすることで、お子さまも自分の文章を客観的にとらえることができるようになるはずです。また、漢字や文字の誤りがないかなども合わせてチェックできるとよいでしょう。

お手本となる作文を一緒に読む

書く力のベースは読む力とはいえ、読み慣れていないうちはいくらよい作文を見せられても、何がどういいかをつかむことが難しい場合もあるでしょう。そのため、保護者はよい作文を見つけて渡すだけでなく、一緒に読んでみるのがおすすめ。どんなところがよいかを解説したり、どこかわかりやすかったか、心が動かされたのはどこかなどについて親子で話し合えたりすると「よい作文の条件」をお子さまもインストールしていくことができるでしょう。

親子で交換日記

文章や作文を書くトレーニングは、時に辛さや苦しさも感じてしまうものです。そのため、「書く楽しさ」「伝える楽しさ」を感じられるサポートもしてあげましょう。

中でもおすすめなのは、親子で交換日記をすること。お子さまが書いた文章にポジティブな反応やコメントを返すことで「伝えるのは楽しいな」「もっと書いてみたい」という気持ちを刺激することができるはずです。たとえお子さまの文章がつたなくても、フィードバックのしすぎは禁物。「今日プールが楽しくてよかったね。どんなところが楽しかったの?」「そのとき、友達はどんな様子だったの?」など興味を持って質問すると、掘り下げたり深めたりすることができるようになっていくはずです。

日記の宿題が出る低学年のうちから取り組んでみましょう。

まとめ & 実践 TIPS

作文に苦手意識を持つ子どもは多いもの。でも、鍛え方を意識することでしっかりとした作文力を身につけていくことができます。作文や感想文の宿題が出たり、普段よりも時間がとれる夏休みは作文力を鍛える絶好のチャンス。今回ご紹介した方法を参考に、親子で楽しく作文力の養成に取り組んでいってみてください。「書くのって楽しい」「伝えるのはおもしろい」と感じられる雰囲気作りも忘れないようにしたいですね。

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