水彩画を上手に描きたい! ~色の塗り方 2~

小学生には、図画工作、なかでも水彩画の描き方に苦労しているお子さまが少なくないようです。
そこで、神奈川県湘南の風景をモチーフにした「江ノ島電鉄」などのカレンダーの制作をはじめ、数々の個展で作品を発表し、美術専門学校の講師としても活躍中の風景画家・湯浅誠先生に、保護者のかたからの相談にお答えいただきます。また、水彩画を上手に描くコツや、水彩画の楽しさをご紹介します。

木の幹を描く時に注意したいこと

幹にも明るい部分や暗い部分があります。中間色(濃い色と薄い色の中間の色)から塗りましょう。

まず、レモン色とマゼンタでオレンジを作ります。それに黒を少し混ぜて茶色を作ります。さらに黒と白を加えてグレーに近い茶色にします。茶色よりも自然な木の幹の色を作りましょう。

木の幹は、陰のすきまから見えているように小枝を描くと、枝の感じが表現できます。また、幹の暗い部分と明るい部分を表現するため、幹の中間色に白を混ぜ、明るい部分の色を作ります。これは木漏れ日が当たっているように、枝や幹の所々に入れます。こうした細かい部分には細い筆を使います。また、中間色に黒を混ぜて暗い部分の色を作ります。この色も所々に使って変化をつけていきます。

枝や幹は、見えている部分が途切れています。隠れている感じを枝がつながっていることをイメージしながら描くとよいでしょう。さらに、光が当たっている方向を意識して、光や影を作りましょう。

背景を描く時はどこに着目すべき?

背景のうち、野原と奥の山と森は、水を多めに使って描きます。野原は木をよけて塗ります。輪郭をなぞらないように注意します。水たまりを引っ張っていくように、絵の具を伸ばします。上のほうに絵の具をのせ、下のほうへと伸ばしてゆきましょう。こうすることで、色のグラデーションを作ることができます。

遠くにある山は青っぽい色に見えることが多いです。また、森は木の中間色に黒を入れ、水を多めにします。こうすることで、存在感が弱まり、遠くのほうにあることを表現することができます。遠くの森にも陰影があるので、黒を少し追加して暗い部分を表現しましょう。

雲は空の色に重ねて描かなければならないので、水を少なめにします。かすれるくらいでちょうどよいでしょう。木の陰にも光が漏れている部分があります。木の根元に葉っぱを意識しながら影を描きましょう。

主役を決める、大まかな形をとらえる、色の塗り方というポイントは、風景画以外の絵を描く際にも、意識しましょう。

保護者のかたへ 子どもの「描きたい」を大切に

お子さまには、本人が「描きたい」と思うものを描かせてください。保護者のかたは夏休みの思い出の風景や、実在の人物などを描いてほしいと思っていらっしゃるかもしれません。しかし、たとえばお子さまが、「アニメのキャラクターを描きたい」というのであれば、そのやる気を大事にしてあげてほしいと思います。アニメのキャラクターなどは、実はとてもよく考えて作られていますから、描いてみると面白い発見があるものです。また、うまく描けた時には自信もつくでしょう。そこからだんだんいろいろなものも描きたくなると思います。お子さまの気持ちを尊重して、描きたいものを描くところから始めてください。


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プロフィール


湯浅誠

建築パース制作会社に勤務後、現在は風景画家として活躍するほか美術専門学校の講師としても活動中。「江ノ島電鉄」のカレンダーの制作にも携わる。

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