育休後のキャリアと子育ての両立 ワーキングママの心構えとは?
現在、子育て中のママの中には、育児休業中のかたも多いはず。産休、育児休業を経て、子育てと仕事をうまく両立するための心構えとは? 株式会社ワーク・ライフバランスの代表取締役社長小室淑恵さんに伺いました。
周りのサポートに対する感謝の気持ちを惜しまない
◆子どもが風邪や病気になりやすいのですが、そのたびに会社を休むことにジレンマがあります。仕方がないことではありますが、このような場合、どんな心構えでいるとよいのでしょうか?
当社ではほとんどの社員が仕事と家庭の両立に取り組んでいて、子どもの病気などで急に欠勤せざるを得ないことはよくあります。それでもお互いに仕事を助け合って、業務に支障をきたさないのは、社員がお互いの仕事の状況と家庭の状況を発信しあい、お互いさまの気持ちをもって、普段から気にかけあっていることが要因だと思います。
まずは普段から自分の仕事の状況や手順を共有しておき、いざ代理の対応をお願いしたいという時に慌てないようにしておきましょう。
引き継ぐ側の気持ちに立つと、難雑でよくわからない仕事は負担が大きく自分の仕事にも支障をきたしかねない不安がありますが、普段から手順や状況が整理されていて、資料を見ながら電話やメールで少し確認すれば済むような仕事であればずいぶん負担感は小さくなります。
また、気持ちよく仕事のやりとりをするためには、コミュニケーションの工夫も欠かせません。自分が誰かに助けてもらうことが当然とは思わず、自分がチームに対して貢献できることはないか普段からよく観察をしたり、逆の立場に立った時には周囲の仕事を快く手伝うことを心がけましょう。
困った時に助けられた経験をもつ同僚が増えれば、あなたの応援団が自然と増えてくるでしょう。また、周りのサポートに対する感謝の気持ちは惜しまず、本人へのお礼を伝えるばかりでなく、上司をはじめとしたチームメンバー全員に対しても機会をうかがって発信するようにしましょう。
誰もが自分の仕事だけをこなせばいいのではなく、「助け合うことはお互いさま」の仕組みと風土を醸成していけるといいですね。
仕事と子育ては両方あるから楽しい
◆ワーキングママにとって、仕事と子育ての両立するために大事なことはなんでしょうか。また、子どもと過ごす時間が減る、成長をいつも近くで見守れない…でもキャリアは今でなきゃ!と思う人も多いようです。このような葛藤にはどのように向かい合うべき?
「育児と仕事の両立」というと、大変なものというイメージが付きまといますが、私は「両方あるからこそ楽しいのだ」と考えています。
確かに、育児と仕事の両立は大変です。子どもが生まれるまでは自由に時間を使えていたのに、出産することで時間的な制約を抱えて、仕事も育児も中途半端な自分になったような気がする人も少なくありません。私自身も、今の自分は、以前の自分よりもできることが減ってしまったと感じてしまうこともあるでしょう。
しかし失ったものばかりに目を向けていてはマイナスしか見えなくなります。子育てを通じて新たに得るものに目を向け、それをパワーに変えて働き方を変えていく、そういう発想が大切です。
思い切って任せることで自分がラクになる
◆復帰後、大変だとは思うのですが、がんばった先にあるものってなんでしょうか? 子育てと仕事の両立で得られるものは? 自分のどんな部分が成長する?
両立で得るものはたくさんありますが、仕事の面からいえば、まずはタイムマネジメント能力と時間生産性の高さがあるでしょう。
例えば「段取り力」を高め、期日までに優先順位をつけながら、望まれる完成度で仕事を仕上げる能力、「コミュニケーションスキル」を高め、相手の要望を的確に把握し、こちらの要望をスムーズに通す能力、といったことは時間制約のある女性が突出しているといわれています。
また、私の例でいえば、「任せる力」も育児と仕事の両立で得られたスキルでした。
起業当時は重要なクロージングの打ち合わせは全て私が必ず出席していたのですが、ある日家族の不調で残念ながら出席することができなかったのです。無事に契約を結べるだろうかと不安でいっぱいだった私の予想を軽く裏切って、若い社員は非常にスムーズに打ち合わせを済ませ、見事ご成約を頂いてきたのです。
普段からいざという時のための情報共有を進めていたのであれば、あと必要なことは思い切って「任せる力」。
この経験以来、私は職場でも家庭でもどんどん権限移譲をしていったのですが、驚くことに任された相手は期待に応えようとどんどん伸びてくれるのです。
自分一人ではできないという領域を見極め、みんなで取り組んでゆく巻き込み力は、育児をする女性の大きな強みになるでしょう。
周囲にサポートをお願いするためには、自分一人ではできないという領域を見極めることが大事なのですね。周囲を巻き込んでいく力が育児と仕事の両立には大事とのこと。自分一人で抱え込まないで上手に周囲のサポートを受けられるようなコミュニケーションづくり、参考になりそうですね!