【これからの時代に必要な力】高校生に求められる「主体的な学び」とは?

 少子高齢化、グローバル化などが急激に進むこれからの時代。その中心的な担い手となる現在の高校生たちには、今、どんな学びが求められているのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所グローバル教育研究室の中垣眞紀が、解説します。

 

 

何のための勉強なのか

 いきなり現実的な話をしますが、高校生は大学受験を控え、日々の予習復習や受験勉強でいっぱいだと思うんです。多くの高校生がスマホをもち、LINEやSNSを利用しているでしょうから、勉強している途中でも友達に返信しなくちゃいけなかったりします。主体的に何かを学ぼうと思っても、普通の高校生は時間が足りないかもしれませんね。

 

それでも、ただ目の前の与えられた課題をこなすだけじゃなくて、自分で目標を作って、目標達成のために計画的に学ぶことは、とても意義があることです。まずは今、学校や塾などでやっている勉強が「何のための勉強なのか」という意味を、一人ひとりが自分の目標に照らして考えてみましょう。

 

 

大学や企業に問い合わせてみよう

 さらに、学校で出された課題というわけではないけれど、自分で興味を持ったことを、もっと知りたい、もっと理解を深めたいと思ったら、どうすればいいでしょうか。高校生にとっていい方法の一つとして、各企業や大学の担当のかたに直接問い合わせてみることです。ホームページなどで活動内容を紹介していたり、問合せ先が掲載されていたりします。この問い合わせ先に「このようなことに興味があって、調べています。」と知りたい内容やその理由と、何を実現したいと思っているのかなど、あなたの思いをきちんと丁寧に連絡すれば、企業や大学は応対をしてくれます。調べ方や、関連する資料や、詳しい専門家についての情報を教えてくれるかもしれません。また、あなたの心意気に感動して、時間がゆるせば、担当のかたが会って話を聞いてくれて、そこから解決の糸口につながる話ができるかもしれません。これは、「聞いてみる」という行動があって、始まることです。

 

また、2014年4月からは、大学の講義を誰でも無料で受講できる『J-MOOC』(一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会)が開設されました。J-MOOCでは、講義によってそれぞれ違いますが、オンラインで講義を受講し、質問や議論などをえて、レポートを作成したりします。レポートを受講者同士で相互評価しあうというやり方をしている講座もあります。修了条件を満たせば修了証が発行されます。テーマに興味を持てる講座があれば、それをJ-MOOCで学ぶことが、自分の興味関心の幅を広げたり、将来のキャリアの選択に活かせるかもしれません。

 

 

世の中に新しい価値を作る

 自分の興味の対象が、受験に関係ない、または将来の仕事に関係ない、と思う人も、いるかもしれません。しかし、よく考えてみれば、今ある仕事が、将来ずっとあるとは限りません。逆に、今は存在しない職業が、将来には存在しているかもしれない。あなたが新しい職業をつくることだって、不可能ではありません。「既存の職業に就く」という発想にしばられず、「世の中に新しい価値を作って、それを仕事にする」という意気込みで、チャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。

 

どんな分野に情熱を注ぐにしても、大切なのは必ず自分自身をふり返ってみることです。やってみた結果、それを本当に面白いと思うかどうか、本当に自分に向いているかどうか、やることを楽しめているか、やる意義を見いだせているかなどを、自分に問いかけてみましょう。やってみた感想や、自分が感じた課題をノートやツイートに残しておくなどして、毎週、毎月、何ヶ月か後に、ふり返ってみる。もし、自分が嫌々やっていると感じていることが分かったら、いったん止めて、違う分野に目を向けてみる。

自分なりのテーマや到達度を時々確かめながら、どんどん興味を深めていけたらいいと思います。

 

 

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