<伸びるための学習法シリーズ>成績を伸ばす学習に対する考え方

<伸びるための学習法シリーズ>成績を伸ばす学習に対する考え方

<伸びるための学習法シリーズ>前回の記事「成績の分かれ道は学習のやり方にあり!」では、短い学習時間でも理解を深められる学習方法を探りました。今回は、やはり成績に関係が深いことがわかった学習に対する考え方についてご紹介します。(文/大島佳子)

結果を重視するか、考える過程を重視するかで、成績が変わる

下の図1は、小学4~6年生に対して「学習に対する考え方」を聞いたアンケート結果の一部です。学習において【結果を重視する】【考える過程を重視する】というふたつの考え方に対し、それぞれ「とても大切である」「まあまあ大切である」と答えた子供の、成績上・中・下位の割合を示しています。


【結果を重視する】とは、極端に言えばテストの点数など結果さえよければよい、という考え方。これに対して【考える過程を重視する】とは、結果がよくても悪くても、「どのように考えて解いたか」を確認することなどプロセスが大切であるという考え方です。
この結果をもとに、「学習に対する考え方が成績とどう関連しているのか」を、教育に関する調査・研究を行うベネッセ教育総合研究所に聞きました。

<注目ポイント>

・【考える過程を重視する】子供には成績上位者の割合が高い
【結果を重視する】子供のうち、成績上・中・下位の割合を見てみると、成績下位層が42.4%と最も多いのに対し、成績上位層は26.8%と少ない割合になっています。
また、【考える過程を重視する】子供を見ると、成績上位層の割合が45.8%と【結果を重視する】に比べて20ポイント近く高くなっています。
これらのデータから、【考える過程を重視する】子供のほうが成績上位の子が多いといえます。

・【考える過程を重視する】子供の保護者は、【考える過程を重視する】人が多い
図1と同様のアンケートを保護者のかたにも行いました。その結果、【考える過程を重視する】子供の親は【考える過程を重視する】人の割合が高く、【結果を重視する】子供の親は【結果を重視する】人の割合が高い傾向にあることがわかりました。
当然と言えば当然ですが、保護者の学習に対する考え方は子供に影響しているのではないかと考えられます。

考える過程を大切にすることは学力を伸ばすこと

テストなどで問題に取り組んだとき、点数や○×はもちろん気になるでしょう。でも、結果だけを気にして、問題を解くプロセスに目を向けずにいると、問題の本質を理解できないままになる可能性があります。たとえ○がついていても、偶然正解しただけでは次に同じような問題を解くときは間違えるかもしれません。一方で、プロセスをきちんと確認しておけば、次に同じ問題にあたったときもきちんと正解できるはずです。考える過程を重視することで理解を確認し、次のステップにつながっていくのです。

では、子供が考える過程を重視できるようにするには、保護者は具体的にはどのように関わればよいのでしょうか。
プロセスを重視する学習は、子供にとっては面倒なことです。また、保護者も判断しづらいこともあり、つい結果を見てしまいがちになるでしょう。ですが、そうした保護者の言葉や態度を子供は敏感に感じます。「点数がよければいい」「答えが出ればいい」という【結果を重視する】保護者の態度から、子供が【考える過程を重視する】という考えにはなかなか向きにくいものです。

まずはおうちのかた自身が【考える過程を重視する】考えをもち、次にどうすればよいかをお子さまが意識できるように声をかけることを心がけましょう。そうすることでお子さまは、「これでよかったんだ」「ここがダメだったから、次はもっとこうしよう」と思えるようになるのです。

テストや「チャレンジ」を通して
【考える過程を重視する】コミュニケーションの心得

①  保護者が点数だけで評価をしない
例えば、テストで75点をとったとき。一生懸命がんばって75点の場合もあれば、うっかりミスが重なって75点の場合もあります。ただ点数だけでよい・悪いの評価をするのはやめましょう。そういう態度を続けていると、子供は点数が悪いときにはテストを見せたくなくなります。
保護者が評価するのではなく、まずは、「今回は、自分としてはどうだった?」と結果の評価は子供に聞き、どうしてそうなったかの過程を振り返らせましょう。

また、答えが合っていた場合でも、まずはがんばりを認めたうえで「どうやってこの答えが出せたの? 教えて!」というように子供に説明させると、考える過程を意識することができ、理解を深めることにつながります。
逆に「難しくて大変だった」というときには、「そう。残念だったね」と受け止めてたうえで「どうしたら次は迷わないでできるかな?」と次につながる声かけをしてみるとよいでしょう。

②  解き方を教えられなくてもOK、質問のしかたを一緒に考える
まちがいがあったときは、ただ「わからなかった」で終わらせずに、「どこでまちがえたのかな?」と子供が素直に解き方に目を向けられるように言葉をかけましょう。その際、正しい解き方を親が教える必要はありません。大切なのは、どこまでわかっていてどこからがわからないのかを、自分で気づかせること。わからないところがはっきりすれば、「そこを先生に伝えて、教えてもらうといいかもね」と正しい解き方を知るための方法をさりげなく伝えればよいのです。「自分は何がわからないか」に気づくだけでも、理解に向けて大きく進んだことになります

③  まちがいは消さずに、どこでまちがえたかを自覚させる
テストのときだけでなく、普段の家庭学習においても解く過程を意識することは大切です。例えばまるつけをするとき。まちがえた答えにただ×をつけ正解を書いて終わりではなく、「ここまでは合っているけれど、ここがまちがい」というように、どこでまちがえたかを自分で判断できるようなまるつけができることが理想です。そのためには、まちがえた解き方は消さず、横に直してから正解を解きましょう。後から見直すときに、自分がどこをまちがえたのかが明確になります。


<伸びるための学習法シリーズ>

次回は「学習への意欲」について特集します(2/19公開予定)。
そもそも子供の学習に対するやる気はどこからくるのでしょうか。「勉強しないといけないから?」「先生や親にほめられるから?」「問題を解くのがおもしろいから?」。そういったやる気のもち方がやはり成績に影響があるという調査結果が出ています。
学力が伸びるやる気のもとはどのように育まれるのかを探っていきます。

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