これからの授業、子どもに任せる場面が多くなる?

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授業といえば、先生が黒板の前に立って教科書を教え、子どもは質問されたら挙手をして当てられたら発言し、板書をノートに書くもの……。そんな保護者世代のイメージが変わりつつあることは、参観日などで実感していることかと思います。今後は、もっと変わるかもしれません。学ぶ方法だけでなく、学習内容すら子どもに任される場面が増えてきそうなのです。

この記事のポイント

クラスの中でも違う学び

中央教育審議会の特別部会では現在、学校教育の在り方を総合的に検討しています。その下に置かれた義務教育ワーキンググループ(WG)がまとめた論点整理案では、一斉指導が中心だった従来の授業にも、見直しを提言しています。
例として先生の支援の下で、一人ひとりが自分に合った学習計画を立て、発展的な学習をしたり、補充的な学習をしたりするなど、一つのクラスの中でも柔軟な学習形態を取れるようにすることを検討すべきだとしています。
そのためにも、これまで子ども側に学ぶ内容の情報提供が不足していたことを反省。学校行事だけでなく授業づくりにも、子どもたちが関わる機会を積極的に取り入れることが重要だとしています。

1人1台端末で「自己調整学習」促進

背景には、新型コロナウイルス禍による休校措置で、新学習指導要領の求める、先生に指示されなくても自分で学習を進められる「自己調整学習」の必要性が一層クローズアップされたことがあります。2021年1月の中教審答申(いわゆる令和答申)では「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体で充実させることを求めています。一人ひとりへの対応は、前者に当たるわけです。
コロナ禍を契機として一気に進んだ「GIGAスクール構想」によって、1人1台端末が整備されたことも、授業や教室の改革を後押ししています。端末を使えば、一人ひとり学習する内容や方法が違っていても対応できるだけでなく、教室にいながら外とつながって学ぶことも可能になります。

多様な子どもに対応する「個別最適な学び」へ

そもそも子どもは、多様な存在です。さらに近年、普通教室の中でも発達に課題を抱える子、特異な才能を持っているのに発揮できていない子、外国にルーツを持っている子などへの、丁寧な対応も求められています。そんな一人ひとりを大事にして多様な授業展開や学習を進めていこう、というわけです。

まとめ & 実践 TIPS

中教審とは別に、学習指導要領の見直しを準備する有識者検討会も既に発足しています。この5年ほどの間に、改革論議が一気に進むことでしょう。授業への影響も、指導要領の改訂前に出てくるかもしれません。
今の子どもには、社会に出ても学び続ける力を付けることが不可欠になります。どのような改革が論議されていくのか、注視したいところです。

(筆者:渡辺 敦司)

個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会:文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/087/index.html

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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