【公立・私立・国立】小学校の仕組みや違いとは?小中一貫教育や小学校受験など小学校進学に関わる最新の動きも
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小学校は、学区の公立小学校へ通うだけでなく、受験をして私立や国立小学校に通うという選択肢もあります。
公立・私立・国立の小学校の違いや特徴、最近の小学校進学を巡る動きについて、日本大学文理学部教育学科の望月由起先生監修のもと、ご紹介します。
この記事のポイント
公立・私立・国立別の小学校の特徴
小学校は、 設置者(運営・運用者も含む)の違いによって、公立・私立・国立の3種類があります。割合は、公立小学校が約98.4%、私立小学校が約1.3%、国立小学校は約0.3%程度となり、大多数が公立小学校です(※1)。それぞれの学校の特徴は次のとおりとなります。
※2 一部例外あり。立川国際中等教育学校附属小学校は、東京都立です。
※3 立川国際中等教育学校附属小学校は適性検査を課しています。
※4 学校選択制をとる地域など、一部例外があります。
市町村や特別区が運営する「公立小学校」
市町村や特別区の教育委員会から指定された小学校へ通う……この学校が「公立小学校」です。
原則として住んでいる学区に応じた学校へ通うため入試がなく、入学金や授業料といった費用はかかりません。給食費に関しても、無償化が実施されている自治体が増えています。保護者視点からすれば諸経費以外の金銭的負担、送迎などの体力的・時間的負担が少ないのが大きなメリットです。
教科書はその公立小学校が設置されている市町村や特別区の教育委員会が選びます。そのため教育内容に関する独自の工夫などは行いにくく、基本的にはその地域全体で同じ内容を学ぶことになります。
学校法人が運営する「私立小学校」
私立小学校は、公立や国立とは違う、独自の特色が濃く出やすい学校です。教職員は公立と同じく「小学校教諭免許」を持っていますが、採用は各学校が独自に行っています。 また、学校ごとの採用となるため、基本的には異動がありません。
入学するためには各学校の入学試験や面接などを受ける必要があり、公立・国立と比べ学費は高い傾向に。こちらも文部科学省の「学習指導要領」に沿った学習を行いますが、使う教科書は校長が選択可能で、授業内容も独自の特色が出やすい傾向にあります。
学校独自でいろんなことを決めやすく、施設・設備が充実しやすいのも特徴です。そのため保護者が役員活動でフォローしなくてもよい場合も多く、労力的な負担は少ない傾向にあります。
国立大学法人が運営する「国立小学校」
国立大学法人が運営する国立小学校は、多くが「国立大学附属」の位置付けで、「◯◯大学附属」「◯◯大学教育学部附属」といった名称が一般的で、附属中学校と連携した教育をすすめています。公立小学校と同じく入学金や授業料は無料ですが、任意で寄付金を募ることも少なくありません。
授業内容は、大学で研究されている教育理論や手法を反映した質の高い、充実したものになる傾向にあり、先進的でレベルの高い学びが期待できるのが大きなメリットです。
都市部を中心に出願者が多いような学校では、入学するのに「調査・検査」だけでなく「抽選」も実施されています。学校によって「調査・検査」「抽選」の順番は異なりますが、抽選という不確定要素もあるのが難しいところです。
使用する教科書は校長が選べますが、私立のように濃い特色はありません。しかし比較的のびのびと教科書にとらわれない自由な学び方をするため、公立・私立とはまた違った魅力があるといえるでしょう。
ただし、入学から一定期間の送迎、PTA活動への積極的な参加、公開研究会・研究授業等の手伝いなどが求められることが多く、労力的な負担が大きくなる場合もあるようです。
小学校進学を巡る最新の動き
時代の変化や少子化、コロナ禍などを背景に、小学校への進学にも変化が見られます。
公立校の小中一貫化の増加
これまで私立や国立で行われていた小中一貫教育ですが、公立でも導入が推進されています。小学校と中学校が情報交換を行うことで小中のスムーズな連携を目指す「小中連携」から一歩踏み込んで「小中一貫教育」への動きが進んでいるようです。
この背景には、少子化による学校統廃合の影響や、中学校に進学した際に環境になじめない「中1ギャップ」と呼ばれる現象の解消を狙う意図があります。
小中一貫教育には「義務教育学校」と「小中一貫型小学校・中学校」の2種類があります。義務教育学校とは、1人の校長と1つの教職員組織の下で小中9年間(前期課程6年間、後期課程3年間)、一貫して教育を実施するものです。小中一貫型小学校・中学校は、それぞれ独立した既存の小学校・中学校を組み合わせて一貫教育を行うものです。あくまで別の学校のため、それぞれに校長、教職員がいます。
2024年度入試では受験者数が減少した学校も
小学校受験にも変化が見られます。コロナ禍で、オンライン教育の質の高さや、柔軟な取り組みを実施する私立・国立小学校に脚光が集まり人気に。受験者数を伸ばしていましたが、2024年度では、首都圏で前年度よりも受験者数が減った学校も見られました。
背景には、コロナ禍の落ち着きや、1人1台端末など公立でもオンライン対応が進んだこと、少子化の影響などがあることが指摘されています。
まとめ & 実践 TIPS
幼稚園や保育園と同じく、小学校にもそれぞれ風土や特色があり、お子さまや保護者のかたに合う・合わないがあると思います。学区の公立小学校に通うのももちろんよいですが、あらかじめリサーチして特色を知っておけば、お子さまがよりのびのびと楽しく通える環境をつくってあげられるかもしれません。
国立小学校や私立小学校の場合、受験のことだけでなく、進学後のことにも目を向けておきましょう。多くのお子さまは、電車やバスを利用して、6年間通学することになります。平日の通学時間帯にお子さまが通学する経路や混雑具合などを実際に確認しておくこともお勧めします(その小学校に通う子どもたちの自然な姿も目にすることができます)。ご両親が共働きの場合には、放課後の過ごし方についても情報を集めておきましょう。
さまざまな面を考慮しつつ、お子さまにとって最も納得のいく選択ができるとよいですね。
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