育休後のキャリアと子育ての両立 夫婦で上手に子育てをするには?
現在、子育て中のママの中には、育児休業中のかたも多いはず。仕事に復帰するには、夫婦での子育てが必須です。夫婦で上手に子育てをしていくにはどうしたらいい? 株式会社ワーク・ライフバランスの代表取締役社長小室淑恵さんに伺いました。
「夫の手助けが必要」ということを伝える
◆育児と仕事の両立のために、パパの協力が必要だと思いますが、パパにもっと協力してもらうにあたって、おすすめの策はありますか?
まだ赤ちゃんが生まれたばかりの早いうちから、夫婦で共に家事育児をする習慣をつけることがおすすめです。テニスのダブルスのように、どちらかボールが来たほうが打ち返すようなチームワークのとれた夫婦になれるよう、妻から上手に巻き込んでいきましょう。
ポイントは二つ。妊娠中などなるべく早くから、上手に「夫の手助けが必要」ということを伝え、少しずつでも心構えとスキルアップをしてもらうこと。
もう一つは、突然難しいことにチャレンジしてもらうのではなく、例えばごはんづくりであれば一番簡単なおかゆのような離乳食から、あるいはお味噌汁一品だけから、というようにハードルの低い家事育児からトライしてもらうということです。
大事なことはしっかりコミュニケーションをとること
◆パパに協力してもらうにあたって、小室さんが実践されていることはどんなことですか?
私の場合、実は長男の出産のときには、生後4ヵ月くらいまで、育児はもちろん、家事もすべて私が引き受けてこなしていました。
私がすべてやらなければという気負いがあったり、自分がやったほうが早いという気持ちがあったのですが、当然ながらやがてパンクしてしまいました。
「もうひとりではこなせない」という状態になってから、改めて夫に家事の分担を頼みましたが、すっかり家事育児無しでの生活になれていた夫はなかなか体が動かず、ずいぶん喧嘩をしたものです。
そんな中で離乳食作りは良い機会になりました。おかゆや野菜スープのような基礎的な料理が多く、初心者向きだったこと、そして子どもが食べてくれることで夫も「子どもが喜んでくれた!」とやりがいを感じやすかったようで、夫が積極的に取り組んでくれるきっかけになりました。
それからは十分コミュニケーションをとることを心がけて、自分の仕事の状況を積極的に伝えるようにしたり、夫が担当してくれたことに対してこまめに感謝を伝えたり、夫が気づいていない部分は「もったいないところはね」などと枕詞を活用しながら伝える、といったような工夫をしています。
「察してほしい」では伝わらないこともある
◆小室さんは出産後、どのようなタイミングで仕事に復帰されたのですか? その時一番大変だったことはどんなことでしたか?
私自身はなんと長男を出産した3週間後に復帰と同時に起業をしました。
私が子どもに授乳をしながら起業をしたころ、夫の平均帰宅時間は午前1時でした。ですから仕事が終わると、一人で孤独な育児家事をしていたわけですが、寝る前にぐずって泣く子をずうっと抱っこしてやっと眠って、自分のことを少ししてからやっと自分もうとうとし始めたらまた起きて泣く。
授乳をしてもおむつを替えても泣き止まなくて、抱っこして廊下を何往復もして、やっと眠ったと思ったころに夫がばーんとドアを開けて帰宅したりすると「…もう二度と帰ってこなくていいから」という気持ちになりましたよね(苦笑)。
ずいぶん夜中に喧嘩をしましたし、これでは第二子なんて絶対に産めないと思っていました。でも我慢せずに議論をたくさんして、私の気持ちを伝えたこと、協力してほしいことをなるべく明確に伝えたこと、それから仕事に対して真剣だということをくり返し伝えたことがよかったのでしょう。
夫はその後、朝の時間を活用してくれるようになり、子どもたちをお風呂に入れ、朝ご飯を作り、保育園に送るようになってくれました。
「夫婦で会話をしていても、夫が自分の仕事に理解を示してくれない」というお悩みをよく聞きますが、多くは男女のコミュニケーションの違いに原因があるようです。
女性にとっては会社での出来事を愚痴っぽく話す内容をただ共感してほしいことがあると思うのですが、夫は解決策を出したがる。女性にとっては「ただ聞いてほしいだけなのに」と思い、男性にとっては「解決策を伝えても喜ばれない」と思う。これが続くと男性側に「自分のほうが仕事に前向きだ」という誤解を生むことがあるようです。
私は、自分がほめてほしい時には「私の気持ちを察して、ほめてほしい」と思わずに「こんなことをがんばったので、ほめてほしい」と明確に伝えるようにしています(笑)。
社員に対してもそうかもしれませんね。「察してほしい」では伝わらないこともありますので、なるべく具体的に要件やリクエストを伝えます。
今では旦那さんの協力を得ながら、第二子も授かり、現在は、二人のお子さまを育てながら、もちろん会社も順調に経営されている小室さん。
察してくれるのを待っていてはだめとのこと。自分から言う、しっかりとコミュニケーションをとることが夫婦の子育てにも大事なのですね!