【2017年度中学入試 社会】 これだけはおさえたい時事問題&公民分野<3>時事問題に強くなるには

時事問題は、近年は8~9割の学校で出題されており、出題率は増加傾向にあります。そこで、今年度注目のトピックと周年問題、時事問題に強くなる方法について述べます。

その年の夏までのトピックが出題される?

時事問題とは、入試の前年に起こった重大な出来事を扱った問題や、「周年問題」を指します。入試問題はたいてい夏休み中に作成されると考えられ、そのため、8月までのトピックが取り上げられることが多いのですが、
しかし、9月以降の事件も、重大であれば取り上げられる可能性があります。たとえば2016(平成28)年度には、10月、日本が国連安全保障理事会の非常任理事国になったこと、11月のパリ同時多発テロなどが出題されています。

近年の時事問題の出題傾向は?

時事問題は、ニュースそのものの内容を問うより、社会科の学習内容に関連付けた問題が多く出題されます。また、理科と社会に共通する内容(地震や自然災害など)が多く出題される傾向があります。

2017年度入試で注目のトピックは?

「18歳選挙権」「参院選」は2017(平成29)年度入試でも出題される可能性が高いと見られます。今年の大きな自然災害として「熊本地震」がありました。過去の大地震についてもあわせて見直しておきましょう。その他、オバマ米大統領の広島訪問、伊勢志摩サミット、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック開催、英国のEU離脱、沖縄・辺野古基地問題などもチェックしておいてください。

周年問題で注目すべきトピックは?

周年問題とは、受験の前年(2016年)か受験の年(2017年)を基準に、節目の年に起こった出来事について問う問題です。2016年を基準として、節目の年の出来事を見てみましょう。

1000年前の1016(長和5)年、藤原道長が摂政になっています。
400年前の1616(元和2)年には徳川家康が亡くなりました。同年、シェイクスピアも亡くなっていますので、二人は同時代の人物だったことがわかります。
100年前の1916(大正5)年には吉野作造が「民本主義」を唱えました。
70年前の1946(昭和21)年には戦後初の衆議院議員選挙が行われ、この時初めて女性参政権が行使されました。同年11月3日(現在は「文化の日」)、日本国憲法公布。
60年前の1956(昭和31)年、「日ソ共同宣言」発表。これにより、日本は国際連合に加盟することができました。同年、水俣病が公式に確認されました。
5年前の2011(平成23)年、東日本大震災が発生しました。

2017年を基準にした「あれから○年」の一覧も、年表を見ながら、お子さまと一緒に作成してみてください。

時事問題に強くなるには? ……社会科のアンテナを高く張って

ぜひやっていただきたいのが、新聞を毎日読むことです。一日10分でも20分でも、時間がない時は見出しに目をとおすだけでも構いません。「朝日小学生新聞」(日刊)、「毎日小学生新聞」(日刊)、「読売KODOMO新聞」(週刊)など小学生向けの新聞もおすすめです。
読んだら、ぜひご家族で、おのおのが最も興味を持った記事について意見交換をしてください。面白かった記事を切り抜いてノートに貼り、自分の意見や感想を書いておくとさらによいでしょう。

新聞を活用すると、言葉が豊富になり、論理的思考力が身に付きます。世の中の出来事への関心が高まると同時に、ニュースを話題に家族や友人と話し合えるようになり、親子の絆も強くなるなど、よいことづくめです。「世界のサッカー」「日本のゴミ問題」など、テーマを持って新聞を読むのも、自分なりの視点を育てることにつながります。

世の中の出来事に関心の高い子どもは、好奇心が強く学習意欲も高い傾向があります。時事問題の出題が増えている背景には、「そのような生徒が欲しい」という学校側の意図の表れでもあるのです。
単なる受験勉強はすぐ頭から抜けてしまいますが、好奇心を起点に学んだことは後々まで残ります。時事問題対策を契機に、お子さまが自分から学ぼうとするきっかけづくりをしてあげてください。

※この記事は、森上教育研究所主催・わが子が伸びる親の技研究会 「公民・時事問題」講習会(7月12日)の内容をもとに作成しています。

(筆者:早川明夫)

プロフィール


早川明夫

社会科入試問題研究の第一人者。大学付属中高の教頭を経て、文教大学で社会科の教員養成にあたった。現在、文教大学地域連携センター講師。主な著書に『応用自在』『考える社会科地図』『総合資料日本史』『地図っておもしろい!』(監修・執筆)ほか多数。『ジュニアエラ』の総監修者。

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