部活をやめると勉強もできなくなる?[教えて!親野先生]

【質問】

 

中1の男子ですが、部活をやめたいと言っています。部活をやめると勉強もしなくなるという話を聞いたこともあり、わたし(母親)としては続けたほうが良いように思います。でも、父親は、部活をやめれば勉強ができるようになると言います。部活と勉強の関係について、どのように考えたらよいでしょう? (パナソニ さん:中学1年生男子)


部活をやめると勉強もできなくなる?[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

パナソニさん、拝読いたしました。

本人はなぜ部活をやめたいのでしょうか? まずは、それを知る必要がありますね。
そのためには、本人の話を共感的に聞いてあげることが大切です。
「何言ってるの? やめられるはずないでしょ」とか「ダメ、ダメ、ちゃんと最後まで続けなさい」などのように門前払いしてしまうと、子どもは自分の気持ちを話せなくなります。
親に共感的に聞いてもらえれば、子どもはたっぷり話せます。自分の中にあるものを全部出すことができるのです。すると、それだけで、「もうちょっとやってみる」となることもあります。
また、そうならないときも原因がはっきりします。本人にもはっきりしますし、聞いている親にもはっきりします。すると、対応方法も考えやすくなります。

ところで、部活と勉強の関係ですが、部活をやめれば勉強ができるようになるとは限りません。逆に、部活をやめると勉強もしなくなると断言することもできません。
たとえば、楽しく部活に取り組んでいて、それが生き甲斐やストレス解消になっている子もいます。そういう子は、部活のおかげで生活に張りが出て、それで勉強も何とかがんばれているのです。その場合、部活をやめれば勉強もがんばれなくなるかもしれません。
反対に、部活を嫌々やっている子は、それがストレスになっていることもあります。その場合、部活をやめても特に勉強に影響はないかもしれません。
あるいは、ストレスがなくなって勉強に励み出すということもあるかもしれません。
また、もともと勉強も部活もがんばっているという子もいます。そういう子の場合は、3年生で部活を引退することで勉強に集中する時間が増え、急に成績が上がることがあります。
また、○○高校に入るためにしっかり勉強したいなど、本人の目的意識が極めて明確で、それで部活をやめて勉強に励むなら成績が上がる可能性はあります。

このように、その子の状況に応じて変わってくるので、ケース・バイ・ケースということになります。つまり、部活をやめれば勉強ができるようになることもあり、かえってできなくなることもあり、あまり影響がない場合もあるということです。

ただ、私は思うのですが、この年代では、何でも良いので一つ本人が熱中して取り組めるものを持てるようにしてあげることが大切です。親としては勉強に熱中してくれれば一番良いと思うかもしれませんが、もちろん部活でも良いのです。
でも、最近は一つの中学校にある部活の種類が減っているので、やりたい部活がないという子も増えているようです。その場合、勉強はやる気になれないし、かといって部活に燃えることもできないということになります。
このような場合、私は部活にこだわらなくても良いと思います。
つまり、学校以外の習い事やカルチャーセンターでも、一人で取り組むものでも、あるいは親子で取り組むものでもなんでも良いので、本人が熱中して楽しく取り組めるものを持てるようにしてあげると良いと思います。
それは、もちろん本人に向いているものや本人がやりたいものにしてください。
本人の向き不向きや気持ちを無視して、親がやらせたいことを最優先にするとうまくいきません。親の価値観に合わなくても受け入れてあげてください。
「何に熱中するか」よりも「何かに熱中すること」が大切なのです。

本人が夢中になって楽しく主体的に取り組めるものがあると、それによって、自分の人生を生きることの楽しさを味わうことができます。生きがいができて生活全体に張りが出ます。
目標に向かって努力することの大切さを知り、達成の喜びを味わい、自分に自信が持てるようになります。「これなら人に負けない」というものを持てるようになり、これも自信になります。
自分の世界を持つことができるので、周りに流されなくてすみます。自己肯定感を持てるようになるので、ほかのこともがんばれそうな気がしてきます。
気持ちが満たされているので、必要以上にイライラしなくてすみます。それで、きょうだい・親・友達・先生などに対しても、より穏やかな気持ちでいられます。一緒に努力する仲間たちとの友情を経験することで、他者と絆を深めることの素晴らしさを学ぶことができます。

熱中して取り組めるものが何一つないという状態でこの年代を過ごすのは、これらのことを経験したり学んだりできないということです。
ということで、ぜひ、子ども本人が熱中して取り組めるものが持てるようにしてあげてください。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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