子どもたちの世界を広げるデジタルメディアとのつき合いかたとは?

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小さな子どもたちが、タブレット端末やスマートフォンといったデジタルメディアに触れる機会が増えています。特に幼児期は眼などへの影響が気になるところですが、使いかた次第で、デジタルメディアは子どもたちの世界を広げてくれるツールにもなります。幼児とメディアについての研究を行っているベネッセ教育総合研究所の持田聖子に、デジタルメディアとの上手なつき合いかたについて聞きました。

この記事のポイント

デジタルメディアは便利な反面、子どもが使うことに不安を感じている保護者も多い
デジタルメディアは、子どもたちの世界を広げてくれる
つきあいかたを知って、上手に活用していこう

子どもにとっても身近になりつつあるデジタルメディア

タブレット端末で動画を見たり、スマートフォンのアプリで遊んだり…。最近では、子ども向けのタブレット端末も登場し、小さな子どもたちにとっても、デジタルメディアが身近なものになってきています。
そのデジタル化を加速させたのが、コロナ禍における“ステイホーム”生活です。実際、ベネッセ教育総合研究所がコロナ禍の2020年5月に実施した調査では、幼児のいるご家庭の27.5%が「子どもがゲーム機やデジタルメディアを使う時間が増えている」と実感しているようです。

では、幼児がデジタルメディアを使うことについて、おうちのかたはどのように感じているのでしょうか。前述の調査ではいずれも5割以上のかたが、新型コロナの流行前に比べて「デジタルメディアのコンテンツが多くて、何がいいものかわからない」「子どもの健康への影響が心配」「子育てをデジタルメディアに頼ることへの罪悪感」などを感じていると回答(図1)。また2020年9~10月のインタビュー調査では、「視力低下や目の疲れ」「体力の低下」「つい見続けてしまう」などを心配する声も聞かれ、デジタルメディアの活用が進む一方で、健康や使い方についての心配もつきないことがわかります。

(図1)

※各項目について、コロナ流行前よりもそう思うようになったかに対して、「とてもそうである」+「まあそうである」の%
※ベネッセ教育総合研究所「幼児・小学生の生活に対する新型コロナウイルス感染症の影響調査(2020年5月実施)
※幼児(3~6歳)がいる母親1,030名の回答を分析

これからの社会に欠かせないデジタルメディア

とはいえ、コロナ禍でもオンラインで自宅にいながら習い事を継続できたり、学習アプリが役に立ったり、離れた親戚とつながれたりと、デジタルメディアの良さを感じているかたも多いのではないでしょうか。ほかにも、現実では見ることが難しいものを映像で疑似体験できたり、新しいことに触れられたり、空いている時間に合わせて活用できたりと、子どもたちの可能性を広げてくれる面もいっぱいあります。そしてなんといっても、子どもたちがこれから生きていく社会において、デジタルメディアはなくてはならないものになっていくはずです。
ならば「百害あって一利なし」と遠ざけるよりも、リスクを理解し、安心・安全につき合っていこう。そんな『デジタル・シティズンシップ』という考えかたが、世界的にも主流になってきています。

親子でルールを決めて上手に活用していこう

では、どういうことを心がけたらいいのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所では、さまざまな領域の子どもに関する専門家の先生方とともに、小さな子どもとメディアのよりよいつきあい方を考えています。その中から、いくつかご紹介します。

親子で対話しながら一緒に使う

乳幼児期は、親子の触れ合いを通して、愛着を形成していく大切な時期です。絵本を読む際などにも言えることですが、ただ楽しむだけでなく、親子で一緒に見たり、見た内容について話し合ったりすることも心がけましょう。

年齢・発達に合った質の良いものを選び、視聴時間に配慮する

子どもの年齢や発達に合った内容のものを選ぶことはもちろんですが、幼児がデジタルメディアに触れる時間については、その睡眠時間や生活時間から最長でも1日1~2時間未満を目安とするとよいでしょう。また、「動画を見るときは先に視聴時間を確認する」「タイマーを鳴らす」など、だらだらと見続けないようにする工夫もおすすめです。

使い方のルールを決めて共有する

デジタルメディアは画面がテレビなどに比べて小さいので、例えば「明るい場所で使う」「タブレット端末は両手を伸ばした距離(30cm)に置いてみる」「画面が揺れないように机の上に置く」など、みるときのルールや約束ごとを話し合って、お子さまと共有していきましょう。

まとめ & 実践 TIPS

文部科学省による『GIGAスクール構想』により、小学・中学・高校で2020年度のうちに「一人一台」のパソコンやタブレット端末の導入が予定されているなど、デジタルメディアはこれからますます、子どもの生活や学習のさまざまな場で活用されていきそうです。心配だからと遠ざけるのではなく、ご家庭なりのルールを決めたりしながら、幼いうちから上手なつき合いかたを身につけることで、お子さまは上手な活用方法を身につけ、可能性を広げていくと思います。
なおベネッセ教育総合研究所のサイト『小さなこどもとメディア』でも、「メディアと上手につきあうために大切にしたい3つのこと」「考えるヒントがいっぱい!Q&A」として上手なつき合いかたを紹介しています。ぜひ、参考になさってください。

出典
「メディアと上手につきあうために大切にしたい3つのこと」
https://berd.benesse.jp/jisedaiken/media/point/index.shtml

ベネッセ教育総合研究所の教育研究知見を元にした子育て・学びに関する記事の一覧はこちら
https://benesse.jp/special/berd.html

プロフィール

持田聖子

持田聖子

ベネッセ教育総合研究所 学び・生活研究室 主任研究員。生活者としての視点で、妊娠・出産期から乳幼児をもつ家族を対象に、人が家族を持ち、役割が増えていくなかでの意識・生活の変容と環境による影響について研究。

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株式会社ベネッセコーポレーションの教育、調査、研究機関です。子ども、保護者、先生、学校などを対象に、教育に関連する調査、研究を行い、その研究成果や調査報告書、各種データを無償で公開しています。

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