学習に有効な「メタ認知」を育てる!ウィズコロナで学びを止めないために(2)

今は地域や学校によって教育活動にばらつきがあり、学習の遅れを心配しているかたもいらっしゃると思います。そのような中で、家庭でできることとは?成果の上がる学習について研究を続けているベネッセ教育総合研究所の木村主席研究員が、学びのカギとなる「メタ認知」についてお話しします。

ウィズコロナでより重要になる「自ら学ぶ力」

「自ら学ぶ力」は、自分で課題を見つけて学び、考え、行動していく力のこと。子どもたちがこれからの新しい社会を創造するのに必要な力として、新学習指導要領でも重視されています。ウィズコロナで学校教育が不安定な中で、その重要性はますます高まっています。教育について考えることの多い今は、日頃の学習を振り返り、「自ら学ぶ力」を高めるいい機会と言えるかもしれません。
では、どうしたら「自ら学ぶ力」を身につけることができるのでしょうか。カギは学習の「量」と「質」を自分でコントロールすることにあります。このうち、「量」については前回ご説明しました。そこで今回は、学習の「質」を高める方法についてお話しします。

  • カギは学習の「量」と「質」を自分でコントロールすること

学習成果を高める3つの方法

表:学習方略の例

学習の「質」について考えるとき、教育心理学者のピントリッチらによる「学習方略」の整理(上図)が参考になります。それによると、「学習方略」は大きく分けて3つあります。
1つは、学習に使える“リソース”をコントロールする方法です。「自ら学ぶ力」を備えた子どもは、計画を立てて時間をうまく使ったり、学習環境をととのえたり、先生や仲間に援助を求めたりするようなことをうまく行っています。
2つめは、学習内容を習得するための工夫です。例えば、内容を繰り返したり、すでに知っていることと結びつけたり、別の考え方を検討したりといったことが、これにあたります。認知を高める工夫なので、認知的方略と名づけられています。これも、たくさんのことを効率よく習得するために大切です。
そして3つめが、「メタ認知」*を生かした方略です。自分の目標や適切なやり方を考えるプランニングや、自分の学習の状況を判断するモニタリング、判断に基づいて目標ややり方を調整することなどは、学習の「質」を高めるのに有効です。
こうした学習の「質」は、学習成果と相関があります。下の図は、学校の成績によって学習方略がどのように違うかを表しています。これを見ると、成績上位層ほど、多くの方略を採用しています。そのなかでも「自分に合った勉強のやり方を工夫する」で、下位層との差がもっとも大きくなりました。メタ認知を働かせて、自分の状況を客観的に判断し、自分に適したやり方を選択することが重要と言えそうです。
*メタ認知:自分の状況を客観的に捉える心の働き

図:学習方略(学校の成績別)

  • 学習に使える“リソース”をコントロールする方法
  • 学習内容を習得するための工夫
  • メタ認知を働かせて、自分の状況を客観的に判断し、自分に適したやり方を選択する

まとめ & 実践 TIPS

メタ認知は、小学校高学年くらいにならないと、十分に発達しないと言われています。自分を客観的に捉えることは、子どもには難しいことです。だからといって保護者のかたが「〇〇しなさい」と指示ばかりしていては、メタ認知はなかなか身につきません。メタ認知は、自分で考えることを通して、少しずつ鍛えられていきます。ですから、できるだけ「どうしたい?」「どう思う?」などと、「イエス」「ノー」では答えられない質問を投げかけて、子ども自身が考えるように働きかけたいものです。
学習についていえば、わからないことがあったときに直接教えるのではなく、「何がわかっていないのか」や「どうやって調べたらいいか」を考えるように促すのもいいと思います。学習の「質」をコントロールできるようになるためには、自分の学習の状況についていろいろな角度から考え、自分に合ったやり方を試行錯誤してみる経験が必要です。

メタ認知は、「自ら学ぶ力」に欠かすことができない力です。次回はこのメタ認知を伸ばし、「自ら学ぶ力」を高めるための保護者のかたの関わりについて、さらに少し詳しくお伝えしたいと思います。

プロフィール

木村治生

木村治生

CRN主席研究員、ベネッセ教育総合研究所主席研究員。
ベネッセコーポレーション入社後、子ども(乳幼児~大学生)、保護者、教員を対象とした意識や実態の調査研究、 学習のあり方についての研究、教育市場(産業)の調査などを担当。 文部科学省や経済産業省、総務省から委託を受けた調査研究にも数多く携わる。 東京大学客員准教授(2007年、2014~16年)、追手門学院大学客員研究員(2018年~)、横浜創英大学非常勤講師(2018年~)、文部科学省「中高生を中心とした子供の生活習慣づくりに関する検討委員会」委員(2013年)、「中高生を中心とした生活習慣マネジメント・サポート事業」における選定委員会委員(2017年)、光り輝く「教育立県ちば」を実現する有識者会議委員(2014年)、富山県学力向上対策検討会議アドバイザー(2014年)、草加市子ども教育連携推進委員会専門部会委員(2014年~)など。専門は社会調査、教育社会学。

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