子育て世帯のボーナス、受け取ったらすべきこととは
2016(平成28)年5月11日、民間調査機関の一般財団法人労務行政研究所から東証1部上場企業の夏季賞与・一時金の妥結水準調査が発表されました。この調査によると、全126社の平均は73万4,090円、対前年同期比で1.7%増加となるそうです。平均支給月数は2.43か月分で、2015(平成27)年より「増加した」企業は46.9%です。
こうなると、これから受け取れるボーナスに期待を寄せるご家庭は多いでしょう。でも、これも欲しいあれも欲しいと手当たり次第購入していては、せっかくのボーナスもあっという間になくなってしまいます。そこで、子育て世帯がボーナスを受け取った時の家計の見直し方法をご紹介しましょう。
「必ずためる」という意志を持とう
子育て中の家計は、何かと出費が多いもの。ですから、月々の家計が赤字になると、ボーナスで補充しているというご家庭は多いでしょう。ただ、就業規則を見せていただくと、賞与に関しては、「会社の業績が良好な時」などと、必ず支給するとは記載していない会社もあります。いったん業績が悪化すると、ボーナスカットという会社はめずらしくないのです。ですから、補充をする前に、「年間いくらためる」という目標を設定すること、ボーナスからの貯蓄も「余ったらためる」でなく、最初に「○○万円をためる」という確固とした意志を持ち、ボーナスが減額されるなどの、突然の事態にも慌てず対処できるようにしておきたいものです。
ボーナスが振り込まれたら、最初にしていただきたいのは、貯蓄額を設定し、その金額を別口座に移すことです。次に補充するものに振り分けていきましょう。たとえば、保険料を年払い、自動車税は5月、固定資産税は年4回など、毎月払いでない項目についてはその金額を見越しておくということです。設定は、手取りの10%と言いたいところですが、続けなくては意味がありませんので、ちょっと無理をすれば届く金額にすればよいでしょう。
振り分けには用途ごとの通帳を利用する
子育て世帯の家計にとって大変なのは、一度にいろいろな費用がかさむことです。教育費・レジャー費用・住宅取得資金・老後資金など、同時並行で考えていくことがポイントです。「子育て中は老後なんて考えられない」、それはそのとおりですが、子どもの教育費が終了してから老後資金をためようとしても準備期間が不足することがあることは頭の隅に置いておきましょう。子どもが学校を卒業しても派遣や有期雇用など生活が安定しないままなかなか独立できず、親が継続して援助するということもあり得るのです。子どもへの支出はどこまでか区切ることを考えておくべきでしょう。
通帳は、「基本生活費」「教育費(将来用)」「娯楽費」「老後資金」「予備費」と明らかにわかるように預け先を5つ程度にしましょう。「ためる」となった金額は、「基本生活費」以外の用途別に振り分けます。今、預けるといきなり増える預け先はどこにもありません。この預け先は、自分の「リスク許容量」によって変わってきますが、預金が減るのは絶対許せないという性格であれば、「定期預金」に預けるしかありません。
定期預金にする場合でも、キャンペーン内容が少しでも有利なものを選ぼうとすると、その銀行等に口座を新規に開設しなければならない場合もありますので、その度に口座が増え、管理できなくなると、なんのために開設したのかわかりません。あちらの金利が高い、こちらの金利が高いと言っていてはキリがなくなります。
金利以外に目を向ける
2016(平成28)年5月の段階の定期金利をネットで検索すると、1年物で0.10%という金利が一番よいようです(*優遇の上乗せは考慮しない場合)。もし10万円を1年預けてみると、1年後に受け取れる利子は税引き後79円。新規に口座開設したり、スーパー系の銀行であればそのスーパーのクレジットカードを持っていたり、通信系の銀行であればその携帯のユーザーであったりすれば、更に金利が上乗せされるなど、細かな条件によって上乗せされるケースはあります。
ですから、今後は普段の生活スタイルで家計にとって使いやすいものを、もしくは目的を優先させます。生活スタイルに合わせるなら、スーパー系の銀行でまとめてクレジットを利用したり、百貨店で購入することが多いなら百貨店で積み立てをしたりします。目的を優先するなら、旅行積み立てや、早めの住宅ローン繰り上げ返済などです。金利以外に目を向けることが必要です。
そして、更に注目しておきたいのは、どのクレジットカードを持つかということです。クレジットカード払いにすると現金還元をするカードも出てきました。それでも、初年度会費は無料でも次年度以降は会費が必要であるとか、カード払いの初期設定で手数料が取られるリボ払いになっているなど、注意点もあります。ポイントが付く場合と付かない場合、初期設定など、よく読まないとわかりにくい説明がありますので、利用する場合には、使い勝手を確認しておかねばなりません。
ボーナスを受け取った時期が家計の見直し時期です。たくさんのお金が入ることに浮かれず、まずは「計画的に」お金を使うために、受取金額を「配分する」習慣を身に付けていくとよいでしょう。
(筆者:當舎緑)