環境問題について考えよう! サンゴ礁の飼育と水族館の楽しみ方
今、地球温暖化の影響で海の美しいサンゴ礁に異変が起きています。そんな中、サンシャイン水族館では、サンゴ礁の保全活動を行っています。
魚類やサンゴの飼育を担当している鶴橋 梓さんに、サンゴ礁保全の取り組みと、水族館の楽しみ方についてお聞きしました。親子で環境問題について考えるきっかけにしてみませんか?
(画像提供:サンシャイン水族館)
2006年から日進月歩! サンゴの飼育
サンシャイン水族館では、2006年からサンゴの飼育をはじめました。それは、沖縄県恩納村(おんなそん)でサンゴの保全活動をしている「チーム美らサンゴ」と協力して、東京という離れた場所でも、水族館という人がたくさん集まる場所を通して、サンゴ礁の大切さを知ってほしいからです。
当時は、サンゴの飼育を行っている施設は少なく、技術不足で厳しいスタートでした。それでも数年をかけて、沖縄県恩納村からサンゴを借りてきて、水槽で増やしたサンゴを返還する「サンゴ返還プロジェクト」をスタート。2014年には沖縄科学技術大学院大学の研究で、それまでは、どこまでが同一の個群なのか識別ができなかったサンゴのDNA解析を行い、個群の識別ができるようになり、産卵でサンゴを繁殖させる取り組みもスタートしました。
2017年6月には2014年から飼育しているサンゴの初産卵があり、今は小さな赤ちゃんサンゴを育てている最中。沖縄の海に戻すことを計画中です。
水族館のサンゴ礁もじっくり見ると発見がある
保護者のかたは、お子さまに「サンゴって何?」と聞かれたら、なんと答えるでしょうか。サンゴは種類としては、刺胞(しほう)動物というクラゲやイソギンチャクの仲間です。でも、形がまったく違うので、お子さまには信じてもらえないかもしれません。サンゴが生きものであるということを子どもたちにどう伝えるかというのは、実は、私たち大人の課題でもあります。
本物のサンゴはレプリカとは違い、水の流れに乗ってゆらゆら揺れることもあります。大人のかたでもそれを見ると「サンゴって動くんだ!」と驚かれるかたもいらっしゃいます。
まずは「サンゴは石じゃなくて、生きものだよ!」というところから保護者のかたたちと一緒に伝えていけるといいですね。
(画像提供:サンシャイン水族館)
水族館は「じっくり見る」のが楽しむコツ
今の水族館は、水槽が一列に並んだ汽車窓式展示だけではなく、「この生きもののこんなシーンをお客さまに見てもらいたい」という水族館のしっかりとしたコンセプトのもとに展示されているものが多くなってきたので、じっくり水槽を見ているだけで楽しめる工夫がされています。ポイントは、一つの水槽をじっくり見ることです。
(1)水槽全体をじっくり見る
水槽全体が見える位置からじっくり見ていると、「今、生きものと生きものが動きを起こした!」とか、「ぼんやり全体を見ていたら、奥から生きものがふーっと出てきた」などの発見があります。まずは少し離れたところからワイドに見ても面白いと思います。
(2)一つの生きものをじっくり見る
気になる生きものがいたら、その生きものに注目して、じっくり観察してみるのもおすすめです。たとえば、人気のチンアナゴも”じーっ”と見ていると個体同士がちょっと変わったケンカをしているところを見ることができます。
生きものの表情に注目してみるのもおすすめです。イカがちょっとした瞬間に怒ったような表情になったり、体の色が変わったりするのを発見できると、とっても面白いですよ。
楽しい生きものがたくさんいて興味が尽きない水族館ですが、普段と少し違う「サンゴ礁」という視点で楽しんでみるのも、親子で環境問題を考えるきっかけになるかもしれませんね。
(取材協力:サンシャイン水族館 http://www.sunshinecity.co.jp/aquarium/)