どう教える? 金銭教育のポイント【第2回】小学生編

使う、稼ぐ、貯める……。日々の生活と切っても切り離せない「お金」。これから一生続いていくお金との付き合い方を、子どもにどう教えるべきでしょうか。前回は幼児編をご紹介しましたが、 今回は、小学生の金銭教育について解説していきます。



どう教える? 金銭教育のポイント【第2回】小学生編


「おこづかい」で大切なのはコミュニケーション

子どもが小学校に上がり、行動範囲が広がるにつれて、子どもが自由裁量で使えるおこづかいをあげるご家庭も増えてくることと思います。
各家庭の家計のやりくりが千差万別なのと同様、「どこの家庭の子どもにもぴったりのおこづかいルール」は存在しません。金額やあげ方は、各ご家庭で方針を決めていただくのがいちばんです。
なお、おこづかいのあげ方は、「学年×100円を毎月」というふうに額を決めて渡す定額制と、必要なものを買うお金をそのつどあげるやり方、大きく二つに分けられると思います。

「定額制」のよさは、子どもが自分でお金の管理ができるということです。少しずつおこづかいを貯めて好きなものを買うといった楽しみも味わえ、やりくりのコツが身に付きます。

「そのつど制」のメリットは、子どもが買うものを保護者が把握できること。そして、子どもとのコミュニケーションが密にできる点です。「これが欲しいから買って」と言われたら、欲しい理由を聞いたり、「同じ買うならこっちがいいんじゃない」とアドバイスしたりと、さまざまなコミュニケーションができます。



おこづかい帳はつけるべき?

おこづかい帳をつけることは、お金の管理法を学ぶうえで役立ちます。定額制でおこづかいをもらい始めた、家庭科で家計簿について習ったなどのきっかけで、つけ始めるのはとてもよいことです。無駄を見直すくせがつき、やりくりのコツがつかめます。ただし、飽きたらやめてしまっても構いません。保護者が「どうしてやめたの」「長続きしない子ねえ」などと言う必要もありません。大人でも、家計簿をつけ始めたものの続かないかたが多いのですが、半年か1年の間に、お金が増えたか減ったか、大づかみに把握できていれば、それで構わないのです。
なお、おこづかい帳は続けなくても構いませんが、「あなたの大学進学の費用を貯めなくちゃ」とか「今月は決めたとおりの貯金ができたわ」といった話を普段からさりげなくしておくと、家計が収入と支出のバランスの上に成り立っているという感覚がつかみやすくなります。



おこづかいルールは厳格にしすぎない

おこづかいのルールに関して、保護者はあまり厳格になりすぎないことも大事です。保護者の方針がコロコロ変わっては子どもに信用されなくなり、もちろんよくありませんが、「こうでなきゃダメ!」と厳格にしすぎると、子どもとのコミュニケーションが成り立たなくなります。たとえば「これがどうしても欲しいけれど、絶対にうちの親は許してくれない」と思うと、子どもはうそをついたり、使い道をごまかしたりしておこづかいを得るような「応用編」を覚えてしまうことも。思春期になると、ますます子どもには保護者に言いたくないことが増えてきますから、小学生の間は常にコミュニケーションが成り立つ、風通しのよい関係を保っておくのがいちばん。「うちのおこづかいルールはこうよ」と伝えておき、子どもの状況に応じてやわらかく判断してあげることが大切です。



「消費の楽しさ」を味わうのは、自分で稼げるようになってから!

このように、おこづかいルールは、各家庭で柔軟に決めていただけばよいのですが、子どもが欲しいと言えば際限なく与えてしまったり、小学生のうちから毎月数千、数万円単位の高額なおこづかいをあげたりというのは感心しません。お金を使う楽しさや、買い物でストレス解消する方法を覚えてしまうためです。自分で稼げるようになり、しかも十分に貯蓄ができてからでなければ、消費の楽しみは覚えるべきではありません。
また、子どもは新しい物好きですので、新しいゲームなどを持っているというだけで、友達の注目を集めたり、人より優位に立てたりすることがあります。つまり、保護者のお金で人を動かす楽しみを知ってしまう。これはまったく本人のためになりません。
なお、きょうだいがいる場合、「〇年生になったら△円」といった同じルールを守り、不平等が生まれないよう気を配ってください。また、たとえばお年玉など、上の子が突出してたくさんもらった場合は、下の子に少し分けてあげるように声をかけることも必要です。



お年玉は、子どもに説明のうえしっかり管理を

お年玉やお祝い金などのまとまったお金は、「これは将来必要な時のために預かっておくからね」と子どもに説明して、保護者がしっかり管理しましょう。子ども名義の口座を開いた場合も、カードや印鑑は保護者が管理し、子どもは引き出せないようにしておきます。
お年玉は、おじいちゃんやおばあちゃん、ご親せきのかたの気持ちのこもったお金ですから、子どもが本当に欲しいものを買うため、あるいは旅行や運転免許取得費用、留学など、ご本人の自己投資に役立てていただきたいと思います。

プロフィール


山本節子

専業主婦の時代、15回の不動産売買の経験をキッカケに、FPや日本証券アナリスト検定会員補の資格を取得。現在は買い手の立場に立った相談業務、セミナー講師、雑誌や書籍の執筆などを行う。(株)リスタート代表。

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