どう教える? 金銭教育のポイント【幼児編】

使う、稼ぐ、貯める……。日々の生活と切っても切り離せない「お金」。これから一生続いていくお金との付き合い方を、子どもにどう教えるべきでしょうか。
3回シリーズで、金銭教育のポイントを年齢別に解説していきます。



どう教える? 金銭教育のポイント【第1回】幼児編


金銭教育、いつから始める?

小学校に上がる前に金銭教育なんて早い?とお考えのかたも多いかもしれませんが、小さな子どもたちは、大人がお財布から出し入れしている「お金」というものに、興味津々です。「このじゃらじゃらたくさんある丸いものはなんだろう?」「この紙やカードはなんだろう?」と、不思議そうにじーっと眺めたり、触ったり。興味関心が高い幼児のころに、金銭教育を始めるのはよいことです。「これはいろいろな品物と交換できる、大切なものなんだよ」と教えてあげるとよいですね。言葉や数に興味のあるお子さんなら、おままごとの延長で、一緒に「お買いものゲーム」をして遊んであげるのもよいと思います。本物のお金の代わりに、おはじきや碁石、おもちゃのお札を使い、お店屋さんとお客さんの役を決め、品物の値段を決めて、好きな物を買ったり、おつりを渡したり。「おはじきが10円、碁石が100円ね」などと決めてやりとりすると、子どもたちは正確におつりをくれたりして、びっくりさせられることもあります。



「使う」と「稼ぐ」をセットに

お買いものゲームをして遊んでいるうちに、子どもたちがすぐ気付くのは「お金って、使っているとすぐなくなる」ということです。そこでぜひ、「お手伝いをするとおはじきがもらえる」といったルールを取り入れてはいかがでしょうか。お金を「使う」ことだけでなく、働いてお金を「稼ぐ」ことにも、ぜひ興味を持ってほしいなと思います。何かお手伝いをすると、お母さんが喜ぶ。お母さんが喜んでくれると、自分もうれしい。そんな気持ちのやりとりがあると、この遊びはとても盛り上がります。

今の社会では、ともすれば「お金はあればあるほどよい」とされ、消費の楽しみばかりが強調されがちです。たしかに、お金はないと困りますが、ありあまっていても幸せになれるとは限りません。
自分は家族が働いて得た収入と支出のバランスの中で生活していること、大人になるといずれは働かなくてはならないこと、自分の好きな仕事をして、誰かに喜んでもらうことで収入を得るのは幸せなこと……日常生活や遊びの中で、そんなことを自然に伝えられたら理想的ですね。
金銭教育の第一歩として、最も伝えておくべきなのは「お金はとても大切なもの。でも、もっと大切なものもある。お金は人を幸せにする道具じゃないんだよ」ということかもしれません。



線引きすることで「セーブする力」を育てる

大人が巻き込まれるお金のトラブルにはいろいろありますが、その一因として「自分を抑えられない」ということがあります。自分の欲求が止められない、頼まれたら断れないといった弱さが、買い物依存やギャンブル依存、借金や連帯保証人の問題、経理上の不正や盗みといったさまざまなトラブルや犯罪と関わってきます。
もちろん、小さな子どもにそこまで言う必要はありませんが、ほどよく「我慢する力」を身に付けておくことはとても大事です。
とはいえ、町の中には子どもの欲求を刺激するお菓子やおもちゃがあふれていますから、我慢を覚えさせるのは大変です。また、やみくもに我慢させるのも子どもが欲求不満になってしまうので、よくありません。

必要なのは、保護者のかたの上手な「線引き」です。たとえば「食べ過ぎると虫歯になっちゃうから、お菓子は1日1個ね」「3日で100円分ね」とか、上手に線を引いてあげる。そうすると、子どもは100円のお菓子のコーナーに行って、好きなものを一生懸命探すかもしれません。数や予算に上限があるほうが、意外と選ぶ楽しみが増えるものです。
ゲームなど高額なものをねだられた場合は、すぐ買ってあげずに、クリスマスやお正月、お誕生日まで我慢してねと伝えるのがよいと思います。



もし、家の中でお金がなくなったら

なお、幼い子どもが保護者のお金を取ったり隠したりするというショッキングなことが、意外と頻繁に起こるということも、ぜひ知っておいていただきたいと思います。たとえば、子どもが興味本位で引き出しを開けたら、大人がいつもいろいろな品物と交換しているお金が入っていた。そばには誰もいないので、そのお金をちょっと別の場所に隠して、保護者の反応を見たくなった……こんなことはよく起こります。これは、町中で財布をむきだしで持ち歩いていると、スリに遭いやすいのと同じ。お金やカードは、子どもの目に触れないところに保管し、簡単に取り出せないようにしておきましょう。

それでも、お金が家の中でなくなり、子どもが取ったと特定できたときは、いきなり怒ったり叱りつけたりせずに、まずは「お金がなくなったことに気付いているよ」と伝えることが大切です。以前、教育相談室に寄せられたメッセージの中に、お財布に「お金をとらないで返してね」とメモを入れておいたらおさまったという体験談がありましたが、これは子どものプライドを傷つけない、とてもよい方法だと思います。子どものこのような行動の多くは、お金への興味からくるものです。興味本位の何気ない行為だったにも関わらず、いきなり家族から泥棒のように扱われたら、子どもは大きなショックを受けるでしょう。
子どもに注意を促してもおさまらない場合は、「今度同じことをしたら、お父さんに言いつけるよ」と怖い顔で脅してもよいと思います。「お金を盗むのは悪いこと。二度としてはいけない」としっかり伝えましょう。大切なのは、子どもの自尊心を傷つけないこと。保護者はあくまで冷静に対処することが必要です。

プロフィール

山本節子

山本節子

ファイナンシャル・プランナー。専業主婦の時代、15回の不動産売買の経験をキッカケに、FPや日本証券アナリスト検定会員補の資格を取得。現在は買い手の立場に立った相談業務、セミナー講師、雑誌や書籍の執筆などを行う。(株)リスタート代表。2男1女の母でもある。

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