小中一貫教育に「コミュニティ・スクール」活用を推進、その理由とは?

学校教育法の改正により、小中一貫教育を行う「義務教育学校」を、2016(平成28)年度から市町村などの判断で創設することが可能となった。文部科学省では、義務教育学校に保護者や地域住民が学校運営に参画する「コミュニティ・スクール」(CS)の活用を求めているが、具体的にはどのような内容なのだろうか。
ベネッセ教育情報サイトでは、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に話を聞いた。

小中一貫教育に「コミュニティ・スクール」活用を推進、その理由とは?


文科省は、学校教育法改正の通知の中で、義務教育学校の創設にあたり、「地域住民や保護者とビジョンを共有し、理解と協力を得ながら進めて行くことが重要である」と強調。地域住民や保護者が学校運営に参画する「コミュニティ・スクールの推進が期待される」としています。義務教育学校を設置する場合、CSにするよう実質的に要請しているとも受け取れます。なぜ、義務教育学校をCSにする必要があるのでしょうか。

背景には、東日本大震災で多くの学校が避難所となり、地域の人々を支えたことで、学校と地域の関係が見直されるようになったこと、さらに、人口減少など多くの地方が課題を抱える中で「地域の中核としての学校」の存在が、クローズアップされるようになったことなどがあります。

義務教育学校を設置する場合、小学校が統廃合されることが避けられない地域もあるでしょう。地域の中心であった学校がなくなると、その地域の衰退につながる可能性も出てきます。このため義務教育学校をCSにし、「学校の応援団」として地域住民や保護者に積極的に学校に関わるよう促すことで、学校を中心とする新たな地域作りを進めようというのが、文科省のねらいだと思われます。9年間の小中一貫教育では、より積極的な学校の教育活動への協力や学校運営への支援が、地域住民や保護者に求められる可能性があります。
学校・保護者・地域住民の関係が改めて問われることになるかもしれません。

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