「アクティブ・ラーニング」、公立普通科でも4割実施ってホント!?

いま教育界で最もホットな話題といえば、「アクティブ・ラーニング」(課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び、AL)です。学校の先生方はもとより、大学入学者選抜でも重視される見通しであることから、学習塾・予備校関係者などにも関心が広がっています。既に一定の学校で実施されているというのですが、本当のところはどうなのでしょうか。

公立学校を対象とした文部科学省の調査によると、ALを「実施している」と回答したのは、小学校で48.9%、中学校で45.7%、高校は全日制普通科43.9%、同専門学科31.5%、同総合学科40.2%などとなっています。ALは次期学習指導要領(小学校は2020<平成32>年度から、中学校は21<同33>年度から一斉に、高校は22<同34>年度入学生から全面実施)の目玉とされていますが、数値だけ見れば、既にけっこう進んでいることになります。

  • ※平成27年度公立小・中学校及び高等学校における教育課程の編成・実施状況調査の結果について
  • http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/03/1368289.htm

ALは元々、大学教育の用語でした(「能動的学修」と訳す)。初等中等教育では、指導要領の改訂を要請した2014(平成26)年11月の文科相諮問に盛り込まれたことで、一気に注目を浴びました。特に強い反応を示したのが、小学校でした。しかし、文科省や中央教育審議会の関係者には「諮問にALを盛り込んだのは、主に高校をターゲットにしたものだった。小学校の学習は、もう十分アクティブなのに……」というとまどいさえ見られました。

ALは、一方的な講義形式による教え込みを改め、話し合いや調査、発表といった、さまざまな活動を取り入れることで、学習の質を深めるとともに、学習内容を超えて、社会に出てからも、いろいろな面で役に立つ資質・能力を育てようというものです。2015(平成27)年8月に中教審の教育課程企画特別部会がまとめた論点整理では、ALには「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」の三つの視点があるとする一方、特定の「型」を普及するものではないと釘を刺していました。その後も、総則・評価特別部会が今年3月に示した考え方の中では、「対話的な学び」や「主体的な学び」ばかりが注目され、「深い学び」の視点が不十分だ……との指摘を紹介しています。つまり、ALとはどういうもので、何のためにやるのかという根本的なところさえ、まだまだ理解が進んでいないのが現状なのです。

調査の結果は、あくまでその学校が「ALだ」と考えて回答した数値です。ALのとらえ方自体に幅があるとしたら、数値も、額面どおり受け取れません。そう考えれば、普通科高校で本当にALの実施率が4割に達しているかも、疑問符が付きます。専門学科は3割と、普通科より低くなっていますが、具体的な活動をもとに学び、考えさせているという点では、専門学科のほうが前からやっているはずだ……という見方もできるからです。

ALに関しては最近、「活動をアクティブにするのではなく、子どもの頭をアクティブにすることが重要だ」とも、よく指摘されています。単に活動を取り入れるだけでなく、社会に出てから活躍できるチカラが、そこで本当に育成できているかが問われます。

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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