ワーキングマザーの場合 受験直前、この時期をどう過ごすか [高校受験]

 今はフルタイムにせよ、パートにせよ、多くの母親が働いていると思います。これからの時期、仕事を持っていると結構大変です。やらなければならないことは山ほどあります。父親との分担、職場とのリレーションといった面も含めて、注意点を考えてみましょう。
 ワーキングマザーであっても、専業主婦であっても、当然やらなければならないことは一緒です。ただ、受験にあたって子どもに付きっきりというわけにはいかない、パートの場合はともかく、フルタイムで働いている場合は、使える時間が圧倒的に少ないという、条件面での違いが大きいです。ですから常に、「効率的に進めるにはどうするか」という発想が大切です。

 父親が単身赴任している、この時期仕事がものすごく忙しくて協力してもらえない、そもそも子どもの受験に関心がない……とのことから、協力してもらえないケースも多いかと思います。
 母親にかかるプレッシャーはその分大きいと思いますが、事務的なことを一つひとつ着実にこなしてください。子どもを受験生だからと甘やかすことなく、日常生活での手伝いは、これまでどおりきちんとやらせましょう。

 また、勤務先に早めに事情を話して有休取得の了解を取っておくといいでしょう。
 仕事があって、得する情報を得られる入試問題解説会などに足を運べない(最近は、何回も足を運んでもらうために情報を小出しにする学校もあります)かもしれません。が、出題傾向・配点・採点基準など細かなことに神経質になる必要はありません。学力を付けることに集中して、どっしり構えたほうがお子さまのためにはよほどいいのです。

 仕事を持っていれば、神経が受験だけに向いてしまわず、お子さまにとっては救いになる部分があり、これが子どもの精神衛生にはよかったりします。
 専業主婦の家庭では、母親が受験にのめり込むあまり、あふれる情報に振り回されたり、ネットの掲示板やクチコミのうわさに惑わされたりして、受験の本筋以外の部分で右往左往し、それが子どもにも少なからず悪影響を与えることも、しばしばあります。

 また、取引先や顧客を相手にした時には、なかなか自分の思いどおりにはいかないことを日々痛感し、無意識のうちに仕事のマネジメントや相手をどう動かすか工夫しているはずです。
 こうしたことが、受験生活での親子関係にも役立つのです。思いどおりにいかないお子さまを何とかその気にさせる時などに、仕事で身に付けたノウハウを生かしましょう。
 このように考えれば、働いていることが必ずしもマイナスではないということがおわかりいただけるでしょう。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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