[小学校受験]年中さんは本番まで1年足らず! 早めに準備すべきこと、しなくてもよいこと

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近年、小学校受験を検討するご家庭が増えています。小学校受験では、「ペーパー試験」「行動観察」「運動」「制作課題」「面接」などが行われます。年中になり、そろそろ準備を始めた方がよいのではないかと思うご家庭もいらっしゃるかもしれません。そこで、保護者に向けた家庭教育講座を開講している「かおりメソッド」の提唱者の岩田かおりさんに、どのような準備を進めたらよいのかを聞きました。

この記事のポイント

早めに準備すべきことかどうかの見極めが肝

秋から冬にかけては、小学校受験の出願や試験などの情報を耳にすることが増えていきます。小学校受験の内容は、主に「ペーパー試験」「行動観察」「運動」「制作課題」「面接」などです。年中になり「そろそろ準備をしなければいけない」と焦りがちですが、小学校受験は年長の秋に間に合えばOKなのです。

ですから、年中の今の段階で「うちの子は向いていないかも」と判断したり、「早くできるようにしなきゃ!」と躍起になったりする必要はありません。現段階で合格判定が出なくとも、ピークを年長の秋冬に持っていけばよいのです。

園児は、1ヶ月ごとに驚くほど成長します。1週間前にできなかったことが、今日できるようになるなんてこともしょっちゅうです。だから、今できないからといって、諦めることはないのです。他者から期待されることで成長が高まるというピグマリオン効果という現象があります。つまり、子どもは期待されることでより伸びていくことができるので、親の応援する姿勢が最重要です。

とはいえ、無理やり引っ張り上げて成長させようとするのは逆効果です。子どもに負担感を与え、マイナスの影響を及ぼしてしまってはもったいないですよね。小学校受験の内容においては、早めに準備をした方がよいことと、年齢が経過するうちにできるようになっていくことの2パターンあることを知ってほしいのです。この点を把握することなく、周囲の情報に煽られて小学校受験の準備に入れば、良かれと思ってしていることが、逆に子どもの成長への悪影響となる可能性もあります。

小さい頃から準備した方がよいことは、体力を養うことや指先を使う練習や遊びを通して行うことです。この「遊びを通して」という意識が非常に重要です。というのも、子どもは楽しくなければ、前向きに取り組もうとはしないからです。

また、行動観察で見られる集団の中での振る舞いはすぐに身につけられるものではないので、小さい頃から多様な他者と接する機会を意識的に作り、「はじめまして」の場に慣れていけるとよいでしょう。

一方で、ペーパー試験は年長になってから慣れさせれば十分です。ペーパー試験に対応できるかは、子どもの発達段階が大きく関わっています。座っていることが難しいような小さい時期からペーパー試験対策をさせてしまうと、勉強嫌いになってしまう危険すらあります。

合格の秘訣は園児らしい生活を送ること

小さい頃から準備をしたほうがよい、体力を養うことや指先を使う練習における一番のポイントは、幼児らしい生活を送ることができているということです。「受験対策のため」ではなく、お子さまが子どもらしくのびのびと楽しんで遊べる環境づくりが保護者の役割です。

例えば、受験の際には「『けんけんぱ』ができるか」を見られることがありますが、「けんけんぱ」だけ何度も練習をすればよいということではありません。「運動」では、「体幹」や「挑戦する力」が鍛えられているかどうかを確認します。日頃から公園でどれだけたくさん遊んできたかや、夏休みはプールに行って遊んだか、冬は雪遊びをしたかなど、体を動かす経験をどれだけ積んできたかが問われます。

「制作課題」で問われる、指先の器用さも同様です。工作や塗り絵、折り紙、料理のお手伝いなどをどれくらい体験することができたかが重要になります。

小学校受験に向けて子どもを特訓するのではなく、幼児らしい豊かな生活を経験させることが小学校受験の合格の最大の秘訣といえます。

「行動観察」の集団行動につながる学びとは?

「行動観察」の中では、子どもが集団の中でどのような振る舞いをするかが見られます。これには、保育園や幼稚園とは異なる人間関係を築く経験を積んでおくことが大切です。例えば、近隣の夏祭りに親子で参加したり地域外の児童館に行って遊んだりすることは有効です。
同年代の仲間たちの中で自由に遊ばせるような取り組みを月に2回ほどできれば、子どもの経験はぐっと広がっていきます。

最近では行動観察対策用のお教室などもあり、「通わせたほうがよいでしょうか」というご相談を受けることもあります。そんな時は、少しだけ私の経験をお話ししています。

私は、子どもたちの受験の際には時間とお金をあまりかけないことを重視していました。なぜならば、自分の時間とお金を子どもにかけすぎると「成果」がほしくなってしまい、子どもを追い詰めてしまいがちです。だから、このくらいであれば「回収したい」という思いを抱かずに済むという時間と金額の目安を自分で決めて、その範囲内で行うこととしました。
その結果、小学校受験が終わってからも勉強することが大好きな子に育っていきました。

受験を目前とすると、保護者としては力が入ってしまいがちです。しかし、力を入れ過ぎると勉強嫌いの子どもとなる危険性もあるので、ご家庭やご自身に無理のないように準備をしていけるとよいですね。

まとめ & 実践 TIPS

小学校受験に向けて、対策や準備を進めているご家庭も少なくないでしょう。小学校受験の内容としては、早めに準備した方がよいことと、年齢が経過するうちにできるようになっていくものとに分かれます。早めに準備が必要な体力を養うことや指先を動かす体験は、園児らしい生活のなかで得られていくとよいでしょう。
「行動観察」も地域の行事に参加したり児童館に行ったりするなどして、同年代の子どもたちと幅広く遊ぶ経験を積んでいけるとよいでしょう。

参照:
小学校受験のために必要な力とは?
https://benesse.jp/kyouiku/201904/20190419-1.html

小学校受験はどんなことをするの? 塾や教室はいつから通えばいい?
https://benesse.jp/kosodate/202010/20201004-5.html

プロフィール


岩田かおり

株式会社ママプロジェクトJapan 代表取締役
第一子、第二子をお受験塾に入れずに都内の国立小学校に合格。幼児教室勤務、そろばん教室の運営を経て、「子どもを勉強好きに育てたい!」の想いから、独自の教育法を開発。「学び体質に育てる」と「親子関係」を大切にし、子育てする家族を応援するガミガミ言わず勉強好きで知的な子どもを育てる作戦『かおりメソッド』を全国へ展開中。(株)リクルートでの企業講座では満足度100%実績あり。PHPすくすく子育て、雑誌VERY掲載、ウェブDomani、ラジオ出演などメディアでも活躍中。3人(1男2女)のママ

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