水彩画を上手に描きたい! ~色の塗り方 1~
小学生には、図画工作、なかでも水彩画の描き方に苦労しているお子さまが少なくないようです。
そこで、神奈川県湘南の風景をモチーフにした「江ノ島電鉄」などのカレンダーの制作をはじめ、数々の個展で作品を発表し、美術専門学校の講師としても活躍中の風景画家・湯浅誠先生に、保護者のかたからの相談にお答えいただきます。また、水彩画を上手に描くコツや、水彩画の楽しさをご紹介します。
色を塗る順番
色を塗り始める前に、下絵に書いた大まかな丸などの余分な線は、消しておきます。
たとえば、大きな木を主役にした風景を描いた場合、次の順番で色を塗ります。
例)1 空 → 2 木の緑 → 3 木の幹 → 4 野原 → 5 奥の山 → 6 森 → 7 雲
最初に主役である木を塗りたくなるかもしれませんが、空をムラがなくきれいに描くためには、空から塗っていくことがポイントです。最初に木を塗ると、空を一気に描くことができません。
色を塗るコツとは?
それでは空を塗りましょう。広い範囲を塗りますから、太いほうの筆を使います。空は上から下へ塗ります。最初は色をつけず、色のなじみをよくするために、絵の具をつけず水だけを塗ります。水を塗ることで、絵の具がかすれるのを防げます。また、薄く塗りたいので、絵の具は水をたっぷりとって、多めにして溶きます。
筆の跡が残らないように上のほうから塗り、下のほうはさらに水を多めにし、伸ばしてゆきます。空の透明感を出すために、水を多めにし、下に行くほど水を多めにし、色を薄く塗ります。
塗っている途中で絵の具が乾いてしまうと、ムラになりますので、注意しましょう。空の色を塗る時、木の下絵をよけなくてもかまいません。木の緑も幹も色が濃いので、上から重ねて色を塗ることができます。
木の色を塗る時のポイントは?
次に主役の木を塗ります。輪郭から描くと、渇いた部分がムラになってしまいますので、輪郭を描かず、色を置いた部分を引っ張ってくるようにして絵の具が乾かないうちに伸ばしていきます。傘の先で水たまりを伸ばすのをイメージして、絵の具で塗られている範囲を広げてゆきます。
木を描く時、右利きであれば上や左側から描いていきましょう。そうすれば、絵の具を手で引っ張って汚してしまうことがありません。幹はよけずに塗ります。大きな塊や小さな塊から、輪郭ではなく、絵の具の水たまりを引っ張るように描きましょう。
次に、黒とセルリアンブルーを混ぜて、暗い緑を作ります。この色は影の部分に使います。光が差している方向を考えて、影の部分を塗りましょう。
さらに、明るい緑を作ります。セルリアンブルーとレモン色に白を混ぜます。できた色は、形を意識しながら、光が当たっている部分に塗ります。
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