親野先生に聞いた!つい言いたくなる「正論」に注意!子どもを動かすのは「共感の言葉」

子どもの行動に対して「こうするべき」「こうするのが当然」と思う場面で、やるべき理由ばかり伝えていませんか? でも、正論で納得させたいと思っても子どもは動かず、逆効果になることも。一方、「共感」には子どものやる気を引き出す力があるのだとか。教育評論家の親野智可等先生に、「共感」のもたらす効果や実践のヒントなどをうかがいました。

この記事のポイント

正論で子どもが変わらないわけ

子どもがなかなか宿題を始めないと「やらなくちゃダメじゃない!」と言いたくなります。習い事に行きたがらなかったり、ゲームを時間通りにやめられないときも「約束でしょう」「自分で決めたのよね」などと言ってしまいたくなったり……。これは正論で、親としては、なぜ言わなければわからないのかとさえ思います。でも、こうしたことは、実は子どももわかっていることなのです。

わかっていても気分がのらないときやエンジンがかからないとき、反対に夢中になってやめられないときなどは大人にもあります。それでも大人なら、そのまま放置すればどうなるかや、早く終わらせた方がよい理由を考えて自分の背中を押すことができます。しかし、それには先を見通す力や経験が必要。それを子どもに望むのは難しいのです。

やらなければいけないことはわかっていて、でもうまく実行できない状態の子どもに正論をぶつけても、子どもとしては「そんなこと、わかってる!」という気持ちになります。さらに「当然のことができない自分は、やっぱりダメなんだ」と落ち込んでしまうこともあります。それに、既に起こったことについて「テストの点が悪かったのは勉強が足りなかったからだよ」などと言われても前向きな気持ちにはなれませんよね。ですから、正論では、よい効果は期待できないと考えたほうがいいでしょう。

共感から始めるとうまくいく

一方で、正論を言いたくなる気持ちをぐっと押さえて共感から始めると、さまざまなよいことが起こります。たとえば「宿題やりたくない気持ち、わかるよ」「毎日大変だよね」など、はじめに共感の言葉をかけてみてください。子どもは自分のイヤな気持ちや大変さをわかってもらえたと感じれば気が楽になります。そこで子ども自身が「まあしかたない」と思って始めることもあります。それでも動けないときは「とりあえず準備だけしたら?」「少し手伝うから終わらせちゃおうか」などと子どものハードルを下げる提案をして、やってみたら思ったより楽だった、終わらせたらスッキリしたという経験をさせてあげましょう。

子どもには本来、もっとできるようになりたい、もっとよくなりたいという欲求があります。勉強もできるようになりたいし、決めたことは守りたいのです。それでもうまくいかないとき、親がするべきことは、やる気を引き出し、気持ちを盛り上げるサポートです。気持ちを切り替える工夫や学習のサポートアイデア、環境づくりなど、できることはさまざまありますが、どんなときもまず心がけたいのが「子どもに共感すること」なのです。

共感の言葉は、子どもの悩みや問題を解決しようとするときも、とても重要です。自分の思いが理解されているという実感が得られれば、子どもは親に対する信頼感を深め、ちゃんと自分を見てくれているという安心や深い愛情を感じます。そして自信を取り戻したり不安を解消したりできます。その結果、より親の話に耳を傾けるようになります。

共感するのは意外と難しい?

共感できることに同意するのは簡単ですが、「なぜやらないのか、わからない」「どうしてそんなに嫌なの?」と子どもの気持ちがわからないこともあります。また、早合点して「〇〇だからでしょ。わかる!」と言ってしまうことも。重要なのは子どもの気持ちに寄り添って受け止めることなので、子どもをよく観察して気持ちを推察してみてください。「気分がのらないんだね。どうしてかな?」と優しく問いかけてもいいでしょう。

子どもの気持ちや状況に目を向けると、次の対策も見えてきます。たとえば宿題をやらないときは、宿題が多すぎたり苦手な課題を抱えているならサポートをする、他に夢中になっていることがあるなら時間を区切って終わってから続きをしてもよい約束にするなど、より具体的に建設的な方法を考えることもできます。

もちろん「親としてはこうしてほしい」という希望や期待もあり、それと違えば苛立つこともあるでしょう。でも、そんなときほど、ちょっと立ち止まって子どもの気持ちを考えてみることで一方通行ではないやりとりが生まれます。そうしたコミュニケーションを経験している子どもは、友達に対しても正論で責めるのではなく、共感して寛容に受け止める力が育ち、周囲から愛される人に育っていくでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

正論ばかりでは、窮屈で、前向きな気持ちにはつながりにくいもの。「こうするべき」「こうした方がいい」と自分自身に対しても正論を求めがちかもしれません。子育てでは、思うようにいかないこと、予想できないことがたくさん起こるので、柔軟に子どもを受け止めていきたいですよね。子どもの行動に苛立ってしまったときなど、まずは「そうだよね、だって子どものことを思ってるんだもんね」と自分に共感してみるのもよいかもしれません。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。長年の教師経験をもとに勉強法や家庭教育について具体的に提案。
Twitter、Instagram、オンラインサロン「やすらぎの子育て・教育オンラインサロン」、YouTube「YouTube親力チャンネル」、Blog「親力講座」などで発信中。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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