働き盛りのパパたちへ ~子育て参加のアドバイス~【前編】一人前のパパは夫婦げんか上手

今回はパパたちに向けた記事です。自らも2児のパパで、男性の子育てや夫婦のパートナーシップに詳しい育児・教育ジャーナリストのおおたとしまささんに、たくさんのアドバイスをいただきました。



日本のパパは週末イクメン

日本のパパは、その多くが長時間労働・長時間通勤のワークスタイルです。育児休暇も取りにくく、平日はどうしても子育てに参加しづらいのが現状です。しかし、休日は平日の分をリカバリーしようと、かなりがんばっています。ベネッセの調査でも、アジア4都市のパパのうち、休日に子どもと過ごす時間が最も長いのは東京のパパです。つまり、日本のパパは子育てに参加する気がないのではなく、むしろやる気は十分にあると、私は好意的にとらえています。



パパと遊ぶことも立派な子育て

それなのに、パパの子育て参加があまり評価されないのはなぜでしょう。それは、ママが「パパは子どもと遊んでばかり(=子育てをしていない)」と感じているからではないでしょうか。しかし結論から言うと、「遊んでばかり」は間違ってはいません。

私は、子育てにはごはん作りなど、主に生命維持に関わる「お世話系」と、遊びや工作などをとおして、将来必要となる能力を開発する「能力開発系」があると考えています。こう分類すると、あくまでも傾向としてですが、ママはお世話系、パパは能力開発系が得意です。しかしパパもママも、「子育て=お世話系」と思っている。そのため、ママは「大きな子どもがもうひとりいる」などとパパを評価し、パパも「どうせ何をやっても悪い点ばかり指摘されるし……」と自分を卑下してしまうのではないのでしょうか。
実は、パパも「遊び」という子育てをとおして、子どもの可能性や能力を伸ばしています。そのことに夫婦で気付き「子育ての役割分担をしているのだ」という気持ちを持ってほしいですね。



ママはふたりいらない

役割分担、もしくは得意分野を生かすということに目を向けると、夫婦は相手が苦手とする分野の子育てを担うべきだということがわかります。特に核家族の場合は登場人物が少ないのですから、ママが二人いる必要はありません。そんな場合、一般的にパパのほうが、核家族にはいないさまざまな登場人物を引き受けるべきです。ときにはおじいちゃんやおばあちゃん、ときには近所のやんちゃ坊主と、いろいろな価値観や刺激、矛盾を子どもに与え、全方位から能力を引き出してあげましょう。
ママが先発ピッチャーならば、パパはキャッチャーから内野、外野までこなせるオールラウンドプレーヤー。先発が疲れきったときはリリーフをこなせることが、現代のパパには求められています。



イクメン=一人前の大人

パパは、ついママの言うことに従いがちですが、それでは一人前の大人とは言えません。ママと価値観をぶつけ合うくらい、子育てに対しても主体的であるべきです。こういうパパは、ママから見ればうっとうしいでしょう。しかし、ママにとって都合のいいパパは、半人前の人材でしかないことを知っておきたいですね。



パパたる者、夫婦げんかを恐れるな

価値観のぶつかり合いから相互理解へと集約させるには、「上手な夫婦げんか」が効果的です。「上手」にするテクニックとして、以下の3点を心がけてください。

(1)勝とうとしないこと
(2)仲直りまでがけんか
(3)まとめようとしない、結論を出さない


「上手な夫婦げんか」の目的は、あくまでも相互理解です。お互い、自分の腹の中をさらけ出せたら、それでおしまいです。お互いに相手の考え方を知り、抱えている問題に気付いた時点で、「歩み寄り」という解決が始まるのです。
この「上手な夫婦げんか」ができれば、多少強い口調になっても受け止められるし、こちらもこちらで言いたいことが言えます。そして、いつの間にか「いい落としどころ」を見つけられるようになります。これは、夫婦だからこそできるけんかであり、家族間に通るパイプを大きく広げていく作業につながります。

なんと言っても「言いたいことも言わずにストレスをためこむくらいなら、最終的にはけんかしてもよい」と思えることが、この「上手な夫婦げんか」のいいところです。ぜひ、「上手な夫婦げんか」をしながら、パパとして進化してください。

次回は、パパの子育て参加の具体的なハウツーをご紹介します。

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プロフィール


おおたとしまさ

教育ジャーナリスト。1973年、東京生まれ。リクルートから独立後、数々の育児・教育誌の編集に携わる。学校や塾、保護者の現状に詳しく、各種メディアへの寄稿、コメント掲載、出演も多数。中高の教員免許を持ち、小学校教員や心理カウンセラーの経験もある。著書80冊以上。

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