多面的入試は「学力不問」じゃない! 東大・京大を例に
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当コーナーでは、大学入学者選抜と高校教育、大学教育を一体とした「高大接続改革」の論議の動向について、これまでも折に触れて紹介してきました。8月中には、文部科学省「高大接続システム改革会議」の中間まとめが出る見通しになっています。
ところで最近、そうした議論の場では「これからの入試でも、知識・技能を軽視するものではない。むしろ思考力・判断力・表現力を高めるには、知識・技能をしっかり身に付けることが欠かせない」という声が強まっています。そこで、以前にも紹介した東京大学の「推薦入試」、京都大学の「特色入試」(いずれも来春の2016<平成28>年度入試から実施)を例に、この問題を考えてみましょう。
両大学はこのほど、相次いで募集要項を発表しました。東大の推薦入試では、大学入試センター試験で各学部が指定する教科・科目をすべて受験することはもとより、「概ね8割以上の得点」という高い目安を明記しています。それだけの「基礎学力」は最低条件であり、そのうえで、各高校の校長が男女各1人だけ自信を持って推薦できるような「特定の分野や活動に関する卓越した能力、もしくは極めて強い関心や学ぶ意欲を持つ志願者」(推薦入試の基本方針)を求めているのです。
また、京大の特色入試でも、多くの学部では「学力型AO」などと銘打ち、センター試験を課しています。センター試験を課さないのは医学部医学科だけですが、評定平均値4.7以上、TOEFL-iBTスコア83点以上(英検準1級=大学中級程度に相当)といった高いハードルがあります。
「大学入試改革」の論議では当初、推薦入試やAO入試が私立を中心に、「学力不問入試」になっているのではないかという指摘(外部のPDFにリンク)がありました。今年1月に策定された「高大接続改革実行プラン」(外部のPDFにリンク)では、一般・推薦・AOという入試区分を廃止することを提言していますが、必ずしも推薦やAOの趣旨自体を否定したものではありません。点数だけにも意欲だけにも偏らず、その大学が求める学生像(アドミッション・ポリシー=AP)を、学力レベルも含めて明示して、APに基づく多面的・総合的な選抜を行ってもらおうという趣旨なのです。
東大・京大が求めるようなハイレベルの学力は、どんな大学にも要求できるわけではありません。しかし、入学者の学力レベルがわからなければ、入学後の教育も本来しようがないはずです。今般の高大接続改革で、高校在学中に受ける「高等学校基礎学力テスト」と、センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト」(いずれも仮称)の2つの新テストを創設することにしたのも、学力把握のツールとする意味合いがあります。
高大接続改革をめぐっては、「これからの入試に、知識は要らないんでしょう?」といった誤解が、早くも高校生の間に広がっていることを指摘する予備校関係者もいます。しかし決してそうではないのです。これからの大学入試では、知識と活用力の両方が求められることを、正しく理解しておかなければなりません。
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