話を聞いていない子【教えて!親野先生】


話を聞いていない子【教えて!親野先生】

【質問】
あるイベントで、係の人がやり方を説明して「では、スタート」と言ったのに、うちの子は話を聞いていませんでした。それで、私のところに「何すればいいの?」と聞きに来ました。こういう時はどうすればいいのでしょうか?教えるべきか?突き放すべきか? このままでは、話を聞けない大人になるのではないかと心配です。

相談者・なお さん(小学2年生 男子)

【親野先生のアドバイス】
なおさん、拝読しました。

こういう時は、つい次のように言ってしまいがちだと思います。
「ちゃんと話を聞いていないからわからなくなるんでしょ! ○○するんだよ。わかったらどんどんやりなさい!」
あるいは、次のように言ってしまうかもしれません。
「話を聞いていない子はやらなくていい!」
前者は、一応教えてあげるけれど、ついでに叱りつけるという対応です。後者は、叱るだけで教えないという対応です。

私も教師時代の前半はこういった言い方をしていました。でも、これは百害あって一利なしと気が付きました。
こういう言い方だと、子どものやる気は一気にしぼんでしまいます。何日も前から楽しみにしていたイベントも台無しです。自分に対する自信もなくなりますし、保護者に対する愛情不足も感じるようになります。
しかも、こういう叱り方をして、それで話を聞くようになるかというと、決してそういうことはありません。
このような場で、話し手が大勢に向かって話をしている時、自分に言われていると思わない子はけっこうたくさんいるのです。
でも、そういう子がそのまま話を聞けない大人になるということはありません。大人になれば普通に聞けるようになりますから心配は要りません。

私は教師時代の後半は次のような言い方をするようにしていました。
「すごーい! やる気満々じゃん。今から○○するんだよ。あなたなら上手にできるよ。がんばってね」
こう言ってあげると、子どもは大喜びで「わかった! ようし、がんばるぞ」と答えます。そして、大いに張り切って取り組みます。
かつての私もそうでしたが、親や先生の中には子どもがちょっと話を聞いていなかっただけで怒ってしまう人がけっこういます。
でも、そんなことで怒る必要はまったくありません。もう一度言ってあげればいいだけのことです。大人同士だったらみんなそうしているはずです。

もちろん、いつも話をちゃんと聞ける子もいます。大人には、こういう子は手がかからないので、しっかりしたよい子に見えます。
でも、ぼうっとしていたり自分の考えや空想にふけったりしがちな子も、かなり多くの割合でいるのです。そして、こういう子たちも捨てたものじゃありません。
私の経験では、こういう子たちの中に、感性が豊かな子、想像力と創造力に富んだ子、オリジナリティーのある子、アイデア豊かな子、芸術的な才能がある子がたくさんいます。また、癒し系の子、おっとりして穏やかな子、友達に優しい子もたくさんいます。

もちろん、しっかりしているのと両立していれば一番いいわけですが、完璧を望むこと自体が間違いです。
子どもが、大人から見てほめやすいしっかりしたよい子でなくても、まったく大丈夫です。
その子のよい面を認めてプラス思考で育てていってください。そのためには、話を聞いていないことも含めて、苦手な面にはばっちり目をつむって寛大に接することが必要です。
目をつむれないまま苦手な点を注目ポイントにして、そこばかりつついていると、その子のよい面が埋もれてしまいます。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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