「お茶わん」から始めよう! おうちでできる思考力の伸ばし方​—STEAM教育「アート思考」

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「今の激しい時代の変化を乗り越え、さらには楽しむ強い子になってほしい。けれども、子どもに何をどう教えたらよいかわからない」などと、お考えになることはありませんか?

そこで、近年注目されているのが、STEAM教育の中の≪Art≫、「アート思考」です。

身近な「お茶わん」を使った、親子で一緒にできる思考力を高めるワークショップも後半にご用意しております。「アート思考」を使った深い対話のキッカケにご活用ください。

この記事のポイント

今世界で起こっていることは? —変化が激しいからこそチャレンジができる時代

現代は、先行きが不透明で将来の予測が困難なVUCA(ブーカ)の時代といわれています。

正解があった時代から正解がない時代へ入ったばかりの今日では、変化に対応するので精いっぱい。
しかし、正解がなく自ら開拓していく時代であるからこそ、自分なりのオリジナルの答えを考えてチャレンジできる時代でもあります。

変化の激しい時代をお子さまが楽しみながら生きていくために必要なのは、≪変化に強く、自ら思考し創造していく力≫です。

小学生~高校生時代は、将来どのような大人になっていくのか、多くの可能性と希望を秘めている時期。
勉強を通して学ぶなかで、より広く大きなことを身近な自分ゴトととらえられると、自らの可能性もより大きなものとして自覚することができ、前向きに生きていくことができます。

これからご紹介するアート思考は、≪なぜ勉強をするのか?≫という、簡単で難しく、勉強の質、そして人生の質にかかわる重要な問いに対しての解をサポートしてくれる考え方の1つです。

アート思考とは? —情報の点と点を結び、物事を立体的にとらえる!

お子さまには得意な教科と苦手な教科はあるでしょうか? 国語は得意だが社会は苦手とか、体育は得意だが理科は苦手などあるかもしれません。
もちろん向き不向きや好き嫌いはあります。しかし原因は、≪教科ごとに関連性がなくバラバラにとらえていること≫かもしれません。

たとえば国語と社会のつながりを、みていきましょう。
宮沢賢治の物語が好きな子の場合、「作者はどうしてこういう風景の描写をするのだろう」「なぜ、この言葉の言い回しをするのだろうか?」と興味を持つかもしれません。
そして、宮沢賢治の出身地である岩手県を調べることで、歴史や地理といった社会に興味がつながります。

このように、物事や習った知識を点ととらえるのではなく、知識間に連動性を見いだし、立体的に世界をとらえるために、勉強しているのだと気付くことが大事です。
そして、その気付きをサポートしてくれる1つの道具がアート思考です。

さまざまな変化が起こる教育のなかでも、世界的なキーワードとしてSTEAM教育というトピックがあり、そのなかのAはArtです。
アートというと絵を描くなどのイメージが強いですが、実は根幹には、哲学や深い思考力があります。

その思考・創造プロセスを芸術家以外の人にも応用しやすく加工しているものが、最近注目されているアート思考です。
下記のワークショップで、親子で一緒に、哲学と思考の時間を体験してみてください。

自宅でできるワークショップ—身近な「お茶わん」から、「なぜ勉強するのか?」を親子で考えてみよう!

学ぶことを前向きに楽しくするためには、物事を点ととらえるのではなく、連動性を持ち、立体的に世界をとらえていくこと(=思考力、創造力)が必要です。
ただし、「子どもには、思考力・想像力をつけてほしい」とは思っても、日々忙しいなか、一緒に深く考えていく時間は、取りづらいものです。

そこで今回は、保護者と子どもで一緒に考えながら自宅でできる、簡単なワークショップをご紹介します。
身近に存在する「お茶わん」を使い、最短で5分程度からできますので、移動中に、食事中に、寝る前に、ぜひ試してみてください。

①ワークショップ導入での会話
物事には必ず何かきっかけがあり、仕組みや流れがあり、そして最終的には世の中に何かしらの形で発信されます。
それらの物語の中には、さまざまなアイデアや知識や歴史が詰まっています。
まず初めに、目の前にある身近なことの物語を知ることから始めてみましょう。

②身近なものに注目する
普段よく使う道具を1つ選んでみましょう。今回は、いつも使っている「お茶わん」に注目してみます。

③問いを見つける
興味を持ったこと、疑問に思ったことをすべてリストアップします。
たとえば、このお茶わんはどこで誰によってつくられたものなのか? どういう過程で作られるのか? どのような歴史があるのか? どのような特徴があるのか?
また、なぜ自分はこのお茶わんを選んだのか、から考えてみるのも面白いかもしれませんね。

④知識を広げていく
会話の中で、もっと知りたいと思ったことをメモして、本やインターネット、または詳しいかたなどにお話を伺いながら情報をつけ加えていきましょう。

⑤体験してみてどうだったかを共有する
①〜④のワークをするなかで、
 ・知っている知識
 ・今回調べた知識
 ・知識と知識がつながった時に発見したこと、考えたこと
を中心に、どのような発見や、感動があったか意見を交換してみてください。
そのなかで、お子さまの思考がもう一歩進んでいくために、なぜそう考えたのか、から大切にしていると感じる価値観(哲学)を質問してください。

⑥どんなことをもっと知ることができたらワクワクするかを共有する
少し世界への視野が広がった今、どんなことをやってみたいか、どんな世界をつくって(創造して)いきたいかを、話してみましょう。
そのなかで、次回、このワークで取り扱うトピックを考えてみましょう。

(今回の流れのように、知識と知識のつながりから、世界への理解が深くなっていく体験を重ねていくことが、非常に重要です)

能動的に学んだことは身に付きやすく、また積極的に調べることができます。
そうすると、いつの間にかお茶わんから派生して、歴史や理科などにつながって立体的に考えていることに気付くはずです。

知識と知識がつながり始めると、世界がより身近に感じられて、知的好奇心がくすぐられ、「もっと知りたい!」という欲求が出てきて、≪学ぶ≫という行為自体が楽しくなります。 

勉強は楽しい! —世界とつながることで新しい正解を生み出すヒントになる

自分なりのオリジナルの答えを考えてチャレンジできる時代を、お子さまが楽しみながら生きていくために必要なのは、アート思考にもつながる≪自ら思考し創造していく力≫です。
この力は、お子さまの教育の課程においてだけでなく、社会に出てからも、ずっと大切な力です。

勉強する、学ぶことの意味を自ら認識することが必要であり、本記事でご紹介したポイントに着目しながら日々を過ごすことで、本質をとらえ、柔軟に自分で思考し対応していく力が身に付きます。
また、教科ごとに細分化、分断化して提供される教育を、お子さまにいかに立体的に自分ゴトとしてとらえてもらうかもポイントの1つです。

将来、お子さまがどのような道を選んで生きていくか、勉強を通して立体的に世の中を見ていくことで、今の時代には存在しないものも含めて、より多くの選択肢を増やす可能性が生まれます。また、現在興味を持っていることから派生して、新たな自分の側面を見いだせるかもしれません。自分で思考して新しい正解を導きだすためのきっかけに勉強はなり、充実した人生を歩みだす一歩にもなるのです。

プロフィール

株式会社Bulldozer 代表取締役運転手 / パラダイムシフター 尾和 恵美加

学習院大卒業後、新卒で日本IBMにコンサルタントとして入社。右脳爆発系と呼ばれ生き残る方法や、AIに対峙し人間の価値創出の方法を模索するなかで、アート私塾やデンマークKaospilotで学ぶ。帰国後に創業し、アートシンキングの先駆者として日経新聞でも取り上げられている。正解のない時代に価値判断の基準となる哲学から、未来を思考し、創造するプロセスを、人材開発をはじめとしたイノベーション文脈で提供し、大学でも講義を行う。

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