水彩画をうまく描けるようになる!絵の具・パレット・筆の基本的な使い方から塗り方まで

「水彩画をうまく描けない子どもにアドバイスしたいけれど、どうアドバイスすればよいかわからない」という保護者の方は多いのではないでしょうか。

これから紹介する水彩画を上手に描くためのテクニックは、自由研究や写生大会で使えます。水彩絵の具の特徴を理解しうまく使いこなすことで、お子さんは感じたことや想像したこと、見たことを工夫して表現する力を養うことができるのです(※1)。
今回は水彩画を描くための準備と、絵の具の塗り方を紹介します。

水彩画を描き始める前に!筆・筆洗・絵の具の準備

水彩画を描く前に、まずは必要な道具(筆や筆洗、水彩絵の具、パレット、画用紙、布)が揃っているか、お子さんに確認するように伝えましょう。揃っているのが確認できたら、水彩画を描く前に、道具をスムーズに使うための準備を始めます。

■準備:筆洗に水を入れる

筆洗は、筆先を水で洗うための道具です。この筆洗を使って、乾いた筆先をほぐしたり、筆先についた絵の具を溶いたりします。絵を描く前に、筆洗についているポケットすべてに、透明な水を入れておきましょう。

なかなか絵の具が落ちずについ新しいところを使ってしまいがちですが、無計画に筆洗を使うと、すぐにすべての水が汚れてしまいます。そして汚れた水で新しい色を使うことになり、奇麗な色が出ない……という失敗が発生しやすいです。
そこで、筆を洗う場所、絵の具を溶く場所を分けるようにしましょう。そうすれば、頻繁に水を変える必要もありません。

■準備:筆に水を含ませる

その日に初めて使う筆は、筆先が乾いているので、筆洗の水の中にひたします。筆全体に、十分に水をふくませ、なじませます。一度水にひたした筆は筆先が水になじんでいるので、次からは筆の半分まで水にひたすようにしましょう。

その後、水の量を調節し、筆洗のふちで水をそっとぬぐいます。

■準備:絵の具をパレットに取り出す

既に塗る絵の具が決まっている場合は、絵の具をパレットにとります。量はあずき1粒分ぐらいで、出しすぎないように注意しましょう。

■準備:絵の具の混ぜ方

絵の具を混ぜるときは、絵の具(2色以上)をパレットに出し、それぞれの色を重ねて混ぜます。コツは、塗りたい量だけを取ること。どちらかの絵の具をたくさん取ってしまうと、混ぜても色が変わりにくいです。思ったような色にならない時は、絵の具の量を調節してみましょう。

色を混ぜる際は、「レモン色」「セルリアンブルー」「マゼンタ(赤紫)」の3色を覚えておきましょう。この3色を三原色と呼び、混ぜ合わせればどんな色でも作ることができます。混ぜる色の割合を変えて、さまざまな色を作ってみましょう。

「絵の具を混ぜるのがめんどうくさい」「新しい絵の具を買えばよいのでは?」と思われるかたもいるかもしれません。確かにそのほうが手間が少ないですが、実際に描き始めてみると、自分のイメージ通りの色はなかなか出ないものです。うまく色が作れたときの喜びを感じられることも、水彩画の楽しさの一つです。どのくらいの色がつくれるか、親子で楽しみながら挑戦してみましょう!

作った色は、実際の紙ではなく別の紙で試し塗りをしてから、下絵に色をつけましょう。パレットと紙では異なることもあり、実際に塗ってみなければわからないことがあります。

■準備:筆の持ち方

持ち方は鉛筆と同じです。これは太い筆でも細い筆でも変わりません。ただし、芯の先だけ使用することの多い鉛筆と違い、筆は毛の部分全体を使います。
ちなみに太い筆と細い筆の使い分けは、太い筆は広い範囲を塗る時に、細い筆はこまかい部分を塗る時に使います。

■準備:布の使い方

筆をふいたり、描く時に水の量を調節したりするために使います。新品の布でなくても、古いぞうきんで構いません。布がなければ新聞紙でも代用できます。筆先をいためないように、優しくふきとりましょう。

下絵を上手に描く方法やコツ

下絵を描く時は、HBの鉛筆が最適です。ちなみに消しゴムを用意する場合、練り消しを使えば、消しゴムのかすも出なくて使いやすいでしょう。下書きにマーカーや油性ペンを使うのもよいでしょう。鉛筆よりも輪郭がハッキリするので、表現の幅が広がります。また、油性ペンを使えば、上から絵の具を塗ってもにじみません。

下絵をうまく描くコツは、3つあります。
(1)絵の主役を決める
描きたいもの、気になるものを探して主役にしましょう。特に写生大会などで景色を描く場合は、主役を決めないと何を描けばよいのか迷ってしまいます。何を主役にしてどこを切り取るかが大切です。

(2)大まかな形をとらえる
描き始める時は、描こうとするものを「丸のかたまり」としてとらえてみましょう。細かい単位ではなく、大きく形をとらえるイメージです。

(3)遠くと近くを描き分ける
少し難しいかもしれませんが、遠近法について教えてあげてください。同じ大きさでも遠くのものは小さく、近くのものは大きく見えることを意識して描き分けます。

以上の3つのポイントを踏まえて、下絵を描いてみましょう。

色をうまく塗るには

下絵が完成したら、余分な線を練り消しなどで消します。いよいよ色塗りを開始します。
たとえば大きな木を主役にした風景の場合は、
1.空(※今回は青空が完成イメージです)
2.木のみどり
3.木の幹
4.野原
5.奥の山
6.森
7.雲

の順で色を塗るのがおすすめです。つい主役の木から塗りたくなると思いますが、濃い緑色の木から塗ってしまうと、薄い青色で塗りたい空の部分に色を塗るのが、難しくなってしまいます。 最初にムラなく一気に空を塗りたいので、1.の空から塗っていきましょう。その後、この絵の主役となる木に色を塗り、背景となる野原、奥の山、森を順番に、奥行きを意識しながら仕上げます。最後に、空に雲を付け足して完成です。

それでは空から順番に、色を塗るコツについて紹介します。 最初は色なじみをよくするために、画用紙に対して水だけを塗ります。こうすると絵の具のかすれを防ぐことができます。

空を塗る時は、広い範囲を一気に塗ることができる太い筆を使うとよいでしょう。

薄く色をつけていきたい場合、また色に透明感を出したい場合は、絵の具は水をたっぷりふくんだ筆で溶きます。筆の跡が残らないよう、上から塗り、下に行くほど水を多めにして伸ばすイメージで塗ってみましょう。

空を上手に塗るポイントは、絵の具が乾く前に、ささっと画用紙全体にすばやく塗ることです。絵の具が乾いてしまうと、その乾いた部分がムラになってしまうからです。木や幹などの部分も、気にせず全体に空の色を塗っていきます。ちなみにこの時に塗った色より濃い色を塗る予定であれば、あとから重ねて塗ることができるので、「木の部分にも空の色を塗ってしまった」と心配する必要はありません。

次に主役の木を塗っていきます。輪郭から描くと乾いたところがムラになるので、色を置いた部分から引っ張ってくるようにして、絵の具を伸ばしていきます。お子さんには、「傘の先で水たまりから水を伸ばしてみるようにしてごらん」とアドバイスしてみてください。

また、右ききのお子さんは、画用紙の上や左側から描いていくと、絵の具が手につかず汚してしまうこともありません。

次に、影の部分に使う色を、黒とセルリアンブルーの絵の具を混ぜ合わせて作ります。また、木に光が当たっている部分の色も作りましょう。最初に塗った緑色に、黄色と青色、そして白を混ぜると、明るい緑色になります。

影の色、光が当たっている部分の色が完成したら、光が差す方向を意識しながら、色を重ねていきましょう。今回は上から光が当たっていると考え、右上のほうに明るい緑色、左下のほうに暗い色を少しずつ足してみます。

木の幹も、よく見てみると暗い部分と明るい部分があることがわかります。茶色よりも自然な中間色を作って、ここから塗っていきましょう。

木の幹は影のすきまから見えているイメージで小枝を描くとうまく表現できます。白ベースの絵の具で、木漏れ日を枝や幹の随所にちりばめてみましょう。一気に本格的な仕上がりになります。

枝や幹は、目で見える部分はとぎれとぎれですよね。
お子さんには、「本当は枝はつながっているけど、隠れているんだね」と声をかけてあげれば、お子さんも枝の描き方を工夫したくなるでしょう。

空以外の背景には、水を多めに使うことで存在感を弱めます。

輪郭をなぞらないように注意して、上のほうに絵の具をのせ、下へ下へと伸ばします。
遠くのものには濃淡をつけていきます。

最後に、雲を白色で塗り足して完成です。

描きたいものを描かせる

保護者のかたは、水彩画をお子さんが描く時、たとえば夏休みの思い出の風景や実在の人物などを描いてほしいと思われるかたが多いかもしれません。ですが、基本的にはお子さんが描きたいと思うものを描かせてあげるようにしましょう。

好きなものから思わぬ発見があったり、描きたいものをうまく描けたりした時は、自信もつくでしょう。

色や描き方を工夫して、水彩画を楽しもう!

絵画が不得意な保護者のかたも、お子さんと一緒に水彩画に挑戦してみたくなったのではないでしょうか。
絵が完成したあとは、道具の後片付けをきちんとすることも教えましょう。筆やパレットなどはよく洗い、水をよく切って乾かします。また、絵の具が乾燥しないように蓋をしっかり締めることを忘れないようにしましょう(※2)。
周りを汚さないよう準備しつつ、使った道具はきちんと整理片付けをするところまでが、水彩画を描く時の一連の流れであることを伝えることも大切です。

あとは絵を描くことをお子さんが楽しめているかが大切です。お子さんが描きたい絵を自由に描けるように、保護者のかたは道具の準備などをサポートしてあげてください。

(※1)文部科学省『小学校学習指導要領』「生きる力」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/zu.htm#3_4gakunen

(※2)文部科学省「図画工作科で扱う 材料や用具」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zukou/suisaiyouenogu/before/index.htm

プロフィール

Benesse教育情報サイト編集部

東京大学大学院 情報学環 准教授。デジタル教材の開発や評価など、情報技術を利用した学習環境について研究している。主著として「デジタル社会のリテラシー」(岩波書店)「未来の学びをデザインする」(東京大学出版会)など。

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