受験校がまだ決まらない! 受験直前、この時期をどう過ごすか [高校受験]

高校入試の日程は、都道府県によりまったく異なります。そのため、今月お話しする内容がまだ該当しない、というご家庭も多いと思います。まだ先の話だというかたも、今のうちに「こうすればいいのだ」と頭に入れておくつもりで読んでください。


 12月に受けた模試の結果が届いたり、公立高校の志望状況が新聞紙上に載ったり……ということから、どの高校を受験するか、まだ迷っているご家庭もあるでしょう。

 安田教育研究所の同僚が塾を経営しているので話に聞くのですが、毎年1月になると、毎晩のように「先生、どっちがいいでしょう?」「〇〇高校に変更しようと思うのですが、●●高校のほうが確実でしょうか?」「△△学園は倍率が上がりそうですか?」……と相談に来る親子がいるそうです。以前は、ほとんどが母親と子どものパターンでしたが、最近では父親と子どもというパターンも見られます。

 なかには、数日経ってから、また母親だけが来るケースもあります。「今日、子どもにC高校を見に行かせました」などと話しているのが私のところにも聞こえてきます。せわしない口調から、そのお母さんの焦っている気持ちがひしひしと伝ってきます。

 ですが、そうした会話を聞きながら、「母親がこんなに浮き足立っていたら、子どもは机に向かっても気持ちが落ち着かないだろうな」と思ってしまいます。親の不安は子どもにも伝染します。A高校を受けるつもりでいたのがB高校になったり、C高校になったりしたのでは、気が散ってとても集中できません。とはいっても、模試の結果が悪かったための学校志望校の変更ですから、子どもとしては自分の責任なので強く出られないのです。

 同僚に聞くと、どっちにするか迷う2校の差は、内申点では1か2の差、偏差値でも2、3ポイントの差であることが多いのです。内申点で4も違えば、偏差値で5も違い、そもそも第一志望校として同じ土俵に乗ることはまずありません。迷うのはほんのわずかな差の学校間で生じるのが普通です。

 ですから私は、そんなに焦って動き回っているより、腰を落ち着かせて勉強に集中させたほうがよほど合格の可能性が高まるのに、と思ってしまうのです。
 公立高校の場合は入試問題が共通なのでまだよいのですが、これが私立高校だと「過去問」対策も別のものをやらなければなりません。「偏差値、倍率が高くても、準備した学校のほうが合格でき、低くても準備していない学校は合格しない」--そう思ってください。

 押さえとして合格確実な学校を探す場合は別として、ここまできたら親としてはドッシリ構えていてください。古い言葉ですが、「肝っ玉母さん」のほうが、神経質な母親より子どもに幸運をもたらすのです。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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